突然、顔合わせ
「私、明日から三日間顔を出せないけどよろしくね」
朝、顔を合わすなりそんな事を言い出すエウリア
「まあ、クエストも受けてないから良いけど どうした?」
「父ちゃんが・・・」
俺の質問に彼女は伏し目がちに・・・
「親父さんがどうかしたのか?」
俺は心配になり、焦って聞き直す
「私が最近顔を見せないから、すごく落ち込んでるって・・・」
彼女は真っ赤い顔をしてテーブルに突っ伏す
呆然とするエウリア以外の四人・・・
「エウ お前愛されてるなあ」
ガドが微笑みながら言うと、トーシュが
「のんびりしてきな 親父さんにたっぷりエウリア成分を補給してこい」
まあ、大したことなくてよかった・・・ ホッとしていると
「あたしも行きたい」
エッタがとんでもないこと言いだす
「お前、家族のだんらんを邪魔するんじゃね・・・」
俺がエッタを叱ろうとすると
「いいよ 一緒に行こうか?」
エウリアが受け入れる
「良いのかよ?」
「うん 父ちゃんや母さんたちも一度会いたいって言ってたから… エリオたちも良かったら一緒に行かない?」
俺、トーシュ・ガドは顔を見合わせ
「どうする?」
俺が聞くと、ガドが
「一度、挨拶しておいた方が良いだろ」
「なにより、エッタ一人を行かせて何かやらかさないか心配だ」
トーシュが心底心配そうな表情を浮かべる
三人は無言で頷く・・・
「俺たちも行くよ」
俺がそういうと
「歓迎するよ 明日、朝エリオたちの部屋に迎えに行くから準備して四人で待ってて」
女性寮に男は入れないから、当然そういうことになるわけだが
「俺たちが、エウの家に行こうか?」
「私の家は私がいないと入れないから迎えに行くよ」
やっぱり、エウリアは良い所のお嬢さんなのだろうか?
スゴイ馬車とかで迎えに来たら、ちょっと恥ずかしいな・・・
なんて考えていた時期が俺にもありました
「おはよう みんないるね」
エウリアがなんかモコモコした服を着てやってきた・・・
「おはよう エウどうしたんだその恰好?」
「…ごめん いうの忘れてた 今父ちゃんたちすごく寒い所にいるから、その薄着だと風邪をひくよ」
「は?ちょっとまて どういう事?」
エウはちょっと困った顔をして
「一回行ってみようか それから着替えを取に来てもいいよ」
益々、訳が分らない
「あと、今からのことは他言無用だよ お母さんたちが開発中の最新魔法技術だから」
エウリアはポケットから、木札とカードを四枚取出しカードを一枚ずつ俺たちに配った
各々にカードを見ていると 入り口のドアに木札を張り付けて
「さあ、行くよ ついてきて」
エウリアがドアから出て行った
慌てて、俺たちも後について行くと
ドアをくぐった先は・・・
周りの空気がさすように冷たい海上の船の上だった・・・
「・・・なんだこれ どこだよココ?」
俺が呟くと
「父ちゃんの船の上だよ 今、北の海の入り江にいるんだって」
さっぱり、エウリアの説明が的を得ない 訳が分らん・・・
寒さで体が震えてくる・・・
「エウ 悪いけど先に服取りに行って良いか?」
「エッタはどうする?」
「あたしも防寒着とってくる」
「じゃあ、私も戻るよ まさか、ここまで寒いとは思わなかった…」
とりあえず、俺たちの部屋に戻ってエウリアを見ると 足元に何かいる
「エウ… その子達誰だ?」
トーシュが聞くと
「え? あーっ!ユウキ、ヒナタ着いてきちゃったの?」
「「ねえたん」」
ちまいのがエウリアの足にしがみ付く 二人とも五歳くらいだろうか?
「私の弟と妹だよ こっちの白毛がユウキ、この銀髪の子がヒナタだよ よろしくね」
「わあ、かわいい こっちのおいで」
エッタが二人を呼ぶと、ユウキ君がエッタの方に近づいていく ヒナタちゃんは動かない
「なあ、エウ聞いちゃいけないことかもしれないけど・・・」
ちょっと気まずいけど
「ユウキくん・・・獣人だよな?」
「ああ 私たち兄弟はみんなお母さんが違うんだよ 父ちゃん、奥さんが五人いるから」
「5にん?」
この世界、一夫多妻は珍しくないけど・・・ 農民で五人はスゴイな
「ユウキとこの下のツキヨのお母さんはみんな知ってると思うよ」
「? だれだ?」
「あとで、紹介するよ ユウキヒナタこっちでお兄ちゃんたちが準備するの待っていよう おいで」
厚着をして、もう一度ドアをくぐり船内に入ると
「かあたーん」
ユウキくんが走っていく
その先にいた人はユウキ君を抱き上げると
「いらっしゃい」
「ア、アルフェリオ先生・・・」
思わず声を出してしまった
「ユウキの母親のアル母さん みんな知ってるよね?そして・・・」
「エウの仲間って君たちだったんだ… トーシュ君、しっかり修行してる?」
三歳くらいの男の子を抱えた小夜先生が立っていた
「二男のツキヨの母親の小夜ちゃん こっちも大丈夫だよね」
「小夜ちゃん 父ちゃんとホムラちゃんは?」
エウがそう聞くと小夜先生が顔をひきつらせ
「う、うしろ・・・」
俺たちの横に、いつの間にか15~6歳の銀髪のきれいなお姉さんが立っていて
彼女はエウリアの頭をガシッと攫みアイアンクローを喰らわせると
「だ・れ・が、ホムラちゃんですか?」
笑みを浮かべながら片手でエウリアを釣り上げ
「ああああ われるわれる ごめんなさい ホムラ母さん」
ヒナタちゃんがホムラさんの足にしがみ付き
「かあさま」
頭を開放してもらったエウリアが、座り込みながら
「この人が、ヒナタのお母さんのホムラ母さん」
「みなさん、いらっしゃい」
仲間に向けてスゴク優しい微笑みを浮かべる
ホムラさん…その笑顔が返って怖いです…
でもこの人 幾つでヒナタちゃんを産んだんだ?
「ちなみにホムラ母さんは22歳だよ」
エウ、ありがとう でも心を読むのはやめてください
「母さん 父ちゃんは何処にいるの?」
「船の後ろの方で釣りしてるわよ」
小夜先生が教えてくれる
「じゃあ、父ちゃん所に行ってくるよ みんないこ」
このメンバーを養ってる人ってどんな人なんだろう・・・
ブックマーク、ありがとうございます