平和な一日
ブックマーク ありがとうございます
「違う、薬草、違う、違う、違う、違う、薬草、違う、違う、違う・・・ アリア様、あと8本です」
今日は、王都近くの森に薬草採取のクエストに来ている
つい先日冒険者登録したばかりのアリア様、タケシくん、ヒトミくんの記念すべき初仕事である
しかし、思いのほか成果が上がらない やる気はあるのだが、薬草以外の誤採集が多い
「なあ、ヒトミ これどう思う?」
「うーん、葉っぱの形とつき方が違うような・・・」
アリア様も、二人が何を話しているかわからないだろうに、一緒になって首を傾げている
「わからなかったら聞きにおいで 疑問を聞くのは恥ではないよ」
ぼくの言葉は、「言語理解」のスキルによって相手の耳に届くとき、相手の使用言語に変換されるから3人同時に頷いた
アリア様が同時に聞き取っていることに気づいたヒトミくんが
「あの・・・マサキさん?」
「ん?どうしたの?」
「アリアさんって、私達の言葉は聞き取れないみたいだけど、マサキさんの言葉は理解してますよね?どうしてですか?」
と聞いてきた
観察眼の鋭い子だなと思いながら
「ぼくは、「言語理解」と言うスキルを持っていてね どんな言語でも聞き取れるし、話せるし読み書きできるんだ」
「スゴイ、それは私達でも習得できるんですか?」
「うーん たぶん無理だと思うよ これは、神様に慰謝料でもらったスキルだから・・・」
「え?神様に慰謝料って・・・」
ぼくは彼女にいろいろ説明した
「はあ・・・ そんなことあるんですね・・・」
「まあ、そのおかげで随分楽しませて貰ってるし、君たちを保護する余裕もあるから 今は感謝してるよ」
もっともあの神様に殺されなければ、この世界に来ることもなく普通に暮らせてたんだろうけど・・・
「私たちもその神様に感謝しないと・・・ あっ、スイマセン マサキさんの不幸を感謝するなんて・・・」
「良いんだよ ぼくより、キミたちの方が遥かに不遇なんだ キミたちを助けるのがぼくの運命だったんだよ」
「マサキさん・・・」
「おーい、ヒトミぃ」
「タケシくんが呼んでるんで行きますね」
「そろそろ休憩にしよう 二人を呼んできてくれるかい?」
ヒトミくんが二人の方に駆けていく
「あの、マサキさん?」
いつの間にか後ろにいたホムラに声をかけられた
「わあ、びっくりした」
「ヒトミさんもハーレム要員にするんですか?」
何を言ってるんだ このロリ巨乳は・・・
休憩も終わり採集を再開
俺は、見本にもらった薬草と違うと言われた雑草を見比べてみる
「・・・だめだ さっぱりわからん」
横にいるアリアさんも見比べて、頭をひねってる・・・
ヒトミもしばらく見比べていたけど
「あ、わかった」
「まじ?」
「多分だけど、茎の形と葉脈が違うんだよ」
「どういう事?」
「茎の断面が薬草は四角くて、雑草の方は丸いの」
「あ、ほんとだ・・・」
「でね、葉脈が薬草は根元で分れているけど、雑草は先の方で枝分れしてるんだよ」
「なるほど、そういうことか ヒトミよく気付いたな」
頭をなでてやった
ヒトミは、言葉の通じないアリアさんにも身振り手振り、ジェスチャーを交えて説明してる
「ひゃあ」
あ、抱きつかれた 通じたみたいだ
違いが判ると簡単だった すぐに30本集まってしまった
「マサキさん、終わりました」
「はい、おつかれさま ちょっと早いけどお昼にしようか 外で食べるから手を洗っておいで」
食事が終わり、お茶を飲んでいると マサキさんは 突然、森の中を指さし
「この先に、コーラの赤い缶が置いてあるんだけど、見える人いる?」
全く見えない アリアさんも首を横に振っている
ヒトミが手を挙げ
「・・・はい 切り株の上に置いてあるやつですよね?」
「ヒトミくん 昼休みが終わったらコレであれを撃つ練習をしようか?」
ヒトミの前にスコープの付いたライフルをおく
「弾はいくら使ってもいいよ 納得できるまでやってくれれば良い」
狙撃銃を重そうに抱えるとうなずく
「ただし、身体に違和感を感じたらすぐやめること 無理はしちゃダメだよ」
「はい」
「あの、俺たちは・・・」
「実はこれ買ったんだけど・・・乗ってみる?」
キャンピングカーの陰から四輪バギーを引っ張り出してくる
「俺、まだ13歳ですけど・・・」
「この世界にそんな法律ないよw」
アリアさんと二人、操作方法を教えてもらって走ってみる
これはたのしい
アリアさんもすごく楽しそう
「しばらく、好きに走ってていいよ ぼくたちの目の届く範囲から出ちゃだめだよ あとヒトミくんの射線に絶対はいらないように」
マサキさんがホムラ様を呼ぶ
「ホムラさん、ぼくちょっとヒトミくんの方みてくるから、この二人がどっかいっちゃわないように見張ってて」
「はい」
俺ら、信用ねえな・・・
ホムラ様がこっちに歩いてきて一言つぶやく
「あなた達、人間を辞めたかったら好きにしていいですよ もちろん、連帯責任ですからね?」
そして、車内に戻っていった
アリアさんが泣きそうになってる
ホムラ様、怖いよ・・・