事後処理
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「おねえさん ギルドマスターに話があるんだけど」
カウンターでヒマそうにしてた受付嬢にマスターとの面会を申請する
「マサキさん 待つ必要などありません 乗り込みますよ」
ホムラさんが激オコである
怖いので黙ってついていく事にした
二階の一番奥のマスタールームにノックもせずに乗り込んでいってしまう
「なんだきさまら?」
「お初にお目にかかります 「はぐれ雲」です」
パーティー名を聞いたマスターの対応は多少柔和になった
「いきなりなんだね?」
ホムラはマスターを高圧的に睨み付け、
「今スグ、迷宮内で悪行を行う馬鹿者共を何とかしなさい」
「そんなことを急に言われても出来る訳ないだろう・・・」
「やりなさい やらなければコイツを殺します」
シオが引き摺っていた初老の筋肉ダルマをマスターの前に放り出す
筋肉ダルマは暴行を受けたのかすでにボロボロになっている
「彼は何者だね?」
マスターはビビりながら男の素性をホムラに聞いた
「・・・ズンダの迷宮のダンジョンマスターのエンシェントドラゴンです」
「た、助けて殺される・・・」
男はギルドマスターに縋り付いて命乞いを始めた
「コイツが?悪質な冗談はやめたまえ」
「・・・元の姿に戻りなさい」
「こんな所で戻ったら大変な騒ぎに・・・」
「も・ど・り・な・さ・い」
睨みつけて命令するホムラ・・・
「はひっ」
初老の男は部屋を突き破って巨大な金色の龍になった
「ば、ばかな・・・」
ホムラはドラゴンのほうに歩いていくとかるくデコピンを喰らわせる
するとドラゴンは吹っ飛んで行き、街をかこう城壁に叩き付けられ めり込んだまま痙攣している
マスターは恐怖に震えながら
「・・・彼が死ぬとどうなる?」
「あの迷宮が消滅します」
さらにマスターの顔色が悪くなり
「そ、それは困る この街のすべてが立ち行かなくなる・・・」
「だったら、なんとかしなさい」
「無理だ・・・」
「小夜さん・・・」
「はい ホムラ様」
ホムラは壁にめり込んだ古龍を指さし
「あれを・・・吹き飛ばしなさい」
小夜が詠唱を始めると 彼女の前に真っ赤な炎の巨大な球が現れる
詠唱が進むと 炎の色が黄色・白・青に変わっていき、どんどん圧縮されてピンポン玉大の光球になる
すさまじい魔力と熱量を内包したソレは、喰らえばまず助かるものなどいないことを予想するに十分だった
「わ、わかりました ですがすぐには無理です 一週間ください」
「ホムラさん・・・」
ぼくもホムラを宥める
「わかりました こちらも譲歩しましょう」
「ありがとうございます」
ギルドマスターは安堵から床に崩れ落ちた
「・・・ホムラ様、これどうしましょう?」
超高圧縮エネルギー体をホムラに見せる小夜・・・
「上にでも捨てちゃいなさい」
小夜は光球を空に向けて発射した・・・
その日、この大陸ではスゴイ爆発音とともに、天空に巨大な火の玉が発生するのが かなり広範囲で目撃されたという
あれが地表で爆発していたら、この街は消えていたんじゃないだろうか・・・
それ以後、迷宮入り口での手荷物検査が強化され 高レベル冒険者によるパトロールも行われるようになった
あと、噂レベルではあるが犯罪行為を犯した冒険者の所には、その階層ではありえない強力な魔獣が現れ蹂躙されるらしい
まだ、あの古龍も死にたくはないようだ・・・
翌日、ぼくとアルフェリオは新設された異界居住区四階の一室を訪れていた
「リムちゃん 怪我の具合はどう?」
その部屋には、療養中のリムちゃんとダン君たちパーティーの面々がいる
部屋の壁にはアルフェリオがリムちゃんに譲った真っ白いローブがかかっていた
「ホムラ様や聖女様の治療のおかげで随分良くなりました もうじき、また迷宮にもぐりたいと思います」
「それはよかった まあ、あまり無理はしないように」
「でもお兄さん 俺達までここに住まわせて貰って良いの?」
ダン君が聞いてきた 何度も言ったはずだが・・・
ぼく達「はぐれ雲」はパーティーからクランに昇格
ズンダの街にもクランの事務所を置き、ぼく達の傘下に入ったダン君たちに運営を委託することにした
「もちろんだよ キミたちはもう、うちのメンバーだ 住む権利がある ただ、このことは他言無用にしてね?」
ズンダの街のはずれにある小さなログハウスがダン君たちの拠点になる
もちろん、異界居住区四階直結のドア装備だ
「何か困ったことがあればいつでも言ってくれるとうれしい 全力で支援するよ ぼく達はおなじ家に住む家族だからね」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
その時、突然ドアが開き
「リムさん 怪我の具合はどうだ?」
タケシくんが入ってきた
直後、彼はヒトミくんに殴られる
「女性の部屋に入るときはノック位しなさい・・・」
部屋に笑いが起こる
子供はすぐに仲良くなれていい 少し楽しい気分になった




