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殺意

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ダン君たちは強かった


一人一人の技量はそれほどでもないが 連携が素晴らしい


前衛職は各々の隙を埋めあい、後衛職の少女たちが的確なタイミングで魔法で支援する


彼らは現れた怪物たちを危なげなく倒していく


「すばらしい連携だね 少しの隙もない」


「物心ついたときから、5人一緒ですからね お互い次に何をするか、大体判りますよ」


と、ダン君から返ってくる


「え?君たち兄弟なの?」


「違いますよw 俺たち、同じ孤児院の出身なんですよ 全然似てないでしょ?」


と、トム君


「ああ、そうなんだ・・・」


「勘違いしないでくださいね 孤児院の生活は余裕こそありませんでしたが、院長先生がいい人で大事に育ててくれましたから幸せでした」


にこにこしながらリムちゃんが教えてくれる


「あたしとリムは魔法まで教えてもらっちゃいました」


しみじみアンナちゃんが話す


「こいつら、軍や教会から勧誘を受けていたのに、それを蹴って俺たちと一緒に来たんですよ バカですよね」


リムちゃんとアンナちゃんの頭をガシガシ撫でまわし、トーマス君が笑いながら言う


「「誰がバカだコラ」」


二人の鉄拳がトーマス君の急所を襲う・・・


無駄話と単発的な戦闘を繰り返しながら通路を進んでいくと


「お兄さん もう少し行くと小さな安全地帯があるから、そこで休憩するよ」


「やっと休憩か 若い子達についていくのは大変だ・・・」


「マサキさん!あぶなーーーい」


突然、リムちゃんに突き飛ばされる


ぼくを突き飛ばしたリムちゃんの両腕が切断され、彼女は激痛に悶絶しその場にうずくまる


剣を振りぬいた冒険者は、蹲っているリムちゃんを蹴り飛ばした


冒険者の後ろには奴の仲間が5人、にやにや笑っている


男は気を失っているリムちゃんに剣を突き付け


「チッ このくそアマ邪魔しやがって おい、そこのデブさっさと腰のポーチよこせ コイツをこr「パン」ギャッ」


乾いた炸裂音が響き、男は眉間から血を吹き出しそのまま後ろに倒れる


「てめえぇええ」


急に倒れた男にいきり立つ奴の仲間


「おまえら、全員・・・死ねよ・・・」


ぼくは、奴の仲間を一人ずつ撃ち殺していく


ダン君たちは呆気にとられて、フリーズしてしまっている


最後に残ったシーフの女の両膝を撃ちぬいて、逃げられないようにした後


「ダン君、しっかりしろ すぐにリムちゃんの手当てをしてくれ」


ぼくの声にフリーズの解けた四人は、リムちゃんの治療に走る


治療を始めたのを確認して、生き残りのシーフの女に銃を突きつける


「ひっ 殺さないで まだ死にたくない」


「おい、だれに頼まれた 帝国か?」


「て、帝国なんて知らない あんたたちが魔法のポーチの話をしてたから奪おうと・・・」


「そうか・・・わかった もういい」


安堵の表情を浮かべた女を、ぼくは射殺した


リムちゃんの所に戻る途中


「・・・ミーア いるんだろ?アルフェリオを呼んできてくれ」


「もうじき、来ます お待ちください・・・」


誰もいないのに ミーアの声が聞こえた


リムちゃんの横に腰を下ろし、彼女に声をかける


「リムちゃん・・・」


「あっ・・・マサキさん・・・ 怪我はありませんか?」


「すまない ぼくのせいで・・・」


「あははは ドジっちゃいました この手じゃ冒険者は引退するしかないですね」


無くなった自分の両腕を見ても、にこやかにほほ笑む彼女の目から大粒の涙がこぼれ


彼女の嗚咽の声が響く・・・



「ごしゅじんさまあ~」


入り口の方から 白いローブを羽織った少女がすごい勢いで走ってきた


彼女の前に飛び出したオークが撥ねられて、壁に叩き付けられ赤いしみになる


「アルフェリオ ここだ」


「どの子を治せばいいの?」


「この娘だ 大至急頼む」


アルフェリオはリムちゃんに近づくと彼女を抱き上げ、優しく抱きしめる


「痛かったでしょう? 貴女が ご主人様を守ってくれたのね この御恩は永久に忘れません 本当にありがとう」


アルフェリオの身体がまばゆく光り、リムちゃんを包み込む


光が消えると リムちゃんの両腕は元通り再生していた


「うそ・・・」


リムちゃんは茫然としている


「アルフェリオ・・・思い出した!「はぐれ雲」の「道端の聖女」・・・」


アンナちゃんが呟いた





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