新たな真実
金色の草原の中を白銀の髪をなびかせて少女が歩いている
「ホムラさん」
「…なんでしょうか?」
「休憩しない?」
勇者から逃げるように村を出て、2時間以上歩いている
「朝ごはんも食べてないし、少し疲れたよ」
「そうですねぇ あの岩の陰の日当りの良い所で少し休みましょうか」
彼女は街道から少し離れた大きな岩を指して微笑んだ
雑草を短剣で少し払い、レジャーシートを引いて二人並んで座る
「マサキさん 朝ごはんどうぞ」
ホムラは自分の小さなリュックの中から、バスケットを取出しサンドイッチのお弁当を食べさせてくれる
「ホムラさん お弁当どのくらい準備してあるの?」
「出発の前日にクランの女の子全員で作ったのでひと月分はあります 無限収納に入っているので何時でも出来立てです」
「ああ… 忙しいのに無理しなくていいのに」
「みんな 旅の間にマサキさんが自分の料理の味を忘れちゃうと嫌だからって頑張って作ってました」
「そんな簡単に忘れる訳ないじゃん このサンドイッチはアリア様とエウリアでしょ?」
「よくわかりますね ちなみに先日のおにぎりは?」
「小夜とおかずはホムラさん ホムラさんの卵焼きと唐揚げは絶品だからすぐわかるよ」
「お茶をどうぞ」
お茶をマグカップに注ぎ差し出してくれる
「このお茶はエリスかな あの娘、お茶を淹れるの異常に上手いよね」
ホムラはびっくりした顔をして
「スゴイですね これなら忘れる心配は不要です…」
「でも帰ったらみんなさらに進化してるだろうから、わからないよ うちの子達はみんな若いから凄い速さで進歩してる ウチは指導陣もすごいからね」
「そうですね… お茶もう一杯いかがですか?」
黄金の草原の中の日溜りでのんびりとした時間が過ぎていく
「や、やっと見つけた…」
声のした方を見ると、ミルファと元娯楽神がいた
「…なんだ もう追いついたのか?なんか用か?」
「ホムラぁ お願いあたしの力返して 毎日コイツに殺されるのよお」
「…返してあげません お父様が代りを立てるから貴女はもういらないそうです」
「しゅ、主神様が?そんな…」
ちょっと待て 今スゴイこと言わなかったか?
「ホムラさん? カグラが今スゴイこと言わなかった?」
「守秘義務です 言えません カグラも黙らないと消滅させますよ」
コレはもう言っても無駄だな ホムラは頑固だから…
「…で、勇者さまは何の用だ?」
「おなかすいた なんか食わせて」
ポーチから、ブロック食品とスポーツドリンクを二つ取り出して渡す
「カ○リーメイトとポ○リ?なんでこんなものがあるの?」
「足らんのか?なら少し待ってろ カップラーメン食わせてやる 懐かしいだろ?」
ポータブルコンロを出してお湯を沸かしカップに注ぐ
二人の前にカップラーメンを置き
「ほら、喰えよ 遠慮するな」
呆然としている二人…
「…ああ、ワリィ 割りばしかフォークがいるな ほいよ」
「じゃなくて!どうしてこんなものがあるの?」
「…通販で買ったり、運命神様にもらったりだな」
「どういうこと?」
隠してもしょうがないので二人に詳しく説明する
「そういえば、ホムラってば王女様なのに運命神様の所でバイトしてたわね」
「…黙れと言っているでしょう」
ホムラが睨むとカグラが消えていく
「ぎゃああああ ごめんなさい もう言いません 消滅は嫌あああ」
「まあまあ、ホムラさんwww」
「次はありませんよ」
元に戻るカグラ
「カグラぁ! どうしておっさんと俺でこんなに待遇が違うんだ?ゴラァ」
「従属神のあたしと基幹神の運命神様が同じなわけないでしょう?あんた、バkグハァ」
勇者がカグラを蹴り飛ばす
「ふざけんなよ この邪神が…」
そして、ぼくの方を見ると
「おっちゃん 俺を養ってくれ…」
「どうして、ぼくが…」
「俺の処女奪っただろ 責任とってよ」
ホムラの方を見る
「仕方ありませんね でも少しでも悪いことをしたらアンデッドにしますよ」
「アンデット?なにそれ?」
「ゾンビとかスケルトンです」
ミルファの顔色が悪くなる
「こえぇ でも大人しくしてればいいんだろ?」
「お仕事もありますからね 遊ばせておきませんよ ウチのクランは人手不足なんですから」
「クラン?」
「「はぐれ雲」って聞いたことないか?」
「最近、売出し中の広域暴力団だろ?」
「…今までで一番ひどい噂だな ぼくはそこのリーダーだよ」
「え?俺、暴力団の組長の妾なの?」
「ボクは結婚してないのに、どうして妾なんだよ」
「だって、ホムラがいるじゃん」
「なに?ホムラ、アンタまだ16歳なのにそのおっさんと結婚してるの?」
「結婚なんかしてません! いつか、結婚したいですけど…」
後半が聞き取れなかった それより
「カグラ?ホムラさんが16歳ってどういうことだよ?」
「地球時間で16年前に生まれたから、16歳よ 今一番若い神様ね」
「マジ?」
「うん」
見た目通りの未成年かよ ホムラに色々しちゃったよ… どうしよう…
ホムラの方を見ると真っ赤い顔をしてうれしそうにまだブツブツ言ってる
「ホムラさん 絶対責任は取るから…」
ぼくはホムラの両手を握りながら誓うのだった…
ブックマークありがとうございます 少し、いろいろ詰まってしまいましたので更新がとびとびになります