奴隷商の報復
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翌日、俺とヒトミは小夜さん引率でまたギルドに行くために門の列に並んでいる
横にいるヒトミは、きょろきょろ周りを見ている
「おい、田舎者みたいだからキョロキョロすんな」
「だって・・・」
「あはは、初めて見るモノばかりだろうから仕方ないよ ね、ヒトミちゃん」
顔を赤くしてうつむくヒトミ
「大体、タケシくんだって昨日はキョロキョロしてたじゃんwww」
「ちょっ、ちょっと小夜さん・・・」
二人に笑われた・・・ ひでえよ小夜さん
「そうだ キミたちに渡すものがあったんだ」
小夜さんは腰のポーチからふたつの指輪を取り出す
「これは「結界の指輪」と言ってね 装着者をあらゆる危害から守ってくれるの」
一つずつ手渡してくれる
「肌身離さず身につけてなさい この世界は危険だから」
「いいんですか?そんな凄いもの・・・」
「うん、あたしもアルさんももう必要ないから・・・」
小夜さんが寂しげに笑ったのに気づいてしまった・・・
「小夜さん?」
「さ、次だよ行くよ」
ヒトミの冒険者登録は何の問題もなく終わった
「今日はおひるごはんを食べてくよ マサキさんにお小遣い貰ってきちゃったから、何でも奢ってあげるよ」
と、小夜さんはカワイイ猫のがまぐちをジャラジャラさせた
この人は、本当にやることすべてが嫌みがなくて可愛らしい
ギルド職員おすすめのお店に入って、店員に注文をしているときに事件が起きた
「きゃあああああああ」
小夜さんが急に倒れ、店員が悲鳴を上げる
「あははははは 私達を敵に回したことを後悔させてやる」
そこには、両手を血に染めた昨日の奴隷商がいた
「お前たちを人質にして、アイツに復讐してyギャアーーーー」
突然起き上った小夜さんに奴隷商は殴り飛ばされ壁に叩き付けられた
「ふ、ふざけんじゃない・・・わ・・・よ」
ドサッ
小夜さんは再び倒れる
背中には短剣が突き刺さっていた
今も血があふれるように流れている・・・どう見ても致命傷だ・・・
「あたしは・・・いいから、あんた・・・たちは逃げなさい・・・」
ぐったりしている小夜さんを抱えあげ
「ヒトミ、行くぞッ」
震えているヒトミに声をかけ、全力でキャンピングカーに走る
「早くアルフェリオさんに治してもらわないと・・・小夜さんが死んじまう」
が、進路を奴隷商の手の者に塞がれてしまった
とっさに路地に逃げ込むが、そこは行き止まりだった・・・
そこに頬を押さえた奴隷商が現れる
「ふざけやがって・・・お前ら、両手両足を切り落として、マサキに送りつけてやる・・・」
奴隷商はキレていた 目が正気じゃない
抱えていた小夜さんを壁にもたれ掛らせると、俺は腰の短剣を抜く
ヒトミは小夜さんを守るように、小夜さんに覆いかぶさる
「バカが・・・ おまえらみたいな・・・」
「ホントバカねぇ おいていけって言ったでしょ?ヒトミちゃん、悪いけど退いて」
小夜さんは突然立ち上がると、自分の背中に刺さっていた短剣を引き抜く
血が噴き出すがすぐに止まり、傷口もすぐになくなってしまう
「・・・でもあんたらはもっとバカね こんな罠に引っ掛るなんてwww」
路地の入口に大剣を抜いたシオさんが立ちふさがる
「・・・ソ、ソードマスター」
小夜さんが呪文の詠唱を始める
と男たちは一斉に逃げ出すが、シオさんに阻まれて逃げられない
突然、すべての男たちの右腕が肩口から切れて落ちる
「「「「「「ぎゃああああああああああああああああ」」」」」
狭い路地に男たちの絶叫が響く
傷口を押さえて転げまわる男たち・・・
「なんだっけ?この子達の手足を切り落とすんだっけ?」
小夜さんが冷たく笑いながら奴隷商に聞く
「・・・あたしが代わりにお前らの手足を切り落としてやるよ ほら」
奴隷商の左足が、ふとももの中ほどから血を吹き出し、切れ飛ぶ
「があああああああ や、やめて 殺さないで・・・」
商人は命乞いを始める
「あははは コイツ、こんなこと言ってるけどどうしようか?」
俺とヒトミに聞いてきた・・・
ヒトミはガタガタ震えて話せる状態ではない
「小夜さん、もういいです 止めてください」
俺の言葉を聞いた小夜さんは
「チッ、ここまでにしてやるよ 優しいこの子達に感謝しなさいよ」
入り口を見るとシオさんは居なくなっている
「それじゃあ、帰ろうか?もう、お昼ごはんて気分じゃないよね」
小夜さんがヒトミに手を差し出すと、ヒトミは小夜さんに抱きついた
「小夜さん よかった 生きてる、生きてるよぉ 本当に良かったぁあああああ」
しがみ付いて号泣するヒトミ・・・
まだ、ぐすぐすいっているヒトミの手を引きながら帰路を歩く
道中色々話してくれる
「・・・と言うわけで、ホムラ様に不死にされちゃったんだよ 笑っちゃうよねw」
「・・・ホムラちゃ、様って神様だったんですね・・・」
「驚くのそっち?・・・あたし化け物なんだよ 怖くない?」
「と言っても、俺たちその化け物の小夜さんしか知らないし・・・見た目普通の女の子だしなぁ・・・ 怖いとか聞かれたら怖くないとしか・・・」
ヒトミを見るとコクコク頷いている
「私にとってはさっきのおじさんたちの方が化け物です 小夜さんは人の心を持った普通の人間ですよ ただちょっと頑丈なだけですw」
「ヒトミちゃん・・・」
小夜さんがヒトミに抱きつき涙ぐむ
「あっ、そうだ あたしが不死身なのマサキさんには秘密だから言っちゃだめだよ」