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ノレイチの花

 私は教室でスマホの画面とK子の席を見比べながらため息を吐いた。K子の席には質素な花瓶と白い花が飾られている。


「結局、約束を果たす事は出来なかったか」


 あまり良い奴ではなかったけどそれでも殺されるような事をしていたのかは私には分からない。

 スマホの画面には今日のニュースが表示されている。想像妊娠していたわいせつ事件の容疑者が逃走。少女が自宅で刺殺された件。病院で何者かに赤ちゃんが盗まれた件が一覧表示されている。


「A子か。ねぇ、知ってる?」


 黙っているとF澤が話しかけてきた。中身を言ってないのだから分かる訳がない。


「K子ってさ。わいせつ事件の通報者らしいよ」

「JKと関わりが無さそうな気がするけど」

「たまたまさ、生徒会長に彼氏がストーカーされてる事を相談されたらしいよ。で嗅ぎつけて通報したみたい。カメラで撮って証拠も警察に出して」

「凄いじゃない」


 少しは見直す私にF澤が表情を曇らせる。


「それだけなら良かったんだけどね。……なんでもさ知った事をSNSで書き込んで拡散してたみたいだよ。持て囃されるのが楽しかったみたい」


 その一言にK子から頼まれていたノレイチの花の件を考える。既に答えは解けているが意味が分からない。


「ノレイチの花の件を頼まれてたけど伝えられなかったな」

「伝えなくて正解じゃないの?」


 一人呟く私に横からN村が口を挟んできた。私が顔を向けるとためらいながらも話しだす。


「F澤さんは勘違いしてる。死んだK子の悪口は言いたくないけどあいつは知り得た情報を自分の手柄にしてた事が何度かあったから……JKの件も多分……」

「他の人から知り得た情報を流したと」


 私の一言にN村が頷いた。


「そ、それより今話題のノレイチの花の謎が解けたんだよね? どういう意味だったの?」


 話題を変えようとF澤が話を振ってきた。


「……最初は何の事だと思ってたんだけどクイズとかである漢字とかの組み換えだと考えたらすぐに解けたよ。でも私には意味が分からない」

「取り敢えず教えてよ」


 N村が流石に拙いと思ってF澤に乗ってきた。


「分かった。まずノとレは片仮名のハ、そしてイチは漢字の一にしてノと組み合わせてナ、花はそれぞれ分解して草冠で片仮名のサ。そしてイは崩してナ。匕は形を整えてイ。で全部読むとハナサナイ。割と強引だけど何の事か分からないでしょう?」


 私が苦笑交じりに答えを出すとF澤とN村の表情が凍りついた。


「その推理、別の人に教えてもいい」


 その言葉に頷くとN村がスマホを取り出して誰かに電話を掛け始めた。一回目は出ないのか二回目は別の相手にかけ直してる。N村です。父であるN村Tをお願いします。などと電話の相手に言っていた。


「二人共どうしたの?」

「……あたしは……直接知らないんだけどさ、そのノレイチの花の話が出回り始めたのは4ヶ月くらい前だよね? その頃ってK子がJKの事を垂れ込んだ時期なんだよね」


「こんな事を言うのも駄目なんだけどさJKがさ妊娠してると主張して病院へ行く途中に脱走した時に書かれてた血文字がノレイチの花だったんだよね。それでさ、K子が殺された部屋に書いてあった血文字も──」


「ノレイチの花だったんだ」


 N村の言葉を引き継ぐように私が言った。1ヶ月あったとしてもノレイチの花が広まるのが早すぎるだろうと唇を噛む。目の前でN村は彼女の父親らしい人物に私のこじつけを説明していた。

 そして電話し終わるとゆっくりとこっちを向いた。まるで柳の下の幽霊みたいに顔が真っ青だ。


「生徒会長のEが居なくなったみたい。行方不明者届が両親から出されたって」


 娘に捜査情報バラしていいのかと思いもするがN村が言った言葉に納得する。


「お前たちも気をつけろって」


 そう言えば、D崎は転校してこの学校から去った事を思い出した。この事件に関わった者は失踪したり殺害されたりろくな事がない。私も公の場では一連の事件に関して口を閉じている事にした。


 それから数ヶ月後、ノレイチの花は検索してはいけない言葉に仲間入りし、学校では今回の件については誰も口にしなくなった。口にすればK子や生徒会長のEと間違えられたJKに殺されると言う。

 そうJKは都市伝説になったのだ。

 ノレイチの花を見ても口にしてはいけない。貴方に災いが降りかかるから──


[了]

とあるホラーに影響を受けて短編じゃなくてこのような構成になっております

読みにくかったら申し訳ない

つーか怖いと言うより水気を含んでてネットリして気持ち悪いかも

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