魔王国の受難
現在、我が魔王国は存亡の危機に瀕している
自称初代魔王を名乗る男が、一人の女性を拉致し我が城にやってきた
初代魔王と言えば、
その類まれな身体能力と膨大な魔力をかさに着て
全世界を敵に回し侵略戦争を繰り返し
この世界を、滅亡させかけた大罪人
われら魔王家の最大の恥部である
その最後は
現在の剣聖の祖である勇者とその仲間たちと
ひと月にわたる戦闘を行い打ち滅ぼされたという…
その「伝説の大魔王」が突如蘇り 現れたのだ…
また、魔人族の総力を挙げて侵略戦争を始めるつもりらしい
どうして蘇ったのか聞いたところ
本人の話では
その後、帝国西方の山で悪霊をやっていたらしいのだが
昨日、その山を突然現れた黒竜に吹き飛ばされたらしい
その話を聞いたとき私の脳裏に一人の美しい女性が浮かぶ…
「黒竜…小夜様か…」
どうせ、この馬鹿者がご一家に手を出そうとして先手を打たれたのだろう
あの方は意味もなくそのようなことをする方ではない
棲み家を吹き飛ばされたこのバカは
事も有ろうにマサキ殿に報復を考え
一晩中嫌がらせをした挙句
エリクサーを浴びせられ、生き返らせられたそうだ…
マサキ殿は何をやっているんだ…
本当に勘弁してほしい…
こやつは生き返ったのをいいことに
御子の一人を手にかけ殺害しようとしたらしいのだが
金色の兎人に御子を奪い返され
純白の魔犬と自分を滅ぼした聖剣を持った少女にボコボコにされて
そこにいた一番大人しそうな少女を人質にとり、逃げてきたという…
現在、その大魔王はわれらの目の前でぼろ雑巾のようになって転がっている
攫ってきた少女を、凌辱し辱めようとした所、返り討ちに会った…
バカである…
選りによって、あの場にいたであろう人物の中で一番危険な人を拉致してきていた
この世界の管理神マサキ殿の正妻 最強最悪の破壊神ホムラ様をさらってきたのである
なんて恐ろしいことをしてくれるんだ
少しでも対応を誤れば我が国は消えてなくなるだろう…
帝国との戦争で多少疲弊しているが、我が国はこの世界で三本の指に入る強国である
だが、この方一人と戦っても一時間持たない自信がある…
自業自得のバカは手足が変な方に曲がり、血塗れだが痙攣しているのでまだ生きているのだろう…
「…ホムラ様 この度は我が一族の者が、大変なご迷惑をおかけして申し訳…」
玉座に無理やり座らせたホムラ様に、私は必死に慈悲を乞うが
「良いのですよ♡ マサキさんが私を助けに来てくれるなんて…うれしいっ!」
彼女は本当にうれしそう すでに目が虚ろである…
マサキ殿早く迎えに来てください…
いつ爆発するかわからない危険物を抱えているようで気が狂いそうです…
マサキ殿は小夜様に乗ってすぐ迎えに来てくださいました
ホムラ様を抱きしめたまま、迷惑をかけたことを謝罪してくださり、
大ばか者を連れて帰られました
なんでも、永久にゴブリン以外に転生できないようにして
とりあえず今生は魔力を封じて、農場で死ぬまでこき使ってやるそうです…
実はあの方たちの中で一番怖いのは、マサキ殿かもしれない…
明けましておめでとうございます 本年もよろしくお願いします
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