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山西が部活に行く途中、1通のメールが届いた。メールは耀太からで内容を見てみると
[昨日はごめん、停学明けにはすぐ部活に向かうから]
(う~ん…元気そうならいいんだが。そんなことより結城との関係が非常に気になるのだが)
[それならよかったが…無理はするよ?]
山西は耀太にそう送ると部活に向かった。音楽室に入るとみんながもう集まっていたらしくてミーティングが始まっていた。
「遅いよ?山西くん。ミーティングはじめちゃってるからね」
「ごめんごめん、続けて大丈夫だよ」
山西はそう言うと周りをキョロキョロした。結城が何処にいるのか探して見つけた。その直後にミーティングが終わり移動しようとすると
「結城!ちょっと今大丈夫か?聞きたいことあるんだけど」
「山西先輩?…大丈夫ですけど」
「そっか、ありがとな。」
山西は結城を連れて音楽室を後にした。耀太のことで色々と聞きたいがその前に大事なことを聞きたかったのだ。
「率直に聞くけど、結城ってもしかして耀太と付き合ってんの?」
「な、なんで急に??」
結城は誰が見ても明らかなぐらい顔を真っ赤にしてキョドっていた。山西はそんな結城が面白くて
「隠し事出来てないぞ~!まぁ、ほとんどの部員が薄々感づいてたけどな」
「うう、なんで?」
「そりゃあ昨日あんな風にしてたら大体察しはつくだろうし、俺にはメールで呼び方違かったしさ」
「え!?」
結城はすぐに携帯を開いてメールを確認した。確認し終わったのか顔を真っ赤にしてこっちを見た後に
「わ、忘れてください!」
「いや、無理があるでしょ!気になって仕方がないわ!…別に冷やかすつもりはないって」
「…本当ですか?」
「おいおい、信用ねぇーな。それよりも俺にとっては耀太の恋が実ってよかったと思ってるんだぜ?リア充は嫌いだけどよ」
山西は心の底から耀太のことを祝福していた。それと同時にちょっと寂しさも感じた。
「まぁ、言いふらしはしないよ!それより昨日は耀太のこと何とかなったみたいだしな!あいつから連絡が来たからうまくいったんだろ?」
「ま、まぁうまくいきましたけど」
「親御さんにも挨拶できただろうしな」
「まだ早いですから!」
「ほほーう、ま・だ・となw」
山西は意地悪をしたこどものような顔をして結城を見た。ニヤニヤしている山西を見て結城は恥ずかしくなったのか
「や、やめてくださいよ!それより部活に行きましょうよ。」
「はいはい、遅れると変な噂になるしやめときますかー」
二人は練習のために各自の練習場所に移動をした。
(終わったら耀太のとこにでも行くか…土産と俺の拳で祝ってやろう)
~部活終了後~
山西は部活が終わると結城と二人で耀太の家に向かった。結城もお見舞いに行くと言ってきたので断る理由もなく一緒に下校していると
「…山西先輩?」
「ん?どうした?結城」
「1つだけ聞きたいんですけど、ようくんって昔そんなに荒れてたんですか?」
「あいつから聞いたのか?」
「はい、でも大事なことは教えてくれなくて」
「う~ん…俺から言っても大丈夫かな?」
山西は昔の耀太のことを言うのを躊躇った。だが、相手は耀太の彼女でもあるしいつかは知られるだろうと思って
「まぁいいか、昔のあいつだろ?そりゃあもうヤバかったよ!中学の頃はボクシングで全国まで行ったのに喧嘩なんてしちゃって出場停止になったんだ。しかも優勝したのアイツが県大会で倒した選手だったんだぜ?多分出てたら優勝できたんじゃっても言われてた。」
「そんなに強かったんですね…」
「一年の頃だけどな?そのあと吹奏楽部に入ってきてびっくりしたんだぜ?」
「でもなんで喧嘩なんか?」
「元々喧嘩ばかりしてたやつだからな、理由は家のせいでもある。あいつは親父に捨てられたんだよ。それ以来かな?妹とか母親を守らなきゃっていつも言ってた。あいつにとって女性ってだけで守らなきゃって対象になったんだよ。」
「それがどうして喧嘩に繋がるんですか?」
「駅前のお祭りでさ、一人の女の子が絡まれてたんだよ。多分ナンパだろうって思ったんだけど、大学生ぐらいの奴等だったから大人を呼ぼうって俺は言ったんだけどあいつは何を思ったのか助けに行くって走ってたんだよな…んでその大学生をぶっ飛ばしてから学校でも腫れ物扱いされたってわけよ」
「駅前の祭り…ナンパ…」
結城は山西の話が終わると小さい声でブツブツ何かを言いながらなにか考えていた。そのあと、急に泣き始めてしまったので山西は慌てた。
「え?え?ちょっとどうしたんだよ?なぁ、大丈夫か?」
「大丈夫です…ちょっと嬉しくて」
「なんで今の話から嬉しいって感情が湧くんだよ」
山西がそう言うと結城は涙を拭いながら
「…そのナンパされてたのは私です。駅前の祭りで友達とはぐれたんですけど…知らない大学生に絡まれて困ってるのを助けてもらったこともあります。」
「は?…マジで?」
「…はい、あのとき名前も聞けずに居なくなってしまったので何度も探したんです。友達がようくんの名前を知ってて学校に来たとき嬉しかったんです。」
「…なるほどな、だから耀太に優しくしてたり頼ってたのか。」
「はい」
山西は少し納得したが疑問に思った。何故耀太が助けたのを知ったのにこのことを知らなかったのか
「んじゃあなんで理由を知らなかったんだ?大体察しはつくと思うけど?」
「違うかもって思ったんです。漢字までは知らなくて…ただ同じ名前だったので頼りたくなったんです…そのうちにようくんのことが好きになって…」
「なるほどな、つまり結城は耀太のことを薄々感づいてたわけだ、でも確証がないからあまり攻めなかったと」
「…言い方に悪意を感じるけどスルーしますね?その通りです。でも私のことを優しくする人はたくさんいるんですけどずっと気遣ってくれたのはようくんだけでした。」
「まぁ、アイツは好きになった人に対して尽くそうとするタイプだからなぁ」
「でも今のを聞いてますます嬉しかったんです。あのとき助けてもらったのもあるんですけど、なんか運命だなぁって…周りの男子は肝心な時に助けてくれなくて」
「その程度ってことなんじゃね?俺にはわからないけどさ」
二人は昔話に華を咲かせつつ耀太の家に向かった。結城は思っていた。
(会ったら謝罪とお礼しなきゃだよね。私のせいで出場停止になってしまったんだし)
そうして二人は歩いた。友が恋人が待つ家まで