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死霊

「小夜… 如何してあの山を吹き飛ばしたんだ?」


「…あの山から、子供たちに対する…邪念みたいなのを感じたんだよね」


彼女は 顔をしかめ答える


「…? それは吹き飛ばした後も感じるのか?」


「今はもう感じない…けど…」


「気のせいとかじゃないんだな?」


小夜は考え込んでしまった


「…子供たちを守ろうとして、反射的にブレス吐いちゃったから…」


「…まあ、やっちゃったものはしょうがない 人的被害がないことを祈ろう」


「ご主人様 村が見えてきたよ」


アルフェリオが指差す先には、丘の上に5~60軒ほどの家が並ぶ村が見える



村は 当然、大パニックになっていた


村人にどうしたのか聞くと


突然現れた黒竜が「邪神が棲む山」を跡形もなく吹き飛ばしたらしい


「邪神が棲む山とは?」


「あの山には、古の悪霊が棲みついていて10年おきに子供を生贄にしないと祟るのじゃ…」


「どんなふうに祟るんですか?」


「若い娘が突然消えて、あの山で惨殺されて発見されたり、農作物が突然すべてダメになったり…」


「ほう…」


「それで今年が10年目なんじゃが、今年は村の衆が子供や若い娘を遠方に避難させてしまって…」


「くっくっく… それは賢いですねぇ」


「笑い事ではないのじゃ! ただでさえ怒りを買っているのに、あんな事になってしまって…」


「もしかしたら、一緒に吹き飛んだかもしれませんよ」


「だといいのじゃが…」


「ところであの山には誰か住んでいたんでしょうか?」


「あんな恐ろしい所、住むどころか誰も近づきもせんよ」


「そうですか」


小夜を見ると心底ほっとした顔をしている



「…という事だそうだ」


「人的被害がなさそうでよかったですね」


ホムラもほっとした表情を浮かべる


「ところでご主人様 今晩はどうするの?」


「もう今日は遅いからここに泊まろうと思ってる」


「でも、村は混乱してるから宿は借りられないよ?」


小夜が困惑した顔をする


「このまま 仔の車で車中泊するから大丈夫 キミ等は子供たちと居住区で休んでくれ」


「私は父ちゃんとこっちに泊まるよ 一人じゃ寂しいでしょ?」


エウリアがぼくの腕に抱き付きながら言う


「…イヤ エウも戻った方が良い 悪霊と言うのが気になる…」


「大丈夫だよ この車の中なら居住区と変わらないよ」


確かにその通りだけど…


「…じゃあ、就寝までここにいていいぞ 寝るのは家に帰れ」


「「ぼくもー」」


「わたちもー」


チビどもが騒ぎ出す


「ダメ! お前らは晩御飯食べたら、お母さんたちとお家に帰って寝るの」


どうせ晩御飯を食べたら電池が切れておねむのクセにこいつ等は…



「「「とーたん、ねーたん ばいばーい」」」


「こら ばいばいじゃなくておやすみなさいですよ」


ホムラに叱られるチビども…


「「「おやすみなしゃい」」」


「「はいおやすみ」」


やっと嵐が過ぎ去った


これからもう一仕事ある奥さんたちにはワルイがやっとのんびりできる


車の照明を落とし


エウはホットミルク、ぼくは濃い緑茶を飲みながら車窓から外を眺める


この世界の良い所は、灯りが少ないから星がすごくきれいに見えるところだ


天体望遠鏡でも買おうかな


なんて考えていると


エウリアが震える声で


「父ちゃん… あれ、な…に?」


彼女が指差す方を見ると


半透明の人影がこちらをじーっと睨んでいる…


識別をかけると「ワイト」と出た…


「・・・たぶん、あれが小夜が吹き飛ばした山に住んでた悪霊だな」


この世界にも死霊系のアンデットっているんだ… 


なんて思いながらエウを見るとおもらしして失神してたw


「だから帰れって言ったのに…」


エウを居住区に運んで、ホムラに預けて戻ってきたら


まだ、悪霊はこちらを睨んでた…


「さて、どうしようか?」





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