32話 青い鳥と白い悪魔
「ば、馬鹿なぁ!こ、この俺が、このメイズ様が、たかが鳥族ごときにぃ!!」
メイズは体が真っ二つになり、そのまま全身が凍って砕け散り粉々になった。コバルトはメイズを斬った後、着地をしてしばらくメイズの残骸を見ていたが、その後腰が抜けてその場にへたっと尻餅をついた。
そしてその場にいるみんながわーっと騒いだ。勝った!コバルト様が勝ったよ!と。
「コバルト!」
「コバルト!よくやってくれた!助かった!」
ライトとシアンがコバルトに駆け寄る。セレストに介抱されていたピュアはセレストにポーションを飲ませてもらうと、朦朧としていた中、意識を取り戻し、こう言った。
「コバルト、コバルトは!?」
「大丈夫だよ、ピュア、コバルトが勝ったよ。ああ、よかった。怪我したものはいるけど、誰も死んでないよ。」
「コバルト!」
ピュアは立ち上がってコバルトを探す。そしてライトとシアンにかこまれ、座り込んでいるコバルトを見て一目散に駆け寄った。
「コバルト!コバルト!よかった!生きてたんだね!本当によかった!」
ライトとシアンを押し除けてピュアはそのまま尻餅をついて座り込んでるコバルトに涙を流しながら胸に飛び込んだ。コバルトは安心したのか、もう体に力が入らずへなへなになっていた。
「ああ、ピュア、どうにか倒した。本当、今回は死ぬかと思ったよ。これもピュアが命懸けで俺を守ってくれたおかげだ。ピュア、ありがとう」
「コバルト!私こそありがとう!おかげでみんな死なずにすんだんだよ!コバルト本当に強いんだね!私、私、あなたを絶対に守るって言ったのに、逆にあなたに助けてもらっちゃったね!けど、本当によかった!」
「ピュア、今回は俺だけの力じゃない、ラピスラズリも陛下もライトもピュアもみんなが力を貸してくれたから勝てたんだよ。そしてなにより、ピュア、君が最後本気で俺を守ってくれたからだ。ありがとう」
「んーん、だって最初に言ったでしょ?どんなことがあっても私が守るって。でも今回は私が守ってもらっちゃったけどね。えへへ」
「ピュア」
「コバルト」
ピュアは抱きつきながらコバルトとの目をじーっと見ていた。コバルトも照れながらその目を見た。二人は見つめあっていた。
「あ、あのピュア、コバルト、お取り込み中すまないんだが、その辺でいいかな?みんないるし」
ライトが顔を赤くして目線を逸らし、右手で頬をかきながらそういう。びっくりした二人は周りを見回した。
「お熱いねえ」
「そういうのは二人だけのときにやってくれよな」
「あーらら、悪魔族と鳥族ねえ」
こんな声と一緒にみんなの視線が二人に集まる。ピュアとコバルトは顔が真っ赤になった。そして慌ててピュアがそこから離れた。ピュアはあまりの恥ずかしさにコバルトの逆を向き、その場に正座した。
「コ、コバルト、あの、ごめん、わ、私あなたがメイズに勝ってくれてみんなが助かって嬉しくて、その」
「あ、ああ。そうだよな。俺も勝てるとは思ってなかったし、まあ、みんな無事でよかったよな」
コバルトは照れながら立ち上がり、とりあえず歩こうとした、けれどがくんと膝から落ちてその場に倒れ込んだ。
「はゃ、こ、腰が抜けて立てないや」
「やれやれ、しょうがねえな。この国の頭首も。緊張の糸が途切れるとこれかよ」
シアンはそう言って、コバルトを背負い家まで連れて行った。ライトも歩くことが出来ず、他のものに手当てをしてもらい、その日は家に帰った。その後、怪我のない残ったもので負傷者や壊れた瓦礫の処理などで大変だった。そしてラピスラズリは目を覚まし、治療を受けると、再び結界を張った。メイズを倒したということは、もうこのように結界を破って侵入してくるような魔族来ることはないだろう。こうして黄魔族との戦いは勝利で終わり、戦士たちにひとときの安らぎが訪れた。




