七話全ての準備
そこには、威風堂々と佇むまさに女騎士と言うに相応しい女性が立っていた。
「あの~」
非常に声のかけづらいように思えたので、挨拶していいのか迷ってしまった。
「僕は、晴斗、星井晴斗。一応君を創った者です。」
ゆっくりと周りを見渡し、晴斗のところで視線を止める。
「そうですか」
「あ、はい、そう、です」
緊張から言葉がたじたじになる晴斗だった。
「これからよろしくお願いします」
そういったのも束の間、いきなり跪きこちらに頭を下げてきた。
「っえ」
状況が全く読めない晴斗は非常に困惑していた。
硬直した状態の中、空が口火を切った。
「分かりました。私はハルト様の側仕えのソラと言います。」
ソラの言葉で現実に帰って来たハルトは、まだ名前を決めていないことを思い出す。
「そうだ、君の名前を決めないと。」
「名前ですか?」
「そう、なまえだ。君が望む名前があるなら言ってみて」
いくら人造だからって名前がないと呼びづらい。
「特にありませんが…」
ないのか、
「じゃあ、こっちで決めちゃうか」
佇まいがそれとなく騎士に見えるから。
「えっと、じゃあアリア、っていうのはどうかな」
「分かりました。これから宜しくお願いします。」
こうして、新たにボディーガードを加えて異世界生活が始まった。
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異世界生活二週間目
今では、ほっとくだけで様々な収穫、加工、収集、保管までしてくれるようになった。
そういう機械を創造して地下にある竜脈に繋いで、プログラムを入れてそのまま。
制御は、屋敷の地下にある部屋で出来るようにした。
これを作るのに約一週間。
そう、あの後、アリアから様々な要望によりそうしたのだった。
彼女曰く、『我々の主君にその様な仕事はしなくてもいいです』だ、そうだ。
今回の配下はどうやら、忠義が厚すぎるようだ。
さて、今日も今日とて朝から朝食の後にリビングのソファーでくつろいでいた。
こうしていると、ホントに異世界に来たように思う、か?
いや、うん、そう思おう。
こんなにだらだらできるなんて、異世界くらいでしょ。
うん、そう思おう。
こうして、異世界での暮らしが整ったのだった。
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コンッコンッ
「失礼します。」
ソラが入ってきた。
「紅茶をお持ちしました。」
「ありがとう」
俺は、のどかな昼下がり、春のような暖かな陽気の中、ヴァルコニーで紅茶を飲みながら本を読んでいた。
コンッコンッ
「失礼します。」
今度は有明テニスの森が入ってきた。
「どうしたの」
「はい、ここ周辺を調査したのですが、ここからかなり先の森を抜けると、城壁のようなものとともに小さな明かりが点々とともっておりました。」
「えっ」
「町見つけました」




