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蒼き輪廻の果てに 〜転生したら青い鳥だった件〜  作者: 水猫
第一章 「青い国」
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3話 青い王

「ライトー、どこに行ったの?ライトー!」


市場にたどり着くなり、ライトはどこかに姿をくらました。ピュアが名前を呼ぶが見当たらない。市場は様々な露店が並んでいてとてもにぎやかだ。どこか路地裏にでも行ってしまったのか?あの猫は。


「ピュア、ライトならあそこだろうよ。コバルトを道案内するとかなんとかいってもあいつも猫だからな」


シアンがそう言うと、ピュアは頭を抱えた。どうやら二人は行き先を知っているようだ。心当たりがあるお店につくと案の定、ライトはそこに寝そべっていた。


「まったくもう、商品は買う前に食べちゃだめだって何度も言ってるのに。あっ!ピュア!ちょうどよかった。ライトがまた勝手にうちの商品にかぶりついたんだよ。お代は払ってもらうからね」


(今度は喋るサボテンか)


コバルトは心の中でそう呟いた。ライトに似た色のサボテンに、真っ黒な目と口がついて話をしている。どうやらここの店主のようで、普段からライトに営業妨害をされているようだ。


「ああ、セレストごめんなさい。はい、ちゃんとお金は払います。まったくもう、ライトやっぱりここにいたのね。あ、コバルト、こちらはセレスト。樹人族でこちらのお店の店主よ」


「はじめまして。私はセレスト。このお店の店主なの。あなたが新しく来た方ね。よろしく」


「はじめまして。コバルトと言います。よろしくお願いします。こちらは花屋なのですか?」


「あ、うん。花屋っていうか、植物屋って感じかな?私が扱ってる植物ならなんでもあるよ。まあライトはいっつも店頭に並んでるマタタビを食べちゃうんだけどね」


ライトがゴロゴロと喉を鳴らしながら寝そべっている。どうやら酔っ払っているようだ。リンゴだけでなく、この世界にもちゃんとマタタビのようなものもあるのか。とコバルトは感心した。


ピュアはセレストにお金を払うと、ライトを叩き起こした。ライトはまだ酔っ払っていてなかなか起きない。


「フニャ〜ゴロゴロゴロ、あ、ピュア!どうしてここに?なんか昼間から気分いいにゃ〜」


腹がたったピュアは、ライトの首根っこを掴みそのまま持ち上げた。ライトは苦しそうにもがいた。


「ごめんなさい、ごめんなさい!もうしません!謝りますから許して!」


ライトが泣き叫ぶと、ようやくピュアはライトをおろし水を与えた。ライトは少し酔いが冷め冷静になった。


「ああ、コバルト!ごめんごめん先に行っちゃって。好物につられてつい」


「まったく!コバルトもそうだけどちゃんとセレストにも謝っておきなさいよ!彼女だって被害者なんだから!」


彼女?


(彼女ってことはへえ、あのアズレウスを人にしたみたいな青いサボテン、あれは女なのか。魔族にも色々種類がいるから性別もどっちだかわからないな)


ライトはセレストにきちんと謝罪をすると、セレストは笑って許してくれた。まあいつものことだし、お代も払ってもらっているようで腹は立たないみたいだ。そして植物のような魔族がいることも知り、それを「樹人族」と呼ぶようだった。


そして、そのまま二人と一匹は散策を続けた。青と白に街にいろいろな種族の魔族。そして賑わう市場、キアノスの街、空にはウミネコが飛び、街中にはペリカンがいた。


お昼になり、近くにあったカフェに入った。ピュアはサンドウィッチとコーヒーを3人分買い、そこで食べた。


「鳥や動物もこの世界にはいるのか?」


コバルトはピュアにそう尋ねる。


「もちろんいるよ。魔族だけが仕切っている世界じゃなくて、ちゃんと他の動物もいるのよ。大体魔族は魔族同士共食いはしないもの」


それもそうか、市場には魚も売られていたり、レストランもある。鶏肉や牛肉も使われている。たとえ魔族の世界だろうと元いた世界と変わらないようだ。


昼食を食べ終えると、ピュアとライトはどうやらもう街を回る様子はなかった。王宮へ向かうようだ。


「コバルト、街もまわったし、楽しかったかな?これからさ、王様の元へあなたを連れていくの。まだ話していないこともたくさんあって、あたしだけじゃ話せないから、けど何があっても驚かないでね」


ピュアはにっこり微笑むと、そうコバルトに告げた。コバルトは内心不安でいっぱいだったが、この少女に自分は守られているような気がしてならなかった。そして街を出て王宮へ着いた。王宮の扉は岩上で立派な青色だった。


「ピュアか、よく来た。おお、そちらにいらっしゃるのは先日こちらに来られたあの方ですね。よくお越しくださいました。ささ、中へどうぞ」


門番である青い甲冑を纏ったウルフがそういうと、中へ招かれた。


白い階段を登っていくと、そこには青い絨毯が引かれ、その奥に扉があり開いていた。そして奥には玉座があった。


玉座の周りには、種族問わず甲冑を身につけた様々な兵が並んでいた。


そうすると、ライトが先に玉座の前まで走り、初めて会ったときのように帽子をとり、丁寧にお辞儀をするとこう言った。


「これはこれはコバルト様、遠方よりよくぞお越しくださいました。では今からこの国の王がまりますので、しばしお待ちください」


ライトがそういうと、再び帽子を被り、玉座の後ろから誰かが現れた。それはピュアと同じく「人間」の姿形をしていた。


全身煌びやかな青色の着衣と、青い髪に青い目、白い髭をし、額には青く光る宝石の入った冠を被っていた。


王が現れると、一斉にみな跪いた。ライトとピュアも同様。コバルトは瞬時に判断し、自分も同じようにした。そして次の瞬間、王はこう言った。


「はじめまして。私はこの国の国王、ロイヤルと申します。ご覧の通り色がロイヤルブルーなのです。あなたはコバルト様ですね。よくぞお越しくださいました。ささ、そんなにお堅くならずにどうぞおもてをあげてください」


王にそう言われると、コバルトは驚き、顔を上げた。そして目があった。その吸い込まれるような美しい青い瞳に、コバルトは驚きよりも酔狂してしまいそうになっていた。

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