47話 緑の防戦
コバルトと同じようにハンタの顔つきが変わった。最初と違ってワクワクしている。あんな楽しそうなハンタを見るのはミントは初めてだった。
(ハンタ、嬉しそうで楽しそう。この国でまともに戦えるのがあたししかいなかったから初めて自分より同等かそれ以上の相手と戦えることが嬉しくてしょうがないんだ。けど、メイズの時は戦っても勝てない相手ってわかってたから身を引いたんだろうな)
ミントがそう思ってハンタを見つめていると、コバルトがしばらく剣を構えた後に先に動いた。
「疾風乱舞」
コバルトは次の瞬間、一瞬で宙に移動した。そのあまりの早さにハンタは目で追えず驚いた。
「え?どこに消えた?」
ハンタが魔力感知を使っても位置を特定できない。気がついたら疾風のようなものが飛んできてハンタの体を次々に切り裂いていった。
「い、痛い!な、なんだこれ!?」
ハンタはコバルトのあまりの凄まじいスピードに何が起こっているのか把握すらできなかった。魔力感知を使っても捕らえられない。なんだこれは!?
「コバルト、メイズの時より精度が上がっているな。なんてやつだ」
ライトがそういうと、ミントはキョトンとした顔でそのセリフを聞いた。え?どういうこと?あれは技なの?何が起きているの?と。
ハンタはどうにか弓を構えて闇雲に矢を放つ。ようやく目にも技にも少し慣れ、特定できた時になんとかして攻撃をしなくてはと思ったが当然だが当たるはずもない。
その後コバルトは地面に降り立ち、距離を取った場所からハンタに向かって剣を振り抜く。
「水乱切り!」
巨大な水の斬撃がハンタを襲う。ハンタは慌てて地面に両手をつき、こう叫んだ。
「ヴァインウォール!」
ハンタの目の前に地面からいくつもの重なった植物の蔓が芽を出し、斬撃を防いだ。しかし水の斬撃は植物の壁を貫通してハンタに襲いかかる。
「グッ!」
ハンタは体から生えているいくつもの手でその斬撃を防ぐ。なんて威力だ。
コバルトは宙に舞うと空からまた次々に水の斬撃を放った。そのあまりの凄まじさに今度はハンタが防戦一方となった。
「ブリーズバリスタ!」
ハンタが弓を構えると、コバルトに向けて矢を放つ。今度の放つ矢は巨大な魔力を帯びていて今まで連射していた矢よりも魔力で大きくなっていて、威力が格段に上がっていた。
「今までのは連射型!こっちは一点集中型!当たれば串刺しは避けられない!」
ハンタがそう言って矢を放つとコバルトが放った水の斬撃は瞬く間に相殺された。巨大な矢で周りにはサイクロンを帯びており、水の斬撃を突き抜けてコバルト目掛けて飛んでいった。
コバルトは瞬時にその矢を瞬時にかわし、地上に降りた。先ほどまではコバルトが防戦一方だったのに、今度はハンタがそうなっていた。
「な、何あれ?ハンタが押されてる?どういうこと!?」
ミントが客席から驚いたようにその様子を見ていた。コバルト、さっきと動きがまるで違う。表情もつきものがおちたようになってるし、ここまでやるとは。
「コバルト、やるじゃん!そうこなくっちゃ!けどあたしもまだまだこんなもんじゃないんだよ!」
ハンタがそういうと頭の後ろにある大きな葉を両手で触った。そして両手を横に広げて構えると何やら唱えた。
「リーフカッター!」
次の瞬間、宙から大量の葉っぱがハンタの周りに出現した。すごい。葉っぱの嵐だ。
「いけ!リーフカッター!コバルトを切り裂け!」
そしてその大量の葉っぱはコバルトを目掛けて飛んで行った。これも緑魔法の樹属性の技の一つ、植物を自由自在に操る技だ。
(なるほど、ポケモンで言う葉っぱカッターみたいな技か。ん?ポケモンってなんだっけ?)
コバルトがまた意味不明なことを考えているうちにいくつもの葉が飛んできた。コバルトは瞬時に剣を振り抜いた。
「絶対零度!」
コバルトがそう叫ぶと宙に浮いていたいくつもの葉は瞬時に凍りつき、そのまま地面に落下した。凍りついたことで魔力が効力を失っていったのだ。
「あれは?コバルト、あの技も使えたのか?」
「ああ、ライトがバカンスのとき海を凍らせたあれね。ああやって戦闘で使ってくれるといいんだけどね」
ピュアが嫌味ったらしそうにライトに言う。ライトは面目なさそうにピュアの方を見た。ああ、もうそのことは言わないで。
(クソ、クソ、この技も封じられた。こいつ、あたしと同じく水属性と氷属性と二種類使えるのか!?)
先ほどとは打って変わって今度はハンタが防戦一方。ハンタはコバルトの圧倒的な強さに手も足も出ずになってしまっていた。




