四話食べ物は野性獣?
目の前には、海があった。
砂浜に、海、そんな状態であれば海水浴をしたいところだが、今現在の晴斗には、違った意味を成す。
孤立である。
ここの砂浜に来るまで、かなりの時間走っていたが、人ひとり居らず、町のようなものも見えず、草原が木々になっただけであった。
さて、サバイバル経験のない晴斗には、この後の行動が全く浮かばなかった。
車はある。
家も作った。
では、後は何か。
食料である。
周りの木々には、青やら赤の実がなっているので、食べれるものであろう。
しかし、肉となると、この島で鳥や野生獣を捕まえるか、釣りである。
とりあえず、自衛のための剣を想像する。
形は、日本にある刀のそれと同じで、それの長いのと短いのを一本ずつ。
念のため、剣を抜いたまま、散策する。
走っただろうか、もうすぐ自分の家が見えるだろう場所まで来。
一向に、動物気配がなかった。
このまま木の実を取って帰ろうと、車をおありようとした時だった。
後ろから、大きな気配が来た。
恐る恐る振り返ると、そこには、イノシシの大型版のような生物がいた。
「おいおいおい!運悪すぎだろ!」
そう言いながら、イノシシ(仮)から逃げるようにアクセルを踏む。
先にイノシシが突進してきたので、アクセルを踏みっぱなしで走っていく。
イノシシ(仮)が体当たりをかましてくるが、逃げる。
そうしていると、目の前から、緑色の小さな人型の生物が十数ほどこちらに走ってきていた。
「おいおい、どけおどけ!」
そう怒鳴りながらハンドルをきる。
長い時間走り、元の家まで着いた頃には、イノシシ(仮)も緑色の生物もいなかった。
「さすがに、追ってこないか」
俺は、トラックを降りる。
「結局、今日は食事なしか」
落ち込みながら、トラックに乗る。
俺は、屋敷に入るのも忘れて、眠るのだった。
こうして、異世界での暮らし、一日目が終わった。




