65話 緑の針鼠vs黄色い竜〜ミント・グリーン・ヘッジホッグvsジョンブリアン・イエロー・リザードマン〜
「スプルース!大丈夫!?」
王宮の扉が開き、中からミントがこちらに走ってきた。
「ミ、ミント!」
スプルースはミントを見た瞬間、助かったと思った。ああ、このまま一人で戦っていたらどうなっていたか、これは天の助けだ。
「よかった!スプルース!無事だったんだね!よく一人でここまで持ちこたえてくれた!あとはあたしに任せて!」
「ああ、ミント。ありがとう。おかげで助かった」
スプルースはミントが来てホッとしたのか体の力が抜けてその場にへなへなへなと崩れ落ちた。ミントはスプルースを抱きかかえ、あたりの様子を見ると、もう限界まで戦ったんだなと悟った。
(トレントの死骸がいくつもある。スプルース、使いたくない術まで使って、ここまで一人で持ちこたえてくれたんだね。ありがとう)
ミントは魔力ポケットからポーションを与えるとそこで静かに休ませた。魔力感知でわかる。もう体力も魔力も限界まで近づいていたんだなと。
「んー?なんだ貴様?何をしに来た?」
ジョンブリアンはミントを見てそう言った。何やら腰に刀を携えたハリネズミが一匹やってきたがなんなのだと。
「あ、これはこれは申し遅れました。私、ミント・グリーン・ヘッジホッグと申します。緑魔族最強の戦士であります。以後お見知り」
ミントが名を名乗っているとジョンブリアンはスプルースのときと同じようにミントに向けて斧を振り下ろした。ミントはサッとその斧をかわし、剣を構えた。
「なにか言ったか?御託はいい、さっさとくたばれ」
「あーらら、礼儀のないやつだね。私がまだ名乗り終わってないのに攻撃してくるなんて。同じリザードマンでもシアンとは大違い。ま、実力もシアンよりずっとしただけどね」
「なんだ?貴様!?俺を愚弄するのか?ハリネズミごときが!」
「ははは、あんたなんてあたしどころかスプルースの足元にも及ばないよ。他でほとんど魔力と体力を使い果たしてさえいなければ瞬殺だね」
ジョンブリアンはミントに侮辱され、堪忍袋の緒が切れ、奇声を上げて再びミントに斬りかかった。ミントはひらりと再びそれをかわし、刀を抜いて戦闘に入った。
ミントはジョンブリアンの後ろにいる黄魔族の兵が怯えているのと、一人、真っ二つにされて血まみれになっている遺体を見つけ悟った。ああ、こいつ実力はないくせに恐怖政治で部下を捨て駒くらいにしか思っていないと。
「あー、やっぱり敵っていうのはあんたみたいな外道の方が楽でいいわ。名前も聞くの面倒だし、ただ残念だったね、あたしはライトみたいに優しくないし痛みや苦痛を与えず倒すことはできないから、そこは覚悟してね♡」
ジョンブリアンはミントに攻撃を二度もかわされたことに腹をたて、イライラしていた。何だこいつ?先程のフクロウより動きがはやい。小さい上にすばしっこくて攻撃が当たらないと。
「韋駄天のミント!お相手いたします!よろしくおねがいします!」
ミントは刀を一旦鞘に戻し、両手を合わせペコリと拝んだ。そして再び刀を抜き、戦闘態勢に入った。ジョンブリアンは怒り狂ったように再びミントに斧を振り下ろした。ミントはその斧を今度は避けることなく刀で正面から受け止めた。
ギン!ものすごい音と共にジョンブリアンの斧とミントの刀が相対する。そしてジョンブリアンは自分の斧を受け止めたミントのその力と強大な魔力に驚いた。
(こ、こいつなんて力だ!リザードマンである俺の斧を平気で受け止めるだけじゃなく片手だけで完全に押し返している!)
ミントは斧を刀で受け止めるとニヤリと笑った。そして刀をそのまま上に押し返すとジョンブリアンはのけぞり、後ろに倒れそうになった。
「な、なんだ!?貴様何をした!?」
ジョンブリアンが驚いているとミントは禍々しい表情を浮かべライトのように一瞬で敵の後ろまで移動した。そしてジョンブリアンは気がつくと両足が切断され血が吹き出し膝から地面に崩れ落ちた。
「ギ、ギャアァァァ!!!あ、足がぁ!お、俺の足がぁ!」
ジョンブリアンが自分の両足を抑えてのたうち回っている。ミントは疾風のごとく移動し、魔力を刀に込め、両足を切り落とした。
「風神剣 旋風斬り!」
ミントがそういってくるりとジョンブリアンの方を向くとスプルースはその様子を見て悪寒が走った。ああ、ミント、やはり強い、そして恐ろしい、と。
「ま、苦しめるのはあたしの趣味じゃないから安心して。ごめんね、ライトなら今の一撃でもう楽になってるんだけどさ」
ミントはそういうとまた一瞬で移動した。
「ザシュ!」「ブシュー!」という音と共に今度は細切れに切り裂いた。そのあたり一面は血の海になり、遺骸がゴロゴロと転がった。
「ひ、ひいぃぃ!ジョンブリアン様あんな一瞬でやられた!に、逃げろー!」
黄魔族はそう叫ぶとてんで散り散りに去っていった。こうしてミントはスプルース一人で守っていたヴィフレアの街をなんなく守ったのであった。




