忘れられた重要案件
「エウちゃん 先に客室に荷物を置きに行こう」
船尾に向けて歩き出そうとするエウリアを、アルフェリオ先生が呼びとめる
俺たちの荷物は着替えと念のため持ってきた装備位だけど
「・・・あ、そうだね アル母さん、お願いできる?」
アルフェリオ先生は優しく微笑むと
「じゃあ、まずジュリエッタちゃんとエウちゃんの部屋ね」
案内された部屋は豪華さはないが、ベットが二つ並び見たことのない魔道具がいくつか並んでいた
「ジュリエッタちゃんはテレビや冷蔵庫、エアコンの使い方はエウちゃんに聞いてね」
「てれび?れいぞうこ?えあこん?・・・なにそれ?」
「これがテレビだよ」
何も入っていない額縁の横のボタンの一杯付いた木札を手に取り。ボタンを押すと
額縁の中に絵が映し出され、その絵が音や声を出しながら動いている・・・
「ど、どうなってんだ?」
ガドが驚きの声をあげる
「この厚みじゃ中に小人とか妖精は入ってないよな?」
額縁の後ろを覗くトーシュ・・・
「水晶球通信みたいなものだよ 連絡じゃなくて遠くでやってる劇とかを送ってきて映し出してるの」
エウリアが説明してくれる
水晶球通信か… そういえば魔人族や貴族の間では普通に行われているらしいな
俺たちはみた事も無い技術だが・・・
「・・・じゃあ、次はエリオ君たちの部屋だね」
アルフェリオ先生はそういうと、抱えていたユウキ君を降ろし一階上に上がっていく
「エリオ君たちは三人一緒でいいよね?」
「はい 出来ればその方が良いです」
アルフェリオ先生の質問に俺が答えると
「じゃあ、この部屋を使ってくれる?」
彼女は近くのドアの前に立ち手招きする
ドアを開けると少し廊下と同じ高さの床があり、奥の一段高くなったところに植物で編まれた敷物が八枚敷かれている
「この部屋は、入り口の一段低い所で靴を脱いで、奥の畳の上は土足で歩いちゃだめだよ」
エウリアに注意点を聞かされる
「寝具はその扉の中に入ってるから、その真ん中にある炬燵・・・ローテーブルをすみに寄せて、床に直接布団をひいて寝るんだよ」
なんでも和室と言う様式らしい
エウの親父さんは異世界から来た「迷い人」で、親父さんの世界では普通の様式だそうだ
「布団や炬燵の使い方はあとでもう一度詳しく説明するよ」
俺たちが自分の荷物を部屋の隅に置くと
窓の方に走ったエッタが
「この部屋は窓が広くて良いね みんなで集まるのはこの部屋にしよう」
「なあ、エウ このローテーブル、どうしてこんな厚いクロスが掛かってるんだ?」
ガドがエウリアに聞く
「クロスをめくってなかに足を入れてみて」
言われた通り、足を入れてみる
「・・・温かい コレは暖房器具か?」
俺がそういうと
「うん この部屋にもエアコンがあるけど、その中で蜜柑とかアイスを食べるとムチャクチャ美味しいよ」
エウリアが思い出した様にトローンとした顔をする・・・
それを見たエッタが目を輝かせ
「アイスってなに?たべてみたい」
それを聞いたエウリアが
「仕方ないなあ みんな一つずつ食べようか?」
・・・お前が食べたいだけだろ
しかたねえなあ 俺たち四人といつの間にかアルフェリオ先生親子も炬燵に並んでいる
分けられたアイスクリームなるものを口に運んでみる
牛のミルクだろうか?冷たくて甘くて確かに美味い・・・
炬燵で足元も温かいしねむくなってきた
「・・・なあ おれら、なにかだいじなことをわすれてないか?」
トーシュに言わると確かになにか忘れている気がする・・・
ぼんやり思いだそうと考えていると
突然ドアが開き
「なあ、アルフェリオ?まだ、エウ達こないの? なんかあったのかなあ・・・」
そこからは人のよさそうな恰幅の良いお兄さんが覗いていた・・・
凄く心配そうな顔をして・・・
エウリアの親父さんは笑って許してくれたが、
エウリアとアルフェリオ先生が、ホムラさんにこっぴどく叱られていた
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