死転新生
どうも、E-V-Oです。
初投稿なので慣れていない部分があると思いますが、生暖かい目で見ていただけると嬉しいです。
轟々と耳に当たる風が気持ちいい、しかしその感情を置いてゆくように意識はどんどん過去に戻っている。
足は地に着いていない、地面とは5秒くらい前に別れを告げた。動きを止めかけた頭の中で今を振り返る。
事の始まりはただのいじりだったのだろう。
自分はそのいじりに乗れなかった、だから虐められていた。
「おい荒谷!お前の荷物重そうだから捨てといたぜ!いやぁ、俺ってほんっっと優しいなぁ!荒谷もそう思うだろ?」
「おおっ!流石秋吉先輩っす!荒谷先輩も見習ったらどうっすか?ああ!すいませんね、あんたにそんだけの事を出来るほどの頭は無かったっすね!いやー後輩失敬失敬!」
「ま〜じそれなぁ〜?せんぱーいダサイからいっぺん空飛んでみたらどうですか?ほら!紐なしバンジーですよ〜?きゃはっ!本当に男らしく無いですね〜。死んでみたらどうです〜?」
正直もう限界だった、だから今俺は落ちている。あと10秒もすれば正真正銘俺は死ぬだろう。
両親は死んでおり、預けられた親戚にはゴミのように扱われる、学校では何一つ良い事は無い。
物を無くしに来ているだけだ。
でも......一度でよかった。一度だけでも『友人』と馬鹿をやってみたかった、飯を食べに行きたかった。
だけど俺はココで終わり。
何一つ面白味の無い人生だった。
「......素晴らしい!貴様のような人間がまだ居るなんてな!人間よ、貴様を今からこの世界では無い場所に送る。どうせ死ぬ命だろう?......そこで、だ。なんでも一つ願いを叶えてやる。どうだ?悪い話じゃ無いだろう?さぁ!欲望を吐き出せ!」
黒いモヤが何かほざいている、馬鹿馬鹿しい。そんな魔法のランプみたいな物が有れば俺は......!
いや、違う。ここでうだうだ言っているのは違う。
......願いか......ならさ。
「友達が欲しい、一緒に笑い合えるような仲間が欲しい!ここでは無い何処かでも構わない!ッ!だから!」
「良いだろう!貴様の願い、聞き届けた!ならば後は私がその願いを叶えるだけだ!さらば、少年よ!幸運を祈っているぞ!」
そして思考は闇に...そま......っ...て
おぎゃあ!おぎゃあ!
「おめでとうございます!無事に男の子が生まれましたよ!」
おぎゃあ!おぎゃあ!
「しかもお向かいの家のお母様も只今出産を無事終わらせました。これって運命ですよね!」
おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!
「名前はどうするんですか?えっ!?もう決めてあるんですか?」
「ええ、この子につける名前はね、もう決めているの、そうアルバス。『アルバス・ゼラニウム』ふふっ良い名前でしょう?」
「おおー!名前とか正直よく分からないですけどなんか、男の子って感じがします!」
「貴方にも子供が出来れば分かるわよ?」
「なんかその発言大人って感じがします!あっ!すいません、そろそろ赤ちゃんをお預かりしても?」
「宜しく頼むわね?そう、ベットまで隣って本当に運命ね」
「えっ......とお隣さんはアナエスタさんでしたよね?お名前の方はっと、すいません!気になるので聞いてきます!.......はい!只今戻りました!お名前は『アイリス・アナエスタ』ちゃんですって!可愛らしい名前ですなぁ〜〜!」
「そうね......ふう、なんだか一気に眠くなって来ちゃった。少し寝させて貰うわね」
「はい!おやすみなさい!」
すう......すう......すう......んむにゃ......