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過去との出会い

閑話です いつも短いですが、さらに短いです ご容赦ください

目の前に通勤かばんを持った背広の男が歩いている


そしてぼくはこの後ろ姿に、見覚えがある


「あの‥ 課長?佐藤課長じゃありませんか?」


「おや スガ君、久し… あれ?確か、君二年前に死… そうか…ここは彼の世というヤツだな」


あれ?課長の反応がおかしい… 普通、死人に会ったらもっと騒ぐだろ…


「非常に言いづらいんですが、彼の世ではありません 異世界の草原のど真ん中です」


「…ふーん まあいいか どうせ向こうに未練はないし…」


どうも、地雷を踏んだらしい…


「ちょっと、どうしたんですか?課長らしくない」


彼はぼくが向こうにいた頃、上司だった人物でもっと覇気に溢れていた


「…会社が倒産したうえ、妻に浮気されて逃げられた」


あの奥さんがですか?信じられん…


「死のうと思って街を徘徊してたらここにいたんだ…」


さすがに、世話になった人に死なれると気分が悪いな…


「課長、ぼくが奢りますから飲みなおしましょう?」


ひとつ前の村に戻り、宿屋の酒場で飲むことになった


三時間ほど愚痴を聞き、自殺を思いとどまらせることに成功した


次に課長の現状を説明する


まず、文明が中世で停まっている世界だという事


魔法が存在し、人以外の亜人や魔獣がいる事


非常に危険な世界でいつ死んでもおかしくない事


もとの世界には絶対戻れない事


そして最後に聞く


「ぼくの所でしばらくお世話できますけどどうします?」


課長はしばらく考えた後、ホムラの方を見て


「新婚さんのお邪魔をするのは忍びない 何とかひとりで頑張ってみるよw」


なんか勘違いしているな…


「あの、言葉とか通じませんよ?」


「そうか… でも何とかなるよ 暮していれば話せるようになるさ」


前のポジティブな課長に戻ったようだ


「では、これはぼくからの餞別です」


金貨5枚とクランカードを渡す


「おかねはお貸しします いつか返してくれれば良いです」


どうせ、あげると言っても受け取らない


「あと、少しでも困ったことがあったらそのカードの場所に訪ねてきてください お力になりますよ」


「ありがとう 感謝するよ」


「今晩は、このままぼく達とこの宿に泊まって 明日、ギルドに入会しましょう 協会みたいなもので、会員カードが身元証明に使えます」


そのまま、彼と遅くまで飲み明かした


なんか…、一夫多妻や奴隷が許されてる世界だと言ったら、スゴクやる気になっていたのが少し気になるが…


男の考えることなんてみんな同じだよなあ





翌日、課長は商業ギルドに入り、路線馬車でニクマンに旅立っていった


彼の住居などの手配は、エリスたち事務担当に頼んでおいたので問題ない


仕事は趣味の料理を活かし、飲食系の店をやるそうだ


商談など重要な話には、ぼくを通訳として呼んでくれる様に頼んでおいた


さすがに小夜やタケシ君達では不安だからね カグラやミルファは論外だし…





一週間後、彼が屋台を始めたので行ってみた


日中はおでんと焼き鳥を売り、夜はそれを肴に酒を提供するそうだ


現在は練り物などぼくが通販で取り寄せているが、いずれは自作するという


味も美味いし、価格も安い


子供たちがおやつに買おうとたむろしていた 人気は焼き鳥とちくわだそうだ


酒はぼくが飲みたいので日本酒を取り寄せておいてもらっている 結構減りが速い 人気があるようだ


冒険者どもが昼から飲んでいるのはどうかと思うが…


まあ、課長…じゃなくて、佐藤さんが楽しそうだからイイか


でもぼくの周りがどんどん日本化しているような気がする





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