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次の日、俺が登校すると校門が何やら騒がしかった。先生たちが集まっていて何かを話していた。
「なんだあれ?てかあそこって俺の上履き入れのとこなんだけど」
俺がそう思って近づいていくとそこには吹奏楽部の顧問の夏子先生が何か怒っているように見えた。
「あ、夏子先生!どうしたんですか?なんか騒がしいっすけど」
「佐藤くん!おはようございます。あのね、何かいじめを受けてるの?」
「え?まぁ」
「なんで言ってくれないの!相談してくれれば対象もするし色々と出来ることもあるのよ?」
俺はその言葉を聞いて確かにそうだと思いました。実際俺が信用している先生は夏子先生ただ一人だしな
「すいません。今度からちゃんと言います」
「もっと頼ってね?」
「おはよう!耀太!なっちゃん!」
「山西先輩おはようございます」
「山西くん?なっちゃんじゃなくて先生でしょ?」
「何してるの?二人して」
俺は軽く先生の話を無視した山西先輩を見て呆れと同時に笑いが込み上げてきた。
「もう…佐藤くんがいじめられてるのではないかって思ってね聞いていたの」
「そりゃあクズ谷を殴ったらいじめられるよwだってファンクラブあるんだし」
「ファングラブなんて高校にもあるのね、初めて知ったわ」
「先生たちはあまり関係ないですもん」
「耀太の言う通り関係ないですししょうがないっすよ」
「それもそうね」
夏子先生と話を終えると俺は自分の教室に向かった。余談だがまな先輩との朝練の約束は今週一杯なしになった。そのかわり、放課後二人で帰る約束はしてある。
~放課後~
「これからミーティング始めます。連絡は帰る前にアンケートの提出をすることと、終了時刻は6時30分までです。他に連絡ある人はいますか?なければ練習を開始してください」
部長がそう言うと全員が移動を開始した。俺は自分の荷物を持ってまな先輩のもとに向かった。
「まな先輩!昨日の練習で楽譜忘れてましたよ」
「耀太君が持ってたんだ。ありがとね?」
「いえいえ、大丈夫っすよ」
二人が仲良く話していると周りはその光景をジロジロと見ていた。
「えっと、みんなどうしたの?何か私達変?」
「いや、仲良くていいねって思っただけだよ?」
双葉がそう言うと全員から頷かれてしまい、まな先輩は顔を真っ赤にしていきなり変なことを口走った。
「ち、違うよ!別に付き合ってるとかそういうことじゃないっていうか違うっていうかようくんとは普通に仲良くしたいと思ってたし好きだったからそのえっと…」
「まな先輩!?色々と言ってることがおかしいっすよ?一回落ち着いて」
「愛奈は昔からテンパると変になるよね~…それにさっきまで耀太くんだったのに呼び方ようくんになってたし」
まな先輩は今頃気付いたのか逃げるように顔を隠したが周りがニヤニヤしていたせいで居づらくなったのか教室から出ていってしまった。
「まな先輩!…いっちゃったよ。双葉先輩あまりからかって苛めちゃだめっすよ?」
「えへへ、楽しくてつい…まぁそんなことより!付き合ってるの?大体察しはついてるけど」
「弁明の余地無しっすもんね。まぁ付き合ってると言えばそうですねとしか返せないっす」
俺がそう言うと周りからキャーキャー言われて背中やら頭やらを叩かれまくった。川田先輩に至っては泣きながら肩に手を置いて
「おめでとう!…俺は祝福するぞ…羨ましいがお前なら大丈夫だ」
「一応ありがとうございますと言っておきますね?」
「ひどくない!?もっと感謝してよ」
みんなが笑って楽しく過ごしていると空気の読めない山西先輩(笑)が入ってきた
「なんか俺のこと今バカにしたか?」
「イエ、ナンデモナイデス」
「ん?そっか、ならいいんだが…それよりこの状況は一体?」
「いやー、まな先輩が墓穴を掘って」
「交際がバレたと?まぁ結城に隠し事ができるとは思わないからなぁ」
「俺もそう思ってたので問題ないっす」
「そういえば顧問のなっちゃんからの伝言あって、耀太は最後のミーティング終わったら来いだってよ」
「了解っす」
そうして俺たちは練習を再開した。途中でまな先輩が戻ってきたけど周りがニヤニヤしていたせいで集中出来ていなかったのかところどころ音をはずしていたのは秘密である。その後、ミーティング終了後に俺は夏子先生のもとに向かった。
「失礼しまーす」
「あら?部活は今終わったの?」
「はい!さっき終わりました。ところでなんですか?」
「朝の話だけど、君が暴力を奮ったことで相手の親から連絡が来たんだけど、謝れって来たけどお断りしといたから」
「へ?なんで断るんすか?」
「さっきタバコを吸ってるのを指導部の先生が見つけてね、今退学にするかとか話してるんだけど、音楽準備室でも吸ってたって言ってたらしくてあなたが怒った理由も納得したらしいの」
「俺が普通に生活してる間に終わったんすか?」
「終わったみたいね、だから気にしないで過ごしていいからね?」
「まぁ今もさほど気にしてはないですよ?」
「見れば分かるわよ…結城さんと仲良くね?」
「はーい…って知ってたんすか?」
「色々と職員室にそういう話は来るのよ?」
「そうなんですね、じゃあ帰ります」
「気を付けてね」
俺は夏子先生に挨拶をすると職員室を出て校門に向かった。
「まな先輩!すいません、少し遅くなりました」
「……」
俺が挨拶するとまな先輩は何も言わずにそっぽを向いてしまった。俺は何かまな先輩を怒らせるようなことをしたのか考えていてすぐに気づいた。
「まな?」
「ん?なーに?」
俺は自分の予想が当たって安堵したらまなは笑いだした。そのまま二人で帰路についた。俺は先生から言われたことを喋って色々と話をして家に着いた。
「じゃあね、また明日ね?」
「うん、じゃあな」
俺はまなが家に入るのを確認してから自分の家に行った。今日もいつも通り過ごせたかなって考えながら
(いつかは話さないとだよな…)