肝っ玉母さん「ホムラ」
「マサキさん、エウ すいませんけど、両手塞がってるのでドア開けてください」
異界居住区のドアからホムラの声がする
「? 母さん、どうしたの?」
エウリアがドアを開けると
ツキヨを背負い、リーアを抱っこ紐で前に括り付けて、両脇にユウキとヒナタを抱えたホムラが入ってきた…
「…何事?」
「この子達が走り回っていうことを聞かないから…」
ホムラは、六年たってもほとんど容姿が変わっていない
あいかわらず、中学生くらいにしか見えない… もう、22歳のはずなんだけど…
今の姿は歳の離れたお姉ちゃんが、大量の弟妹を子守しているようにしか見えない
随分、所帯じみたなあ とは思うけど…
「母さん、リーアかツキヨ 私が面倒見るから貸して」
「じゃあ、ツキヨをお願いします」
「うん おいでツキヨ」
背中から降ろされたツキヨは
「ねえたん♡」
屈んでいたエウリアに抱きつく
「ツキヨはエウおねえちゃんが大好きですねぇ」
ホムラがほほ笑みながらそういうと
「ぼくもだいしゅきー」
「わたちもー」
エウリアは自由になっていたチビ二人に襲撃されて、もみくちゃにされる
「きゃあ 服脱がすの止めてぇー」
なんか、エウリアがあられもない恰好になっているが見ないことにして
「じゃあ、ホムラさん 出発しようか?」
「・・・そうですね」
ホムラも見なかったことにする気らしい
身ぐるみ全部剥がされてぐったりしているエウリアを放置して、新しい旅が始まった
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「エウ どうしてあいつ等、人の服脱がそうとするの?」
「お風呂で脱がせっこさせてたら、私の服も脱がせてくれるようになって…」
そんな会話をよそに、流れる風景をチビ共はずーっと見ている
リーアもホムラの腕の中で、外をじーっと見てる…
しばらくして、時計を見たホムラが
「そろそろ、お昼ごはんの準備しますね エウ、リーアをお願いします」
「はい リーア、おいで」
「ホムラさん、今日は温かいから次の宿営地で外で食べよう」
「はい ではそのように準備しますね」
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ぼくが折りたたみのテーブルセットを並べている間、子供たちは周りのすべてを珍しそうに見て触って感じている
周りに人がいるので、大声を出して暴れ回らないのは助かる
「エウ、ごはんの準備ができたから全員連れてきて」
今日は三人とも大好きな卵サンドとかぼちゃのスープ
でも周りを観察するのに忙しくて食事に身が入らない…
「先にご飯食べちゃいなさい 遊ぶのは後々!」
それでも周りをキョロキョロ見ながら食べる子供たちを見て
子供たちを連れて旅に出てよかったと思うぼくだった