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魔法学園エスポワール  作者: 望月 優璃
第1章 魔法使い誕生
3/6

【第1話:ホットケーキ】

これは、主人公の七瀬胡桃と謎の羽のついたリスのぬいぐるみ(妖精)と出会う前の話。

 顔や体に傷が沢山あり、服はかなりボロボロになった少女達がいた。

 その少女達はこの世界を滅ぼすという凶悪な犯罪者達に立ち向かい必死で戦った。

 少女達はまだたったの18歳で未成年者だった。

 それでも少女達は"この世界を守りたい"という事に一心不乱に凶悪な犯罪者達と戦ったのだ。

 ―それは遡ること数年前のことだった。



 桜の花が咲き新しい出来事や出会いがあったり、別れの時でもあるそんな季節だった。

 窓の外で太陽の暖かな光に照らされながら、小鳥達が楽しそうに歌を歌っていた。

 すると、7時に目覚時計のアラームが鳴った。その華やかなメロディーに小鳥達は驚き逃げてしまった。

 アラームが鳴り響く中でもぞもぞと毛布の中で動く少女がいた。

 その少女の名前は七瀬 胡桃(ななせ くるみ)。今年の春から高校1年生になったばかりの女の子だ。

 胡桃は朝が苦手で、いつもなかなかベッドから出られない。だから、いつも誰かに起こしてもらっていた。

 なかなか鳴り止まないアラームに、

「いい加減起きなよ!そして、早くそのアラームを止めなさい!」

 と、怒鳴りながらも胡桃を起こすツインテールの少女が胡桃の部屋に入ってきた。

 ツインテールの少女の名前は七瀬 桃花(ななせ ももか)。胡桃の妹で、今年の春から中学生になったばかりだ。

 すでに桃花はきちっと制服をきて髪を整えていた。

「…あと5分だけ。…寝かせてほしい。」

 胡桃が2度寝をしようとすると、桃花は怒った。

「もう!お姉ちゃん、遅刻しても私は知らないからね!」

 胡桃から荒々しく毛布を奪うと桃花は言った。

「私はこれから朝食の準備をしてくるから、早く着替えて手伝ってよね。」

 桃花は奪った毛布を落とした。手に持っていた所で意味がないからだ。

 そのふわふわな肌触りの毛布はふんわりと物静かに落ちた。

「うん。分かった。着替えおわったら手伝うね。」

 胡桃はそう言って毛布を拾った。

「それから、()()()はしないでよね!」

 そう言われた胡桃はしぶしぶベッドから起き上がった。

 それを確認した桃花は胡桃の部屋から出て行った。



 胡桃はうんっと背伸びをしてから洗ったばかりの制服のセットを取り出す。真っ白なシャツから着て、紺色のスカートをはき、黒色のハイソックスをはいた。

 赤色のネクタイを手に取り全身がうつる鏡の前でネクタイを締める。苦手だったネクタイの締め方も今ではマスターしていた。

 ボサボサの寝癖をくしでなおし、適当にヘアゴムで髪を結ぶと着替えは終わりだ。

 いつもなら胡桃は髪を結んだりはしないが、なんとなく髪を結んでみた。

 この長くもなく短くもない髪の長さである胡桃のヘアースタイルをミディアムと言うらしい。前に雑誌で見たことがあった。

 自室を後にして階段を降りていくと、甘い香りが鼻をくすぐる。その匂いはキッチンの方からだった。

 そこへ向かうと、ちょうど桃花がホットケーキを焼いていた。

「おはよう。お母さんと桃花。」

「おはよう、お姉ちゃん。」

「あら、おはよう。胡桃ちゃん。」

 そう言ってお母さんは胡桃の髪を優しく撫でた。

「うふふ。胡桃ちゃん。髪がボサボサじゃない。なおしてあげるわ。」

 そう言ってお母さんは胡桃の髪の毛を器用に結い始めた。

「女の子なんだから、身だしなみには十分に気を付けなさい。」

 お母さんは胡桃を注意をした。

「き、気をつけます。」

 お母さんは髪を結びながら「うふふ。」と笑っていた。

「うふふ、胡桃ちゃん。綺麗に髪を結べたわ。」

 と、お母さんは満足そうに言った。

 すると、ボサボサだった髪型はみつ編みのハーフアップにきれいに結ばれていた。

「ありがとう。お母さん。」

 綺麗に結ばれた髪型に感動していると、桃花が言った。

「ねぇ、お姉ちゃん。そこのお皿を取ってくれない?」

「いいよ。」

 胡桃がお皿を桃花に渡すと、桃花はその上に焼きたてのふわふわなホットケーキをのせた。

「美味しそう」

 と、胡桃が言うと桃花はプイッとそっぽを向いた。

「うふふ。桃花ちゃんが朝早くから作ってくれたのよ。だって、ホットケーキは胡桃ちゃんの大好物でしょう?」

「そうなんだ。ありがとう。すっごく美味しそう。」

「…べ、別に、お姉ちゃんの為じゃないからね!自分が食べたかっただけだから!ほ、ほら、早く食べよう!」

 桃花は赤く染まった頬を手であおぐ。「火を使うと熱くなるのよね。」っと言ってドリンクを取りに行った。



「それじゃあ、頂きましょうか。」

 お母さんのその合図で席について朝食を食べ始めた。

 2枚重ねた厚みのあるふわふわのホットケーキの上に桃花の手作りの苺のジャムと甘い蜂蜜をたっぷりとかけた。

 ホットケーキの甘い香り、甘酸っぱい苺のジャムと甘い蜂蜜はとても甘くて美味しかった。

 桃花も同じようにたっぷりめに苺のジャムと蜂蜜をホットケーキにかけて食べていた。

「美味しい」

 胡桃がそう言うと、お母さんも続けて言った。

「とっても、美味しいわ。さすが桃花ちゃんね。」

「あ、当たり前でしょう?私が作ったのだから美味しくないわけが無いの!つ、作りすぎたからおかわりしてよね!」

「桃花、ホットケーキおかわり」

「桃花ちゃん。お母さんもホットケーキおかわり」

 胡桃とお母さんがおかわりすると聞いて桃花は「えっへん」っとどや顔をすると、すぐにいつもの顔に戻った。

「取ってきてあげる。」

 そう言って胡桃は立ち上がり空のお皿にホットケーキをのせた。…

 胡桃はおかわりしたホットケーキに苺ジャムと蜂蜜をまたたっぷりと上にかけて食べた。



 それから数分後。使った食器などの洗いを済ませ、胡桃と桃花は歯を磨きにいった。

「とっても美味しかったよ。ありがとう。」

 胡桃は歯を磨きながら言った。

「…そう。良かったわ。まぁ、私が食べたかっただけだし、また気が向いたらホットケーキ、作ってあげてもいいわよ。」

「胡桃ちゃんと桃花ちゃん。そろそろ行かないと遅刻しちゃうわよ。」

 お母さんが2人のスクールバックを持ってきた。

「ほら、お姉ちゃん。急いでよ。」

 桃花が急かすと、胡桃は「ちょっと、待って!あと3分!」と、言った。



 お揃いの茶色のローファーを履いて2人は言った。

「「行ってきます」」

「ええ。車に気を付けてね。いってらっしゃい。」

 お母さんはそう言って2人を見送った。

次回お楽しみに!!

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