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3ページ目

次の日の朝から俺は結城先輩との約束で朝練に来た。朝7時10分に来たら結城先輩が校門前に居た。俺は急いで結城先輩の元に走っていった。


 「結城先輩!おはようございます!早いですね?」


 「え?さ、佐藤くん!おはようございます。まだ約束の時間じゃないけど…」


俺が来たことにビックリしたのか焦った様子で結城先輩は返事をしてくれた。


 「いや、結城先輩と早く練習したくて来たんですよ。なんならもう少し早く来ますか?」


 「うんん、大丈夫だよ?無理しなくていいから」


 「なに言ってるんですか?俺が会いたいから早く来たんですよ?」


俺は本心を伝えた。おかしいのかと思った。そりゃあそうだよな。俺は楽しみすぎてほとんど寝てないのだから


 「…佐藤くんって天然だよね」ボソッ


 「結城先輩?何か言いましたか?」


 「ううん!なんでもないよ?それより早く練習しよ」


 「は、はぁ」


そうして俺は念願の結城先輩と二人きりの練習が始まった。


 「佐藤くん、楽譜の四ページのところなんだけどさ。なんかスムーズにいかないんだけど」


 「それなら息を弱くして、まっすぐ吹けばいいと思いますよ?息を強くすると曲調からずれるかも知れないですし」

 

 「そっか。ありがとう!もう一回してもいいかな?」


 「いいですよ。付き合いますから」


その後朝のHRギリギリまで練習は続いた。正直下級生の俺がアドバイス等していいのかと思ったが結城先輩が「そんなの関係ないよ」と言ってきたのでアドバイスをするようにして二人で練習した。


            ~放課後~


 「これからミーティングを始めるので静かにしてください」


今日は3年生が三者面談のため副部長の結城先輩が前に立ってミーティングを始めた。そのとき、事件が起こった。


 「あのさ、前から思ってたんだけど練習する場所を交換してほしいんだけど!なんでクラはエアコンある部屋なのに俺たちサックスの方はないんだよ」


その一言が火種となりミーティングがいきなりカオスになってしまった。2年生は3年生がいると静かなのだが居なくなるとこうして度々文句を言って争うことがある。


 「あの、その話は3年生とかが居るときにみんなでちゃんと話し合って決めた方が」


結城先輩がそう言ってなだめようとすると


 「うるせぇなぁ。3年生が居ないとなんも出来ないくせに意見すんなよ!好かれてるからって言うこと聞くと思うなよ!」


 「なにそれひどくない?ちゃんと謝ってよ!男のくせにちっちゃいこと気にしてんじゃねーよ」


2年生の男子と双葉が言い争うとクラリネットパートとサックスパートが喧嘩を始めてしまった。結城先輩がオロオロして困っているのを見て俺は我慢出来なくなってつい


 「うるせーよ!!結城先輩の身になって考えろよ!副部長の仕事のこと知りもしないで文句ばっかり言いやがって!それなのに何もしてないだ?ふざけんなよ!そんなに自分が偉いんだったら3年生とか顧問に話せ!今結城先輩に言うことじゃねーだろが」


俺が叫んでそう言うと音楽室はしんっとなった。いつも俺が怒らないからみんなビックリしたのか俺の方を見て固まっていた。すると


 「三者面談から帰還した山西先輩だぞー…ってどした?みんなして静かになって」


 「あ、山西先輩お疲れ様です。ちょっと揉めてしまってたので」


 「そうなの?ふーん…とりあえず!耀太!お前はその怖い顔を一回直せ!マジでやべぇぞ」


 「…あれ?先輩いつ頃きたんすか?」


俺が山西先輩にそう言うと


 「いや、さっきだけどさ。何があったか説明してもらえるか?」


俺はさっき起きたことを全部話した。それで自分が叫んだとこで先輩が来たのだと伝えると先輩から


 「状況は理解した。まず耀太は顔を洗ってこい!マジで怖いから」


 「はぁ、、わかりました」


俺は渋々音楽室を後にしようとして


 「そうだ!結城先輩!大丈夫でしたか?いきなり叫んで申し訳ありません。後はお任せします。」


それだけ伝えると俺は顔を洗うために急いで水道にダッシュした。


 「さてと、事の発端はお前か?川田」


 「…はい」


川田は吹奏楽部2年生。サックスパートのリーダーでたまに調子にのってしまうことがある。その度に山西先輩に怒られているのだが


 「そういうのは俺たち3年生が居るときに言えよ。下級生に怒られて恥ずかしくないの?それと双葉もな」


 「うっす…すいません山西先輩」


 「はい、わかりました。すいません」


山西は二人がちゃんと反省してるのを確認してもう一つだけ大事なことを部員全員に話した。耀太には内緒にしろと伝えて


 「あいつが怒るのを見たのは3回目だ。1回目は中学の頃担任に部活なんて辞めちまえと言われたとき、2回目はあいつの友人だったやつが上級生に苛められてた時だけど…怖いだろ?」


 「確かに佐藤は怖かったっす。なんか凄い寒気がしたっていうか」


 「うちもあいつとは中学の知り合いだけどあんな顔初めて見ました」

 

 「それならもう怒らせるなよ。」


山西はそう言うと「そろそろか?」と言って音楽室の扉に手をかけると


 「顔洗ってきました!ってあれ?山西先輩は?」


扉が開いて山西は吹っ飛ばされて挟まった。すると山西は


 「耀太?てめぇ何してくれんだよ!」


 「すいません先輩!大丈夫っすか?」


 「まぁいいや、話は解決したし練習するぞー」


俺は解決したならいいかと思いミーティングに戻った。そのあと何故かいきなり川田先輩と双葉先輩に頭を下げられた。なんか二人とも恐る恐るといった感じでとても違和感が…まぁいっか。こうして練習がスタートした。


早いですが《放課後の夕日に見守られて》の3ページ目を投稿させていただきます。最初は週一の予定でしたが気分が乗っているときは随時更新したいと考えています。もしかしたら明日も更新するかもしれないのでお楽しみに!それでは!

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