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初遠征2

岩蜥蜴(ロックリザード)石竜(ストーンドラゴン)の区別がつかないのは痛いな」


両方とも2mほどの大きな蜥蜴で、表皮が岩のように見える


違いは岩蜥蜴は草食で非常に大人しいが、表皮が岩のように固く剣を受け付けない


逆に石竜は肉食で獰猛、だが表皮は岩のように見えるだけで普通に剣で倒せる


「襲い掛かってくるのが石竜で、殴っても無視されるのが岩蜥蜴だよ」


薬草が生えている山に来たのだが、岩蜥蜴が大繁殖していた


最初は岩蜥蜴なので安心していたのだが


偶然、通りかかった角ウサギが目の前で捕食されて、石竜が混じっていることに気づいた


どうも全体の1割ほどが石竜らしい


性質が悪いことに、ここの石竜は1m以内に入らないと襲いかかってこない


もしかしたら、岩蜥蜴の振りをすれば警戒されずに獲物を狩れることが判っているのかもしれない


ガッキィイイイイン


「いたーい また岩蜥蜴だぁ 刃が欠けちゃったよお」


エッタが後ろに近づいて来たのを殴ったら、蜥蜴だったらしい


「うわああああああ」


ガドが石竜に圧し掛かられる


「ちくしょおおおお オラアアアアアア」


俺は腰から短剣を抜き、ガドの上の石竜の喉を突き刺した


「エリオ たすかったぜ サンキュー」


死んだ石竜の下からはい出したガドが礼を言う


「おう」


右手を挙げて返事をしながら


拙いな このままだと精神的に持たないぞ…


と考えていると


「トーシュ君、スリープの呪文をできるだけ広範囲にかけてっ」


エウリアが叫ぶ


「スリープなんかかけてどうするんだ?」


「起きないように軽くたたいて、岩蜥蜴ならチョークで印をつけて、石竜なら殺そう」


「なるほど」


「石竜の死体に寄ってくるのも石竜だから、始末してね」


どうしてこんな簡単なことに気づかなかったんだ…


「エリオ 落ち着いて… いつもの貴方ならすぐに思いつくことだよ」


エウリアが優しく微笑みながら諭してくれる


「悪い エウ、冷静にならなきゃだめだよな」


心を落ち着け、頭を冷やして


「この辺にあるのはわかってるんだ 焦らず探すぞ」




「この薬草が美肌の薬の材料だとはなぁ…」


「誰だよ…不治の病の令嬢が云々なんてデマを流したのは…」


帰りの馬車で俺が言った言葉に、ガドが愚痴る


「まあ、少なくとも金貨10枚になるんだから良いじゃない」


エウリアが場をとりなそうとする


「うーん 諸経費とか考えると微妙なんだよな…」


トーシュが何かをメモした紙を見ながら、難しい顔をして言うと


「あたしの剣、思いっきり欠けちゃったよ 新しいの買わないと…」


エッタが自分の剣を見ながら泣きそうな顔をする


「剣を買うと思いっきり赤字だな…」


トーシュがため息を吐く


「でも、武器や防具はケチるとロクなことにならないぞ」


ガドの忠告に


「・・・だよなぁ」


俺は同意する


「あのさ、エッタがよければ私の剣をあげるよ?どうせ使わないから…」


エウリアがポーチから剣を引き出す


「これだけど…」


何の装飾もない飾り気のないごく普通の剣…


エッタが抜いてみると、刃が少し黒く見える…


「いいの?貰っちゃって?」


「それがだめならほかにもあるよ?」


ポーチから剣がさらに二振りでてくる…


大剣と細身で刃が緩く湾曲した見たことがない剣…


「この剣は珍しいな 初めて見たよ…」


ガドが鞘から抜く


「…すごいな 武器と言うよりコレは美術品だ…」


「お父ちゃんの母国の武器で、日本刀って言うんだって」


「ニホントウ…」


「いる?」


「いやいい 使いこなす自信がない」


ガドは鞘に戻し、エウリアに返す


「エッタは?」


「あたしはこの子でいいよ」


最初の剣を大事そうに抱えている


「なあ、エウ この剣もお父さんにもらったのか?」


エッタが抱えている剣を指さして聞く


「それはシオちゃんにもらったんだよ」


「勝手にあげちゃっていいのか?」


「使わないなら、使える人にあげていいって言ってた」


「ふーん…」


「必ず、私を守ってくれるから…って・・・」


俺は最後のエウリアのつぶやきを聞き逃してしまった




 

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