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山西と結城が家に着くと、耀太の親から部屋に案内された。二人が部屋に入ろうとしたとき、中からトランペットで演奏している音が聞こえた。二人が中にはいると耀太が練習していた。
「あれ?まな先輩に山西先輩!?なんでいるんすか?」
「いや、耀太が元気にしてるかなって思ってさ。まぁ、その調子だと問題無さそうだな」
「そうだね、大丈夫そうで安心したよ」
「ご心配おかけしました…」
俺はそう言って頭を下げると山西先輩が
「そういやお前らって付き合い始めたんだな。おめでとう」
「・・・は?なんで?」
「いや、結城の態度とか見れば大体察しはつくだろ?」
山西先輩がそう言ったのでまなの方を見ると赤くなって俯いていた。
(確かにこれはバレる気がする…てかもろわかり?)
「あー、そうですね。」
「そうそうwてか1つお前に聞きたいんだけど」
「はい?なんですか?」
「中学1年の頃に女の子にナンパしてた大学生との喧嘩のこと覚えてるか?」
「先輩!?いきなり過ぎますよ」
俺は首を傾げた。そんなことした記憶を辿ると
「あー、ありましたねそんなこと。てか急に何故その話を?」
「お前あんとき助けた女の子のこと覚えてるか?」
「んーと…一応覚えてますよ?可愛い子でしたよね。まぁ、そのときは大丈夫か聞けなかったっすけど…」
「そうだな、かわいかったよな。」
「てかなんでその話を今ここで言うんですか?」
山西は結城を見てから指を指して笑いながら
「そのときの可愛い子」
「…え?」
俺はそれが冗談だと思ったがまなは笑いながら俺たちの会話を聞いていた。俺は嫌な予感がして
「マジっすか?」
「うん!そのときはありがとね?お礼言いそびれちゃって…それにごめんなさい」
「いや、大丈夫ですよ。こうしてまた会えたわけですし…それに、ねぇ」
俺は恥ずかしくなった。まさかそんな偶然があるのかと思ってしまった。無理もないだろう
「そういえばなんで謝るんですか?あれは俺がしたことですよ?」
「だって、ボクシングの全国大会出れなくなっちゃったんでしょ?」
俺はそれを言われて山西先輩の方を睨んだ。すると
「悪い!全部話した!」
「何故だ?何故話す!理由を言え!」
「隠し事がアカン!ということ伝えたくてな」
「…確かに正論だけど許可ぐらい取ろうという気はないのか?」
俺はもっともなことを思った。別に隠そうと思ったわけではなかったのに
「まぁ細かいことは気にすんなwとりあえず、明後日の部活に来たら色々と大変だろうけど元気出せよ」
「…わかってますよ」
~登校日~
「いってきまーす」
「もう喧嘩事はやめてよ。あと結城ちゃんによろしくね」
「わかってるよ…って何を?」
俺は早々と家を出て学校に向かった。音楽室に行って早く練習したいと思って行ったが
「なんだよこれ…」
俺のロッカーには赤字で色々な悪口が書かれていた。どうやら俺の殴ったあの人は人気者だったらしく女子生徒達の報復だろうと察した。俺はそのロッカーから上履きを取ると中に大量の画ビョウが貼ってあった。
「…暇人だなぁって俺の上履き勝手に触るなよ。気持ち悪いなぁ」
俺がそう思いながら画ビョウを一つ一つ取っていると
「おはよう耀太!」
山西先輩が現れてしまった
「何してんだよ…ってなにそれ?うわ、ひどいな」
「早いっすね」
「お前が心配で来たんだよ!そしたらこんな現場に居合わせるとは」
俺は呆れたような称賛のような顔をして
「暇人達の嫌がらせだと思いますよ?まぁ無視しますけど」
「無視するんかい!でもいいのか?エスカレートしないの?」
「したら相談しますしこっちから話に行くことにならないようにしてほしいっすね」
「んまぁ耀太がそう思うならいいけど…結城にバレたらどうするんだ?」
「笑って受け流します」
俺はそう言うと山西先輩と教室に向かった。すると机や黒板にも俺宛の悪口がたくさん書かれていた。
「…笑って受け流せるのか?」
「まぁ大丈夫っすよ」
二人がそう話しているといきなり
「笑って受け流せるなんていじめに馴れてるんだね君は」
「「……誰?」」
二人はその男の顔を見て同時に質問した。
「君のせいで僕の顔が傷付いてしまったじゃないか」
「あ!お前耀太にボッコボコにされて泣いて謝ってた惨めな…クズ谷だっけ?」
「僕の名前は菅谷だ!」
「そうそうそれ!」
俺は二人のコントみたいなのを見せられてうんざりしていると
「おはよう!ようくん!…ってこれなに?」
まなが現れた
「あ、おはようございます!まな先輩」
「んぁ?結城じゃん!おはよう」
「これはこれは結城さん…どうしたしたんですか?」
結城は黒板や耀太の机を見て唖然とした後に
「なにこれ?なんでこんなことになってるの?」
「あはは…嫌われてるみたいっすね。俺」
「人のことを殴ったり暴力を奮うような人間は嫌われてしまうんだよ」
「お前が煙草なんて吸おうとしたからだろこのクズ谷」
俺は笑いながらまなに声をかけると
「…ようくんは私のためにしてくれたのに…また悪者扱いされる…やっぱり私のせい」
「まな先輩?大丈夫ですか?」
結城はそのまま走って行ってしまった。山西は結城の後を追って走っていった。
「やれやれ、僕の話をちゃんと素直に聞けばこんなことにならなかったのにね」
「…お前調子乗るなよ?次まな先輩に何かしたらそのふざけた面2度と表歩けないぐらいボロボロにするからな」
「なんだい?まだやるの?また嫌われてしまうだけだよ?それか退学かな?あっはっは」
菅谷は笑いながら教室を後にした。その後の授業はひどく、先生は俺が居ないように扱って周りの生徒は無視したりこちらをみてヒソヒソ何かを話していた。