35話 青い就任式
大勢の青魔族が広場に集まり、ガヤガヤと騒ぐ中、壇上にたったラピスラズリはこう叫んだ。
「皆の衆、本日は集まってくれて感謝する。そしてこのラピスラズリの名において、ここに前陛下であるロイヤル・ブルー・デーモン様が亡くなられたことをここに宣言する!」
ラピスラズリの演説が始まった。それにしてもいつもわりと大人しくて何も喋らないタイプだとは思っていたが、演説となると人が変わるのだな。あ、ウサギか。とコバルトは思った。
「そして、先日結界が破られ、黄魔族の侵入を許し、血みどろの戦闘が行われたこともすでにみな知っているだろう!そして我々は見事勝利した!これも青魔族の戦士が命懸けでこの国を守ってくれたおかげだ!みんな、礼をいう、ありがとう!」
ラピスラズリがそう叫ぶと、大衆はわーっと歓喜に沸いた。コバルトはその様子をみて思った。
(こいつ、演説うまいな。国民から支持を得るのすごく得意だろう)
「そしてなによりも、今回、結界を破って侵入してきた黄魔族の強戦士メイズを倒したのはこちらにおられるコバルト様のおかげだ!そして私は今ここに宣言する!ロイヤル前国王からここにコバルト国王に引き継がれると!コバルト王の誕生だ!!」
ラピスラズリがそう宣言すると、国民はオオー!!という歓声が沸き起こった。す、すごい、壇上から下を見るといろんな魔族がいるけど、それにしてもどこをみてもみんな青くて本当に真っ青だな。
「ではコバルト王、あなたから国民になにか一言お願いします」
「へっ?俺?」
コバルトはそういわれ壇上に立つとすごく緊張した。うわあ、すげー、すごい多勢の魔族がこっちを見てる。みんなの視線の中、なに言えばいいのかさっぱりわからなくなった。
「えー、本日からこの国の王となった、コバルトです。私が王になれたのも皆様のお力添えがあってのことです!ロイヤル前国王にくらべると不甲斐ない部分もあるかと思いますが、私なりに一生懸命努めさせていただきますので皆さま、どうぞよろしくお願いします!」
コバルトがそう叫ぶとみなは驚いた。前国王もはじめはそうだったが、王なのになぜここまで謙虚で腰が低いような言い方をするのだろう?国王なのだからもっと胸をはり、堂々としていればいいのに。
(みんなの前でなんか言ったりするのって苦手なんだよな。小学校の時の作文の発表もやだったし)
コバルトは心のなかでそう思った。ん?作文の発表ってなんだっけ?
ピュアとライトが後ろでクスっと笑っていた。ふふふ、あんまりこういうの慣れてないんだなって、わりとあがっちゃうんだなって。
(コバルトかわいい♡今日からコバルトが王様か)
そしてその後、就任式は終わり、盛大なパーティが開かれた。新しい王の誕生と、黄魔族から国を守った戦士達を称える会だった。
「コバルト王!就任おめでとうございます!これからもよろしくお願いします!」
「コバルト王、今までのあなた様への無礼をどうかお許しください。今後、私は命をかけてあなた様にお仕えします!」
「いやいや、よしてくれよ、セレスト、ネイビー、今更そんな話し方しなくていいって。な?シアン?」
コバルトが少し照れながらそういうと、シアンが後ろで腕を組みながらこう答えた。
「ははは、そうだな。俺も今更コバルトに敬語は使えんな。ライトも同じだろうよ。な、ライト。ん?ライト?」
シアンがそう言って、ライトに目を向けるがライトがいない。さっきまでそこにいたのに。
「ライトったら、またどっか行っちゃったのよ?そういえばなんか瓶の酒を手に持ってたし、どうせなんか好物を見つけてうろつき回ってるんだわ」
ピュアがそう言ってため息を吐いた。ああ、いつものことだ。
(ライトが酒を?そうか、きっとあいつはあそこに行ったんだな)
シアンが周囲を見回すと、ラピスラズリもそこにはいなかった。戦いが終わってから、このパーティーにもでずライトには行くことろがあるのだろう。ピュアやコバルトにはそれは知られていなかったが、シアンはなんとなくライトの行き先の見当がついていた。




