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冒険者ギルド

ぼくたちは宿屋を逃げ出した後、村の中央の広場のベンチに座り休んでいる


ホムラはぼくの横で女将さんが急いでサンドイッチにして持たせてくれた朝食をかじってる


小動物のようでかわいらしい 


とても大岩をデコピンで粉砕した危険生物とは思えない


「・・・あたまいたい」


「どうぞ」


ヨコの小動物がエプロンのポケットから冷えたスポーツドリンクを取出し 手渡してくれる


「ありがとう・・・」


プルトップを開け、一口飲む


「しばらく、あの宿屋いけませんね・・・」


沈黙が周囲を包む


「ホムラさん、本当にゴメン 責任は取るから・・・」


「私、最初から夜のお世話もするつもりだったから 別に責任とかは・・・」


「でも、もし子供ができたら・・・」


「大丈夫ですよ 神族と人種ではめったに子供は出来ません」


ホムラは少し考えると


「もし、謝罪をしたいと思われるのでしたら もっと色々してください あなたのお役に立つのが私の喜びなんです」


と言って、耳まで真っ赤にしてうつむく


「あはは・・・」


ぼくも、顔が熱くなってうつむく


横でホムラのサンドイッチの野菜を咀嚼する音だけが聞こえる




やがて、食べ終わったのか「ケフッ」という声が聞こえたので


「じゃあそろそろ冒険者ギルドに行こう」


と言い、残りのスポーツドリンクを飲み干し立ち上がる


「はい」


と言いぼくの前を歩くホムラ いつもと変わらない


そういえば、まだ知り合って三日なんだよな・・・


ドンッ


「痛っ」 


いろいろ考えていたら、立ち止まったホムラに突っ込んでしまった


「マサキさん、着きましたよ」


「前見てなかったよ ごめん」


「じゃあ、はいろうか?」


なんか、ざわついてるな と思いながらカウンターに並ぶ


すぐに順番が回ってきて 受付のお姉さんに


「冒険者ギルドに登録したいんですが」


「後ろのお嬢さんもですか?」


「そうですけど どうしてわかったんですか?」


お姉さんが指差す先を見てみると、ホムラがぼくの服の裾をしっかり握ってた


「この書類を書けるところだけ書き込んで提出してください 登録料は一人銀貨五枚です」


書類を書き込み提出し、銀貨10枚を支払うと


透明で名前とFという現地文字の刻まれたスマホ位の板を渡される


「初登録の人はFランクからです Fランクのノルマは2週間に一つ、なんでもいいので依頼をクリアしてください」


「はい」


「あとの細かなルールはこの冊子をよく読んでおいてくださいね」


「ひとつ質問いいですか?」


「なんでしょう?」


「どうしてこんなにざわついているんですか?」


「なんか、ここから徒歩で北に三日ほど行った宿営地で商隊が悪魔に壊滅させられたそうなんです」


血の気が引く ヤバいぼくたちのことだ・・・


「被害者の商人があまり評判のよくない方なんですが、事が事なので調査隊を編成してるんですよ」


「へえ・・・」


「まあ、今日登録したばかりの貴方たちには関係ないことですよ」


すいません 今、ぼくの服の裾を握ってる女の子がその悪魔です おねえさん・・・


「あはは・・・そうですね」


そそくさと冒険者ギルドから出る


「わたし、悪魔じゃありません・・・」


ホムラがつぶやく


「ホラ、門番さんのところにお金を返してもらいに行くよ ホムラさん」


ホムラの手を引っ張って門に向かう まだホムラはブツブツ言っている


しかし、門が近づくとホムラが急に立ち止まり、建物の陰に引き込まれる


「急にどうしたの?」


「あの商人です 門番さんと揉めてます」


「まじ?」


陰から門の方を見てみる・・・ 見覚えのあるあの商人がいる


「本当だ・・・ なに話してるんだろ?」


しばらく見ていると商人たちが立ち去っていく


周りに注意して門番さんに近づく


「門番さん、無事冒険者ギルドに入れたので来ました」


「おう、ちょっと待ってろよ ほら、銀貨2枚だ」


「あの・・・先ほど何か揉めていたようですが、どうしたんですか?」


「ああ・・・ あのクズヤロー、変な乗り物に乗った二人組を見なかったかってしつこいんだよ」


「門番も大変ですね」


「あのろくでもないクズヤローになんか、知ってても教えるかよ どうせその二人組に嫌がらせするにきまってる」


「あはは・・・」


しばらく、門番さんと世間話をして


「おまえら、これからどうするんだ?」


「一週間ほど泊りがけで近場の森に薬草を取りに行こうかと・・・」


一週間もすればほとぼりも覚めて宿屋に泊れるだろ・・・


「そうか近場の森でも夜は危険だから 気を付けるんだぞ」


「ありがとうございます では失礼します」


門を出て、できるだけ平静を装って村から離れる


「ホムラさん、森に着いたら車を出してネットでブリーチ剤を買って髪を染めよう」


「あの人が絡んできても、返り討ちにしますよ」


「その銀髪は目立ちすぎる 出来るだけトラブルは回避したい」


「まあ、いいですけど・・・」

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