17話 青いカフェのパンケーキ
「ねえねえ、コバルト、次あそこいこっ」
ピュアがコバルトの手を引いて次の場所に行く。もうピュアはノリノリで嬉しくてたまらないようだ。コバルトはピュアに手を引かれ、ついて行った。
「ここ!私このお店ずっと行きたかったの!最近できて、一回いったんだけど、今日はコバルトが一緒に来てくれて本当にうれしい!」
「ふーん、結構お洒落なお店だな」
そのお店は青い看板に白い文字で「Cartier」と書いてあった、かるちぇと発音するようだ。
「やあピュア、いらっしゃい、ん?今日は随分お洒落してるね、ボーイフレンドといっしょかい?ははは」
「マスターこんにちは!はい、今日は二人できました」
中に入ると、青い老ドラゴンのマスターがグラスを拭きながらそう言った。内装もテーブルも青と白でできていた。すごい、御伽の国に来たようだ。綺麗なお店だった。
二人は席に座ると、早速お店のおすすめメニューでバタフライピーのラテがでた。いつも飲んでいるが、やはりお店で飲むと美味しい。そして次にピュアがこう言った。
「ねえねえ、あたしパンケーキ食べたいんだけど、頼んでいいかな?一緒に食べよ♡」
「パンケーキ?ああ、いいよ。メープルシロップかけてかけて食う甘いやつね」
ピュアが嬉しそうに注文するとパンケーキがきた。すごい、ここのパンケーキはドーナツ型になっていて、二枚重なって、真ん中に苺とホイップクリームが乗っていた。
ピュアの目がキラリと光る。どうやら甘いものに目がないようだ。年頃の女の子だなあとコバルトは思った。
ピュアはとても嬉しそうにそして楽しそうにフォークとナイフでパンケーキを切って食べていく。コバルトも同じように食べる。甘い匂いがつーんと口いっぱいにひろがり、とても美味しかった。
かるちぇでパンケーキを食べ終わったあと、二人はお店をでた。その後、色んなお店を見て回ったら、あっという間に夕方になった。
「コバルト、今日は付き合ってくれて、ありがと。私コバルトと一緒にまわれて楽しかった。私今日のこと、ずっと忘れないね」
「ああ、ピュア、こちらこそありがとう。俺も楽しかったよ」
コバルトにそう言われると、ピュアはポーッとして顔が赤くなった。こんなふうに言ってもらえるなんてうれしい。
次の瞬間、ポーッと自分のワールドに入っていて幸せそうなピュアは足を踏み外し、階段から落ちそうになった。
「ちょ、ピュア、危ない!」
「え」
コバルトはピュアの体を抱き抱え、自分の方に引き寄せて落ちそうなピュアを引き留めた。どうにかピュアは階段から落ちずに済んだ。
「び・・・っくりしたぁ。怪我ない?ピュア?」
コバルトがそういうとピュアはさらにポーッとしてしまい、その場でコバルトの腕の中で幸せにまみれてぐったりとしてしまった。そしてコバルトの方をじーっと見つめた。
「あ、あのピュア?どうしたの?」
「ああ、ごめん、コバルト、今日なんだかあたし疲れちゃって。帰るの大変だからこのまま飛んで家まで送って行ってもらえる?」
「え?そうなの?ああ、一日中まわって疲れたのかもね。わかった。すぐに帰ろう」
(やった♡)
コバルトはピュアをお姫様抱っこすると、そのまま飛んで家まで帰った。ピュアはコバルトの首に手を回して、顔埋めた。ああーコバルトにお姫様抱っこしてもらえて幸せ♡
家に着くと、ピュアは普通に立ち上がり、家に入った。あれ?疲れてるんじゃないのか?とコバルトは思ったけど、ああ、きっと歩いて帰るのがめんどくさかったんだなと思った。それにしてもピュア、結構おもかったんだけど、ってそんなこと本人に言えるわけなかった。
「ただいまー」
「お帰りピュア」
リビングにいくと、ライトがテーブルに座って、クッキーをボリボリ食べていた。ああ、ライトもう起きてたんだ。まあそりゃそうよね。寝てたの朝だもんね。
「ピュアー、んで、コバルトとのデートは楽しかったか?かるちぇのパンケーキうまかった?」
「やだー、もうライトったら、うん、あそこのパンケーキ美味しかったよ。ってなんであんた知ってんのよ!?」
「そんなの知ってるに決まってるだろ。俺はお前の護衛だぞ?お前一人でいかせるわけに行かないだろ。あんなもんで本気で俺を騙せると思ったのか?」
ライトにそう言われると、ピュアは顔が真っ赤になった。じゃ、じゃあ、あの時も全部見られてた!?このクソ猫!なんでそうやって私に干渉してくんのよ!
「わ、わたしがどこ行こうと勝手でしょ!?ライト、あんまり干渉してこないでよ!」
「ふっふっふ、ピュア、お前の思惑くらいお見通しだにゃ。ま、今回は楽しそうでよかったな」
ピュアとライトがなにやら話していると、コバルトが中に入ってきた。
「ああ、ライト起きてたのか?んで、さっきから何を話してたんだ?」
「あーコバルトなんでもないなんでもない。あの、そろそろ夕飯だから先にお風呂入っちゃってよ」
ピュアは慌てて、その場をどうにか誤魔化す。やっぱりなんだかんだ言ってこの猫は抜け目がないし、騙せないなあ本当に。そんなふうにピュアは考えていた。