60話 緑黄の戦い
「あなた、怪我してるわ!大丈夫!?」
ピュアがエメラルドを見てそう言った。ピュアは一目散にエメラルドに回復魔法をかける。そして一瞬にして傷跡が治っていく。
「あ、ありがとうございます。助かりました。あなたは!?」
「はじめまして。私の名前はピュア。青魔族と共闘している白魔族です」
白魔族!?エメラルドも今まであってきた魔族と同様、ピュアを見て驚いた。都市伝説だとは思っていたが本当にいたとは。そして瞬時に怪我が治り、とても綺麗で慈悲深い魔族だと。
そして当然の如く、ミント達が参戦してからは状況は一変した。ハンタが部下をやられたこともあって怒り狂い、先頭に立って敵を蹴散らした。ライトとコバルトももちろん参加しようと思ったが、ハンタの凄まじい猛攻に、参加する余裕もなかった。
「ひ、ひいいぃぃ!な、なんだあの緑魔族は!?強い!強すぎる!」
「オラオラ!てめーらどーした!?あたしの部下を痛めつけた礼はこんなもんじゃ済まねーぞ!」
その様子を見てやはりライトは不振に思った。前回よりも数は多い。しかし幹部レベルの魔族がいない。もしや!?
「ミント!まずい!やはりここは囮だ!ヴィフレアの街に戻るぞ!」
「え!?ライト!どういうこと?」
「おそらくここを囮にして、あっちを襲撃するつもりだ!いや、もしかするとメイズがやられたことでここの街とあちらの街に全戦力を投下してくるつもりかもしれない!だが今はヴィフレアの街が心配だ!」
「わかった!ライト!まずはあたしがあっちの街へ行ってみる!ライト達はこっちをお願い!」
「ミント!一人で大丈夫か!?」
「まっかせといて!あっちにはスプルースもいるし、どうにかなるって!」
「わかった!頼んだぞミント!」
ライトがそういうとミントはすぐさま戦線を離脱してヴィフレアの街へ向かった。一人戦力が欠けたが、今の面々なら問題はないだろう。
(ま、というかハンタ一人で大丈夫なんだけどな)
ライトがそう考え込んでいるとハンタ一人の猛攻で戦況はますますこちらの有利になった。そしてコバルトとライトも参戦すると、形勢は全く逆転し、黄魔族壊滅も時間の問題かと思われた。
すると次の瞬間、一筋の閃光が飛んできてハンタを貫こうとした。
「ハンタ!危ない!」
ライトが咄嗟にハンタの前に出てステッキをクルクルっと回して弾いた。グッ!物凄い魔力の弾丸だ。ライトは防いだ手が痺れるのを感じた。
(重い!なんて重さだ!こ、これは以前いたプリムローズよりずっと重い!)
ライトはそう感じると、やはり来ていたかと理解した。黄魔族の中でも上位クラスの魔族が。やはり集中的に戦力を集めてここを落とそうというつもりだ。
「いったい誰だ!姿をあらわせ!」
ライトがそう叫ぶと、かなり高い魔力指数を誇る黄魔族が現れた。悪魔族と鳥族のコンビだった。
「あらら、これはこれは勇ましいニャンコちゃんね。はじめまして。私の名はレモン・イエロー・キルケー。よろしくお願いしたします」
長いレモン色の髪と瞳。ツインドリルに髪型に頭の横からは白い羽が生えており、スラリと長い足に黄色いワンピースを着て、お高くとまったような美少女だった。
「これはこれは、戦況を覆されたようだな。しかし我々も引き下がるわけにはいかんな」
巨大な美しい孔雀のような見た目をした鳥が金色に輝きながらレモンの隣に舞い降りてきた。その美しい容姿にコバルトは酔狂してしまいそうになった。
(綺麗な羽だ。う、美しい。何という美しさだ)
コバルトがその黄金の鳥に見惚れていると、その鳥が話しかけてきた。
「はじめまして、私の名はゴールデン・イエロー・フェニックスと申します。この通りフェニックスの化身なのです。以後お見知り置きを」
ゴールデンが翼を前に出し、ペコリとお辞儀をしながらそう言った。こいつらが今回この緑の国の領域に侵入してきた主犯格か。それはわかる。並大抵の実力者ではない。二人ともすごく強い、しかしライトはどうも腑に落ちなかった。
(なんだ?こいつら何を企んでいる?ダメだ、何か企んでいるのはわかるのだが、見当もつかない!)
ライトの深刻な心配をよそに黄魔族のコンビはピュアを見て驚いていた。
「へぇー、あれが噂に聞いていた白魔族ね、悪魔族で女って聞いてたけど思ってたよりずっとかわいいじゃん」
「ああ、混じりっ気のない純粋な心の持ち主だな。目を見ればわかる」
二人の会話を聞いてライトは感づいた。
(そうか!ピュアか?ピュアがここにいることを知って、それで捉えにきたのか?)
(いや、そうだとすればここに我々がいるともう知っていることになる、そこまで情報が漏れているとは考えにくい。では、一体・・・!?)
ライトはこれから始まるであろう戦闘をよそに必死でこの黄魔族達の思惑を推理した。絶対に何か企みがある、それは間違いないのだが、いったいそれが何なのか、そこを暴かなくてはならないと考えていた。




