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初めての村

メイド服の怪獣が悪徳商人の商隊を壊滅させたその日の夕方、ぼくたちは異世界で初めての集落にたどり着いた


キャンピングカーは目立ちすぎるので、ホムラに大分手前の人目のないところで収納してもらった


ぼくは初日のリュックを背負い、ホムラは容姿が目立つのでローブをはおり、髪を結いあげフードを目深にかぶってもらう


そして、女の子に巨大なリュックを背負わせるのは体裁が悪いので僕と同じサイズのものに・・・


ぼくは世間体を気にする小心者なんです


村の入り口でしばらく並び簡単な検問を受ける


「こんばんわ 後ろの娘は連れかい?」


「こんばんわ はい そうです」


「申し訳ないが身分を証明できるものを提示してくれるか?」


温厚そうな門番にやさしく言われる


「スイマセン、辺境から出てきたのでそのようなものはありません」


「そうか、それならひとり銀貨一枚、二人で二枚入村料を頂こう」


「あと、身分証明がないなら冒険者ギルドに入るといい 今日はもう遅いから無理だが 入会すれば即日でギルド員章を発行してくれる」


「なるほど・・・」


「発行してもらったらまたおいで 銀貨2枚は返すからね ギルドはこの通りの先の剣と盾の看板だよ」


「ありがとうございます 明日早速行ってみます」


門番にお礼を言って村に入る


「良い人でしたね」


「そうだね まず宿屋に入ろう」


宿屋はすぐに見つかったが、二人部屋が一つしか空いてないらしい


「どうしよう 村から一度出て野宿する?」


「私は同じ部屋で構いませんよ」


「そう?それなら借りようか・・・」


まあ、ぼくが廊下で寝ればいいだけだし・・・


「宿泊費は一泊二食付きで一人銀貨3枚と銅貨50枚だよ」


一泊二食付きで約3500円か 安いな・・・


「晩御飯と朝食はこの食堂で食べとくれ お湯は桶一杯銅貨2枚だよ」


「じゃあ、お湯を2杯いただけますか?」


「では、二人で銀貨7枚と銅貨4枚だよ」


「はい 銀貨7枚と銅貨4枚」


「部屋は2階の一番手前だ 晩御飯はすぐ食べられるよ 荷物を部屋に置いたら一声かけとくれ」


「おせわになります」


二人で階段を上がり、部屋に入る


部屋はダブルサイズのベットがひとつあるだけだった・・・


これはまずいだろ・・・ 廊下決定だな・・・


「まあ、こんなもんだよね」


自分でもテンパってるのがわかる


「荷物をこちらに 収納にしまっておきます」


思いのほか、ホムラは冷静だな・・・


「じゃあ、食事に行こうか」


階段を下り、女将に声をかけて空いた席に座る


「はい、おまちどうさま」


すぐに料理が並ぶ


メニューはステーキと具だくさんのスープ、それとパン


想像以上においしい この料理だけでも宿泊料の元は取れてると思う


「女将さん、これ何の肉?」


「ツノブタだよ この辺は多いんだ」


「かんたんにとれるの?」


「結構、獰猛でね 毎年、死人が出てる 新米冒険者は逃げた方がいいよ」


「じゃあ、新米ですらないぼくには無理ですね あはは・・・」


「どういうことだい?」


「明日、初めて冒険者ギルドに登録するんですよ」


「そうなのかい?まあ、このお嬢ちゃんを養わないといけないだろうから頑張るんだよ」


あれ、なんか勘違いされて無い?


「ちょっと待ってな」


女将さんが厨房に戻り、大きなジョッキと小さなコップを持ってくる


「二人の新生活の門出の祝いだよ 私のおごりだ飲んどくれ」


「ありがとうございます・・・」


大きなジョッキには炭酸の弱いビールみたいなものが、小さなコップにはオレンジジュースかな


「旦那さんにはこれね」


と言い大きなジョッキをぼくの前に置く


「お嬢ちゃんはまだ未成年だろうからこっちを」


「ささ、のんどくれ」


女将さんの好意を無にするわけにはいかないか・・・


ぼく、酒精弱いんだよな・・・ 覚悟を決めて一口含む


まずい・・・ 生温いし酒精が思ったよりきつい・・・


一気に飲んじゃおう・・・


「しかし、お兄さんもおとなしそうな顔してやるもんだね」


「・・・どういうことですか?」


「こんな年端もいかないお嬢ちゃんをたぶらかして 悪い男だね」


「は?」


「駆け落ちだろ?これから大変だろうけど二人で頑張るんだよ」


「ちっ、ちがい・・・」


「ほらほら、もっと飲みな」


あ・・・だめだ この人、人の話を聞かないタイプだ


つぶれるまで飲まされてぼくは意識を手放した・・・





翌朝、最悪の気分で目が覚める


頭痛い、気持ち悪い 右腕が重いしなんかあったかい・・・


横を見てみると、一糸まとわぬホムラが右腕にしがみついて寝てた・・・


焦って掛け毛布をめくるとシーツの微妙な位置に赤いしみが・・・


やばい・・・全く記憶がない・・・


頭を抱える 頭痛のせいで考えがまとまらない


とか、やってるうちにホムラも目が覚めたらしい


目が合うと、彼女は顔を真っ赤にしてうつむいて


「マサキさん、すごく痛かった・・・です」


次の瞬間、ぼくは、ベットから飛び降り土下座してた


「ごめんなさい 責任は取ります 勘弁してください」


どうしてこんなことに・・・





気まずい雰囲気の中で 身支度を整え、下に降りる


女将さんにあいさつすると


「おはよう 昨晩はお楽しみだったね ココ、壁が薄いからみんな知ってるよw」


ぼくたちは逃げるようにチェックアウトした

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