45話 緑の樹人vs青い鳥〜ハンター・グリーン・アルラウネvsコバルト・ブルー・ピジョン〜
「では、はじめ!」
エバーがそう言って合図を出すと、まずはコバルトは剣を鞘から引き抜いて身構えた。さて、ハンタはどんな攻撃で攻めてくるのか。
ハンタは背中に刺してある弓を持ち、腰にあった矢入れから矢を出すとそれを射てきた。なるほど、やはり弓の使い手としてはまずは弓矢で攻撃するのが定石か。
矢が飛んでくるとコバルトは魔力感知と身体能力で難なく避ける。ハンタはニヤリと不敵な笑みを浮かべたまま次から次へと矢を放ってきた。
ただの単調な弓矢攻撃に対してコバルトはその場を走ったりジャンプしたりでかわしてゆく。ずっと同じ攻撃を続けるつもりか?と思っていたが、矢の飛んでくる本数とスピードが速くなってくることに途中で気づいた。
(な、なんだ?さっきに比べて矢の本数が増えた?どうゆうことだ?)
コバルトは避けるのをやめて剣でその矢を撃ち落とす。しかし止まることを知らないハンタの弓矢攻撃は次々にコバルトに襲いかかった。
コバルトは驚いて羽を使い宙に逃げる。そしてハンタは宙に飛んだコバルトに狙いを定め、また次から次へと矢を放ってくる。すごい、矢の嵐だ。
コバルトは超人的なスピードで再び地上に戻る。そしてとうとう一本の矢がコバルトの肩をかすめ、服を破いて出血した。
「グッ!な、なんだこの矢の数は!」
コバルトは再び地上に戻り剣を構える。ハンタは得意げな笑みを浮かべてコバルトにこう言った。
「あらら?コバルト、もう逃げるのはおしまいかな?そっちからは攻撃してこないのかな?」
「どういうことだ?なぜここまで矢を素早く放てる?その二本の腕で。何か魔力を使っているのか?」
「二本の腕?あんた何か勘違いしてない?誰が二本だけって言ったの?」
ハンタがそういうと、コバルトはハンタの体を見て目を疑った。ん?なんだ?ハンタの肩から腕が生えている。そして腰からも首の辺りからも手がいくつもある。
「馬鹿な!なんだあれは!」
客席からライトが立ち上がって声を上げる。それもそのはず。樹人族とはいえ、あんな風に手をたくさん生やした魔族を今まで見たことがない。一体どうなっているのだろうか?
「ふふん、驚いた?ライト、あれが緑魔法の樹属性だよん」
「樹属性?なんだそれは?緑魔法はミント、お前と同じく『風属性』ではないのか!?」
「もちろんそれも持ってるけどね、緑魔法は実は二種類あって、風か樹かに分類されるんだよ。青魔法が水か氷に分類されるのと一緒でね、前回の聖戦では樹属性は誰もいなかった。けどなぜかハンタは両方使えるんだよ」
二つの属性を同時に使える!?ということはコバルトと同じか!今回の転生者はどちらも使えるということなのか?これは一体何を意味しているのか?とライトは不思議でたまらなかった。
「じゃあ、コバルト、続きいくよ!」
ハンタの容赦のない連続の弓矢攻撃がコバルトに襲い掛かる。コバルトはそれをどうにかかわしていくが、少しかすっただけでも服が破け出血をした。
「な、なんだこの矢は!?かすっただけなのにこの威力!こ、これは!?」
「ああ、言い忘れてたけど魔力使ってるよ。もう一つの『風属性』だね。矢に魔力込めてあるからかすっただけでもダメージくらうから用心しなね。いくよ、ブリーズアロウ!」
ハンタの容赦ない矢の嵐が終わることなく続く。コバルトはこれはまずいと思い、剣を胸の位置から横に構え頭の上に大きく振り上げるとこう叫んだ。
「アイスウォール!」
するとコバルトの目の前に巨大な広い壁が出現した。ハンタの矢はその壁に何本も刺さり通らなかった。
(コバルト、あの技も使えるのか。あれは陛下がよく使っていた氷の防御壁)
ライトが感心しているとコバルトは体にいくつもの傷を負って息を乱していた。だ、だめだ。あの矢の嵐はなかなかかいくぐれない。一体どうすれば。
ハンタの容赦ない弓矢攻撃の嵐にコバルトは防戦一方となった。強い、強すぎる。これでは近づくこともできない。コバルトは必死にどうすればいいかを考えていた。




