31話 青き巨人兵
(やはり、正面から行くしかないか。そして三本同時に斬る方法は。)
コバルトがそう考え込んでいると、また次々にメイズの雷が飛んできた。くそ、こいつの魔力は底なしか!?
「水乱切り!」
コバルトは剣に魔力を込め、メイズから離れた位置から剣を振った。水による斬撃が飛び、メイズの足を切り裂き、ブシュという音と共にメイズの足から血が吹き出す。
「痛え!畜生!貴様!」
メイズが怒りに満ちて次々に雷を放ってくる。コバルトはそれを全て避けることが出来ず何発か受け止めた。
「コバルト、俺の水乱切りを一度見ただけで。そしてあんな魔力による斬撃まで飛ばすとは。」
シアンがコバルトの戦いをみて驚いた。水乱切りはシアンの技だった。だがそれはシアンの青竜刀による永年の訓練があって生み出された賜物だった。それをコバルトは一度見ただけで物にし、さらにはシアンにもできない飛び道具まで生み出した。
(クソ、一応は効いてはいるがダメージはあの程度か。このままでは向こうの攻撃にこっちが先に参ってしまうぞ。)
どうすれば勝てる?どうすればあの三本の首を同時に斬れる?コバルトは必死になって考えていた。そうすると、コバルトの持っている剣から何やら魔力が体に流れ込んでくるような感じがした。
『コバルト様、どうか私をお使いください。きっとあなた様のお力になれるでしょう。』
コバルトは剣を通してロイヤルの声が伝わってくるような気がした。陛下、俺に力をくれるというのですか?
メイズは怒り狂って次々に絶え間なく雷を放った。コバルトはどうにかそれを交わしたり防いだりしていたが、そろそろ限界になってきた。このままではやられてしまう。だがそれはメイズも同じだった。
(クソ、クソ、この俺が、このメイズ様が頭首とはいえこんな鳥族に、もはやあの技でこいつを始末する他あるまい。)
メイズも体力も魔力もそろそろ限界に近づいていた。どうにかしてあの最強の技をこいつに当てなければ、あれさえ当てることができればこいつは倒せる。
そしてコバルトは大きく宙に舞い上がった。そして正面からメイズに向かって行った。疾風乱舞を使うことなく、真正面から挑んだのだ。
「コバルト!危ない!狙い撃ちにされるぞ!」
ライトが叫んだが、時はすでに遅かった。メイズはこれはチャンスとばかりに三本の首を縦に揃えた。
「ここまで俺を追い詰めたのはお前が初めてだ!褒めてやろう!そして敬意を評してこの技でくたばるがいい!トリプルサンダーストーム!!」
メイズの縦に並んだ三本の首から強力な雷が放たれた。お、終わった。いくらコバルトでも宙に浮かんでいればあれを避ける術はない。
次の瞬間、コバルトのもつ剣が輝いた。そして何か巨大な魔力が彼の体を走り抜けた。
「守れ!この俺を!いでよ召喚獣、アイスゴーレム!」
コバルトが叫び、剣を振りかざすと、メイズと同じくらいあるだろうか?巨大な氷のゴーレムが宙に出現した。メイズのトリプルサンダーストームはそのゴーレムに阻まれてコバルトに届かなかった。
「な、馬鹿な!?召喚獣だと!?ゴーレムを召喚したというのか!?俺の攻撃をこんな形で受けとめるとは!」
(あれは!かつて聖戦で陛下が使われていた召喚獣!馬鹿な!コバルト、初めての実戦で召喚獣を召喚したというのか!?)
ライトが驚愕していると、ゴーレムはメイズの雷を受け止め、そのまま砕け散った。メイズの最後の力を振り絞った攻撃もゴーレムがいては通らなかった。
そしてその砕け散った氷塊の中からコバルトが姿を現した。そしてそのまま三本並んでいるメイズの頭を目掛けて剣を振り下ろした。
「うおおおおぉぉぉぉ!!!くらえメイズ!!!氷蓮斬!!」
ザン!!!という物凄い音と共に縦に三本並んでいるメイズの脳天に向けてコバルトの剣が貫く。そして三本の頭から尾まで刀身が入り、メイズの体は真っ二つになり、斬り口から凍りついた。
「あ、あがががががが」
流石のメイズも三頭と体を真っ二つにされてはもはや何もできなかった。こうしてコバルトは、初陣にして最上級とも呼べる魔族、「メイズ・イエロー・ドラゴン」に勝利したのだった。




