嵐の中
「おじちゃん お空がぴかって光ったよ」
窓にへばりついて外を見ていたエウリアが嬉しそうに言う
その直後に響く轟音と爆発音・・・
「今のは近くに落ちましたね」
タケシくん キミも随分楽しそうだね
どうして子どもは嵐とか台風が好きなんだろう・・・
今、ぼく達は暴風と豪雨の中にいた
「これって台風かな? この世界ではなんというか知らないけど・・・」
「そうですね 移動性熱帯低気圧というヤツです」
ホムラはいつもと変わらない いや、じゃっかん顔色が悪い・・・か?
「ホムラさん かみなり怖いの?」
「こ、怖くなんかあ『ゴロゴロドッカーン』きゃあああああ」
「・・・怖くなんかありません 怖くなんかないもん(泣)」
ぼくにしがみ付いて涙目で言われても説得力ありませんよ?
「ホムラおねえちゃん かみなりこあいの?だいじょうぶ?」
エウリアがホムラの頭を撫でてくれる
ホムラを抱きかかえながら
「ほかのみんなは?」
「アルフェリオさんとミーアさんは部屋で布団をかぶって寝てます」
シオが教えてくれる
小夜とシオは平常運航、普通に家事をしている
アリア様とヒトミくんは運転席でハンドルを握ってなんか話し合ってる
「どうしたの?」
「あっマサキさん この車ってオートマチックじゃないんですね?」
ヒトミくんが聞いてくる
「マニュアルだよ ギアもたくさんあるから面倒くさい でも力が強いから滅多なことじゃエンストしないよ」
「そうなんですか・・・」
「運転覚えてみる?」
「いいんですか?」
「うん 運転できる人間は多い方が良いからね ぼくとアルフェリオだけじゃ少し不安だから」
「私も覚えたいです」
「俺もお願いします」
アリア様とタケシくんが手を挙げた
「じゃあ、簡単に教えるからこっちにおいで」
三人でかわるがわるハンドルを握る姿を見ながら、もう一台増やすのも有りか?と考えていると、下から見上げているホムラの視線に気が付いた
「ホムラさん、どうしたの?」
「お恥ずかしい姿をお見せしてすいません・・・」
顔を赤くしてうつむく
「久しぶりに、ホムラさんのポンコツ可愛いところが見れてうれしいよ」
「ポンコツなんてひどいです」
ぷうと頬を膨らませる
「最初はいろいろやらかしてくれたからね・・・」
「あう・・・」
顔をさらに赤くする
「こんな小さい身体で本当にいつもありがとう」
「マサキさん・・・」
「心の底から感謝してるよ」