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5ページ目

俺は結城先輩が何を言うのかを真剣な顔で聞いていた。どんなことを言われても冷静に対応出来るようにと思いながら。


 「好きなんだ…」


 「え?トランペットのこと?」


 「ち、違うよー。トランペットじゃなくて…その」チラッ


 「え?じゃあいったい?」


俺は結城先輩が言おうとしていることが分からなかった。いったいなんのことが好きなのか。俺がそう思いながら首を傾げていると


 「私は佐藤くんのことか好きなの…ずっと前から」


 「お、俺?え?どうして?いや、ちょっと待って」


 「…いきなり言われたら迷惑だよね、、ごめんなさい」


俺は気が動転して気が気じゃなかった。


 (結城先輩が俺のことを好き?いや、そんなの聞き違いだよな…そうだよな…なんだって俺を好きになるんだよなって話だし)

 

 「佐藤くん?聞いてくれてる?」


 「は、はい!なんでしょうか?」


 「もう…やっぱり聞いてないじゃん」


 「す、すいません」


俺は拗ねてしまった結城先輩に謝った。でもその拗ねた表情がとても可愛くて見とれてしまった。だがすぐにそのことを振り払って。そして聞いた


 「えっと…結城先輩は俺のことが好きなんですか?」 


 (これで違うってなったらマジで自惚れ変態くそ野郎になっちまうなw)


 「…はい、そうです。付き合っていただけませんか?」


俺はいきなりの告白に気が動転した。それもそうだ。みんなも好きな人から告白されたら混乱してしまうだろう。俺もそんな風になってしまった。


 「えっと、冗談でもなくて遊びでもなくてですか?」


 「私は冗談とか遊びとかで人を好きになったりしないよ?」


 「ほんとですか?」グス


俺は嬉しさのあまり泣いてしまった。こんなに幸せでいいのだろうかと思ってしまうほどに嬉しかった。俺は結城先輩を抱き締めて言った。


 「ちょっと佐藤くん?どうしたの?え?え?」


 「俺も結城先輩のことが好きでした。俺からも言います付き合ってください」


 「…はい、よろしくお願いします。」ペコリ


こうして俺と結城先輩は付き合うことになった。朝山西先輩に言った辞めるとかいう話は完全に頭から抜けていた。俺と結城先輩は今日はとりあえず帰ろうと話になり一緒に帰宅した。案外結城先輩と家が近くてちょっと嬉しかったのは内緒である。


 「あのね、佐藤くん」 


 「はい!なんですか?結城先輩」


 「その…電話番号教えてもらってもいいですか?」


 「も、もちろんですよ!俺も結城先輩の知りたかったですし」


俺はそう言うと携帯を取り出して電話番号を交換した。俺と結城先輩はその番号をじっと見つめたあと、目を合わせて笑った。


 「それじゃあ俺はこの辺で、お疲れ様でした」


 「うん!…あ、そうだ!佐藤くん」


 「ん?なんですか?結城先輩」


 「せっかくだから、佐藤くんのことようくんって呼んでもいいかな?」


結城先輩は上目遣いで俺を見てきた。俺はそんな結城先輩が可愛すぎて顔を真っ赤にしながら


 「その…いいですよ?」


 「ほんと?やった!ありがとね?ようくん♪」


俺は嬉しそうにしている結城先輩を見て理性が吹き飛びかけたがなんとか保ち


 「じゃあ俺はなんて呼べばいいですか?」


 「え?」


 「いや、結城先輩だけはずるいっすよ。」


 「…ようくんはなんて呼びたい?」


俺はその質問に頭をフル回転させて考えた。結城先輩をなんて呼ぶかなんてほんとは家でめちゃくちゃ考えていたがそれが現実になったので真剣に考えて


 「じゃあ、まなって呼び捨てにしてもいい?」


 「うん!いいよ…でも学校の時は先輩ってつけてね?恥ずかしいから」


 「わかりました!…まな」


 「うん!これからよろしくね?ようくん」


結城先輩…いや、まなはそう言うと手を振って家の中へと入っていった。俺はその姿を見届けてから帰路についた。その帰り道、俺は色々と考えながら帰っていると一本の電話がきた。山西先輩と表示された


 「はい、もしもし。どうしたんすか?山西先輩」


 『耀太。あの後どうなった。』


 「ん?なんのことっすか?」


 『謝ったんだろ?許してもらえたのか?』


 「あー、そういや報告する的なこと言いましたね!すっかり忘れてました」


 『忘れんなよ!まぁその感じだと許してもらえたみたいだな…よかったよ。』


 「えへへ、部活は辞めないっすからよろっす」


 『あいよ。じゃあそれだけだから』


そう言って山西先輩は電話を切った。俺はそのあと鼻唄を歌いながら家に帰ると親から頭がおかしくなったと誤解されてしまったのは言うまでもない


            ~次の日~


俺は朝からハイテンションで学校に登校した。


 「こんな幸せな登校日は初めてだ!」


俺がウキウキしながら音楽室に行くと鍵が閉まっていて入ることが出来なかった。いつもならまな先輩が開けてくれるのにと疑問に思いながら俺は職員室に向かおうとしたら音楽準備室の方から物音が聞こえたので入ってみると


 「なぁ、誰もいないんだしゆっくり話そうよ。少し話せば俺のこと好きになるって」 


 「ここは部外者は立ち入り禁止ですよ?早く離れてください。」


 「つれないなぁ…ちょっとでいいからさ。それにここ先生来ないんでしょ?タバコも吸えるし最高じゃんか」


中では、まな先輩と俺の知らない男子生徒が居た。男子生徒は嫌がっているのにタバコを吸いながら無理やり居座っていた。俺の中で何かが切れた。気が付いたら俺は山西先輩と川田先輩から羽交い締めにされていた。目の前には泣きながら許しを請う男子生徒がいた。そのあと、職員室に連れてかれて事情を話したが…俺は三日間の停学処分となった。


           ~放課後~


山西は私用で遅れて部活に行った。するとどういうことか、結城を部員全員が囲んで何か質問をしていた。多分内容は耀太の暴力沙汰だろう。相当相手側が怪我をしたので部活の最初に顧問から連絡があったのだろう。そのため部活ではその話題で持ちきりだった。

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