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初遠征1

ガタゴトガタゴト…


ギルドから借りた幌馬車が、早春の草原の街道を進んでいく


まだ、至る所に残雪が残るが今日は小春日和で温かい


今回のクエストは


ニクマンから、200㎞ほど離れた山に生える珍しい薬草の採集


薬剤師ギルドからの依頼 報酬は金貨10枚(約百万円)


採集クエストにしては高価すぎるが


かなり貴重な薬草でほぼ見つからないらしい


普通クエストは失敗した場合、罰金が取られるのだが今回はそれもない


もう半年以上前から掲示され、紙の色が変わってしまっている


噂では、この薬草がないととある貴族の孫娘の命が危ないらしい


「何とかしてやりたいけど、見つからないんじゃどうしようもないよなぁ」


トーシュが依頼書を見ながらつぶやく


「かわいそうだが・・・」


ガドも悲痛な表情を浮かべる


その時、後ろから見ていたエウリアが


「その薬草なら精霊さんに捜してもらえば、見つかると思うよ」


「え?本当に?」


俺が振り返り彼女の顔を見てもう一度聞くと


「ダメなら、森の大精霊様にお願いしてあげるよ」


その言葉を聞いた俺は色の変わった依頼書をひきむしり、受付カウンターに走る


「でも、その薬草って病気の治療薬じゃなくて、美容…」


受付でクエストの受注を済ませた俺は


何か言おうとしているエウリアの手を引っ張って


「すぐ、準備して出発するぞ 可愛そうな貴族令嬢を助けるんだ」


それを聞いたエウリアが


「まあ、かわいそうと言えばかわいそうかなぁ…」


ぽつりとつぶやく




「初めて普通の馬車で旅するんだけど、意外と良いね」


流れる景色を居ながら、エウリアが言うと


「食糧とか水、他の資材を重量をあまり気にしないで運べるからな」


ガドが相槌を打つ


「マジックボックスがあれば、徒歩でも大量に運べるんだけど…」


エッタが話に割り込んできて


「でもあれは死ぬほど高価だからな 小さなものでも家が買えるくらいするし…」


トーシュが苦笑いを浮かべながら説明する


「ふーん これ、そんなにするんだ…」


エウリアが自分の腰についたポーチをじっと見る


「えっ?それマジックボックスなの?」


エッタがびっくりして聞くと


「うん お母さんは家一軒分くらいは入るって言ってた」


「それ、どうしたの?」


エッタが矢継ぎ早に聞く


「お母さんが就職祝いにくれたの」


「エウリアのうち 貴族様なの?」


「お父ちゃんはお百姓さんだよ ホムラ母さんは専業主婦だし…」


大地主か豪農様かな?


「それって誰でも使えるのか?」


俺が聞くと


「私しか使えないよ ほら、エリオ」


エウリアがポーチを投げ渡してくる


開けて中身を見ると空っぽだった


投げ返して彼女が中を探ると中から明らかにポーチより大きい水筒が出てきた


エウリアはさらに紙のコップを5個出して、お茶をふるまってくれる


「すごいね 本当にマジックボックスなんてあるんだね」


エッタがお茶を飲みながら感心して言う


トーシュが


「つくづくエウリアが仲間になってくれてよかったよ」


と言うとガドが


「ホントホント」


と相槌を打つ


そんな和やかな雰囲気の中、


俺は 「この子何者なんだ?」 と考えていた…


明らかに常識外れすぎだろ…





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