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蒼き輪廻の果てに 〜転生したら青い鳥だった件〜  作者: 水猫
第一章 「青い国」
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2話 青い街

次の日。


コバルトは目を覚ますと大きく伸びをした。そしてベッドから起き上がると、妙に羽が嵩張る。そして背中に力を入れると羽に力が入り、痛みが走った。


「痛いってことは、本当に体の一部なんだよな。これ」


そういえば、昨日はこの世界に来てからすぐに深い眠りに落ちてしまって、何もできなかったが、ピュアとライトはこの家にいるのだろうか?青い窓枠から光が漏れている。どうやら朝のようだ。そのままドアを開けて部屋をでる。うわあ、すごい。そこには長い廊下があり、天井も床も全てが真っ青だった。縦長に伸びていて、扉がいくつもあった。まるで学校の教室のようなずいぶんと広い家のようだ。


そのまま歩いていくと、一番奥の正面に大きな扉があった。その扉の奥から何やら音が聞こえる。扉を開けるとそこにはピュアが立っていた。


「ああ、コバルト、おはよう、目が覚めた?気分はどう?今朝ご飯作ってるからちょっとまってね」


どうやらそこは、ゲストルームのような大広間だった。大きな白いテーブルが一つあって、青い椅子が四つ並んでいた。そししてその一つの椅子は他よりも背が高く、豪華であった。そしてそこには、昨日見たあの猫がちょこんと座っていた。


「おやおや、お目覚めになられましたかな?おはようございます。そろそろ朝食の準備ができますので、少々お待ちください」


ライトが椅子から降りて丁寧にお辞儀をすると、再び椅子に戻った。コバルトも椅子に座り、ピュアが朝食を用意した。パンと、サラダと、オムレツと、バラフライピーのお茶という組み合わせだった。


「あ、ミルクもあるからね。飲みたかったら遠慮なく言ってね」


ピュアがそういうと、コップに入ったミルクを持ってきて、その上にお茶を注いだ。白いミルクに青いお茶が注がれ、青と白のラテが出来上がった。


「やっぱり俺はこっちの方がすきだな。どうもお茶は好かなくて」


ライトはそう言って、白と青のラテが入ったコップを手で掴み飲み干した。すごい、猫が手を使ってコップを持っている。なんとまあ不思議な光景だ。


「あ、ところでコバルト、今日はこれからこの国の王のところに行って、あなたのことを話さなきゃいけないの。あなたが今後ここで暮らしていくために必要なこともあるし」


「あ、ああ、そうだね」


コバルトは不安な気持ちを抱えながらも、そう返事をした。自分はこれからどうなっていくのだろう?この世界に住んでいくのだろうか?


「まずはその白い服だとあれだから、着替えようか。あのさ、奥の部屋に男物の洋服があるから食べ終わったら着替えてきてね」


朝食を食べ終え、コバルトはピュアに言われた通りの奥の部屋にいく。なるほど、洋服も青系の色が多い。その中で襟がコバルトブルーで、服の本体がライトブルーの上着を見つけた。


「これでいいか。あと、ズボンは」


コバルトが目をやった先に灰色のズボンが目に入った。きれいな灰色だ。うん、これならライトブルーの上着と合うな。


着替え終わると、二人と一匹は家の外にでた。外に出て家を眺めると、それは大きな白と青でできた屋敷だった。表面はコンクリートのようなもので塗り固められ、石灰か何かを使っているようだった。そして天辺がドーム型になっており、青色をしていた。


「きれいな家だな」


青と白のコントラストが美しい家。表面は石灰で塗っているのだろうか?あるいはペンキか?


「あ、ライト待って」


コバルトが家に見惚れていると、ライトは一目散にかけて行った。ピュアは慌てて後を追う、コバルトももう少し家を見ていたかったが後に続いた。


「コバルト、もっといい絶景があるぜ。俺についてきな」


ライトは一目散にかけていく。二人はライトの後を追う。家から少し離れた、崖の上までたどり着く。


「うわぁ、すごい。絶景だな」


青い空に青い海。そしてその海に隣接する断崖絶壁に、最初に見たライトの家と同じように、白と青でできた真四角の家々が連なっていた。


「な、すごいだろう?あそこはキアノスの街さ、この青の領域の唯一の街。これからあそこへ行って君を案内しよう」


ライトはそういうと、一目散にその崖から降りて街の方へかけて行った。二人は慌ててライトの後を追う。それにしても足が早い。やはり猫は身のこなしが違う。


「はあーまったくライトったら。ごめんねコバルト、久しぶりのお客さんだから張り切ってるのよ。まったく猫ってどうしてああなのかしら」


二人はライトの後をついて行き、街へ繰り出す。すごい、その世界は白い壁で塗られた家に、ドアや格子や柵や窓枠など、木でできた部分は全て青で塗られていた。


そして街にたどり着くと、そこに人の姿はなかった。代わりにドラゴンや、ミノタウロスや、ウルフなどといった、漫画でしか見たことのないような、空想上の存在がそこにあった。


「おお、ピュア、今朝は随分と早いんだな。おや?見ない顔だね?ああ、そこにいるのが噂のあの?へえ鳥族か」


「ああ、シアン、おはよう。うん、こちらはコバルト、昨日来たばかりで、あ、コバルト、この人はシアン、ここの町の統括者よ」


町に着くと、魔族が話しかけてきた。それはコバルトより薄い青色をした大柄の竜族だった。リザードマンのようだ。そしてシアンという名の通り彼の色はシアンブルーだった。


「コバルトか!俺はシアン、この町の統括者だ!よろしくな!」


シアンがそう言って、コバルトに手を差し出してくる。コバルトは握手をする。ゴワゴワした鱗の手に強い握力。コバルトは他の魔族にも歓迎されているようだった。


「はい、シアンさん、よろしくお願いします」


「ははは、何敬語なんか使っちゃってんの?いいっていいって、そんなかしこまらなくて。ところでこれから王宮へ向かうんだろ?まあいきなりいくのもなんだし、まずは街を回ってみたらどうだ?」


「シアン、ありがとう。じゃあさ、コバルト、とりあえず街を見て回ろっか」


「ほらよ、ピュア、コバルト、持っていきな」


シアンがそう言って二人に果物を投げる。リンゴだ。青いリンゴかと思ったが、流石に色は赤だった。街並みと住人の色はみな青色だが食べ物の色は変わらないようだ。もちろん青リンゴもあったが黄緑色だ。


受け取とると、二人はシアンにお礼を言い、街を散策した。リンゴをかじるとそれはとても熟れていて甘くて美味しかった。そういえばリンゴの味は覚えている。自分の名前すら覚えていないはずなのに。そんな気持ちもあったが、初めて見るその美しい島の青と白の街並みにコバルトは感動していた。




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