59話 緑の草原
そんなこんなでどうしようもないやりとりが続き、時間が過ぎたある時。突然スプルースが王宮からヴィフレアの街まで飛んできた。
「陛下!ミント!た、大変です!敵襲です!結界は破られていませんが、国境から徒歩で侵入してきた模様です!」
「何!?敵襲?スプルース、場所はどこだ!?」
「はい!ミント!北東にある黄色い国との国境付近、キュルマの街の近くです!」
スプルースがそういうとミントはただちに三人と一匹を収集した。事は一刻を争う。これは緑の国で起こった事なのだからとにかくハンタとミントだけでいくことを決めたのだが、ライトもついていくと言って聞かなかった。
「ミント、俺達はこの国の宗主国の戦士だ。緑の国の危機に参戦しないわけないはいかない!そうだだろ?コバルト!ピュア!」
二人はもちろんだ。とうなづくとすぐさま一緒に王宮へ向かった。ミントは本当に頼もしい仲間が参戦してくれて心より嬉しく思っていた。
「ライト、コバルト、ピュア、ありがとう・・・」
そして街から少し離れた王宮へ着くと、三人と二匹はすぐさまにスプルースの転送魔法でその街へ移動した。ヴィフレアの街は青い国と黄色い国の国境付近にあったが、キュルマの街はそこよりかなり北にあり、黄色い国と赤い国の国境付近にあるようだ。
転送され、魔法陣から出ると、皆が最初に出たのは同じように街の一角の教会のような場所だった。ミントは急いで建物から出ると、街の様子を伺った。
「ううう、寒い!」
コバルトは街から出ると、そこが前にいたヴィフレアの街よりずっと寒いことに気がついた。そういえば青い国から緑の国に来てからほとんど時間が経っていないので、今は晩夏くらいのはずだが、やはり北の方に来ると冷え込むようだ
ミントは街の様子を確認するが、街は全体的にひっそりとしていた。
「あ!ミント!」
「アイビー!無事だった!?」
少し暗い、黄緑色の小さな樹人族がミントを見つけて駆け寄ってくる。アイビーグリーンからとってアイビーという名のようだ。見た目は青い国にいたセレストによく似ていた。サボテンではなく、へちまのモンスターのようだ。その背丈はミントやライトよりすこしたかいくらいでまだ子供のようだ。
「ミント!ハンタ様!来てくれたんだね!あとそこに一緒おられるのは青い国の方々だね!よかった!」
「アイビー!街の人はどこ?敵襲が来たっていうからすぐさま駆けつけたんだけど、みんな無事!?」
「うん、ミント!今は国境付近の草原で今まで見たことのないくらいの数の黄魔族が侵入してきて!兵士以外はみな怯えて家に閉じこもっているよ!みな侵入を許すまいと最前線で戦ってる!どうか行ってあげて!」
「わかった!アイビー!無事でよかった!あの草原だね!すぐにいく!みんなあたしについてきて!」
ミントが一目散に街からその草原の方面へとかけていく。その街はヴィフレアの街とそっくりで緑色のログハウスが連なっていた。
(それにしてもなぜ今更敵襲が!?メイズを倒したからしばらくは安泰だとは思っていたが、黄魔族、何か企んでいるのか?)
ライトの心配をよそに三人と二匹は戦場へ向かった。そしてなぜか一緒にアイビーもついてきたのだった。
「アイビー!お前はダメだ!戦士でないものは街へ戻って避難していろ!」
「いやだ!今前線でエメラルドが戦っているんだ!僕、エメラルドにもそう言われたけど、彼の安否を確認できるまではいてもたってもいられないんだ!」
ミントの指示をアイビーは聞かなかった。そして街から森をぬけ、国境付近にある草原の戦場に着くと、コバルト達よりも一回り若く、緑色の髪と目をした、悪魔族の少年が剣を持って戦っていた。エメラルドグリーンからとって、名はエメラルドというようだった。
たくさんの黄魔族を相手に防戦一方だが、エメラルドが最前線で侵入を許さず必死に戦っていた。ミントがその様子を見て一目散に駆けつける。
「エメラルド!大丈夫!?」
「ああ、ミント!来てくれたか!助かった!あとハンタ様も!そして青魔族の方々ですね!ありがとうございます!」
ミント達が参戦したことによって、防戦一方でギリギリの戦いを続けていたエメラルドはこれは助かったと思った。そして青い国で戦った時よりもずっとはるかに多い黄魔族の数に、ミント達は戦闘態勢に入った。
(やはりだ。これはおかしい。なぜメイズが倒され、警戒しているはずなのにこれほどの数で攻め込んできたのか?そしてあの時のように上級者がいない?やはりこれは囮か!?)
ライトは青い国で経験した黄魔族の戦術に必ず何か裏があると踏んでいた。そして今ここはどうすべきなのかを戦う前に必死に考えるのであった。




