タケシ君、初めての王都
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今、俺は小夜さん、アリアさんと王都の入門審査の列に並んでいる
目的は、俺の身分証明書代わりのギルドカードの入手と衣服などに消耗品の仕入
マサキさんたちは門から100Mほど離れた草原の中に車を停めて待機している
アルフェリオさんが心配してついて来てくれると言ったのだが
王都は亜人差別がひどく、マサキさんが強く反対してダメだった
俺としても、優しいアルフェリオさんに、嫌な思いなどして欲しくないのでそれで良い
それでも、門の前までついてきて教会の奴らにいくら追い払われても戻ってきて、並んでいる旅人達に治癒呪文をかけて回っている
小夜さんに聞いたら、無料辻治療はアルフェリオさんの趣味だそうだ
胡散臭い牧師に高い金を払って治してもらうより、綺麗なアルフェリオさんにただで治療してもらう方が誰だって嬉しいよなぁ
でも、アルフェリオさん ローブのフードで耳を隠してもお尻の立派なシッポが隠れてないので、獣人だってもろばれですよ?
アルフェリオさんと教会の追いかけっこを見ているうちに、順番が回ってきた
最初、小夜さんと俺を見た門番の態度はすごく横柄だったのだが
小夜さんがギルドカードを見せた途端、顔面蒼白になり応対が丁寧になった・・・
その後のアリアさんの時はもっとすごかった
アリアさんが市民カード見せてひと言言うと土下座を始めた
何を言ったのか知らないが、俺はああはなりたくないと思った
審査が終わって入門した後、ふとアルフェリオさんを見ると
教会騎士をブッ飛ばしているところだった・・・
アルフェリオさん・・・つええ・・・
それを見て小夜さんはため息をつくと
「さっさと用事を済ますわよ アルさんが騎士団を全滅させる前に戻らないと・・・」
と言って俺の手を引き走り出した アリアさんも急いでついてくる
剣と杖の看板を見つけるとそこに入り、受付嬢のお姉さんから書類をもらい
アリアさん小夜さんが急いで書き込みすぐに提出した
しばらく待っていると2枚のカードを渡された
俺とアリアさんの分
アリアさんも冒険者登録したかったそうだ
でも、いいとこのお嬢さんなので両親に反対されていたらしい
旅の途中の鬼の居ぬ間にというヤツだ・・・
マサキさんに話してあるのだろうか・・・
すごくうれしそうにカードを見るアリアさんに聞くことはできなかった
途中で奥から出てきた厳ついおっさんが、小夜さんに奥に来るように言っていたようだが、小夜さんが怒鳴ると引っ込んでいった
小夜さんに話を聞くと「引き抜き」をされているらしい
小夜さん 見た目は可愛いからなぁ・・・ 引き抜きたくなるよな
なんて考えてると凄い目で睨まれた
あの・・・もしかして読心術とかできるのでしょうか?殴るのは勘弁してください
ギルドを出て、衣服店に行くと
さすが、女の子 俺の服なんかどうでもいいと思うのだが、
一時間ほどああでもないこうでもないとやった挙句、着せ替え人形にされた
「しまった 遅くなっちゃった」
門に急ぐと、まだやっていた
沢山の騎士が倒れる中、無傷のアルフェリオさんが小首をかしげて可愛く笑っていて、その周りを30名ほどに騎士が取り囲んでいる
小夜さんが止めようとしたら、騎士の一人がアルフェリオさんに何かを叫んだ・・・
その直後、小夜さんがキレた
「・・・だれが、「邪教の魔犬」だ コラ・・・」
小夜さんが何かをつぶやき始めると、騎士たちの真ん中に雷球が現れる
それを見たアリアさんが叫び始めると、周りで見ていた野次馬が慌てて金属製の物を捨て始める
取り囲んでいた騎士たちも慌てて装備品を捨て始めるが、間に合わず「バツン」と言う音の後、一斉に倒れてしまった
そしてなぜか、俺も倒れていたorg
薄れゆく意識の中「そういえばスマホを胸ポケットに入れたままだったなあ」とどうでもいい事を考えていた
気が付くとアルフェリオさんに背負われていて、彼女の良い匂いを堪能させて貰った 我が人生に悔いなし
車に戻るとマサキさんに、三階に部屋が出来たから和室と洋室好きな方を選ぶように言われ、和室をもらうことにした
今、もらったばかりの部屋でコーラを飲みながら風景を見てる
見渡す限り、何もない草原・・・物思いにふける
そういえば、一緒にいた幼馴染のヒトミはどうなったんだろうと考える
いきなり、俺が消えてびっくりしてるかな?
少しくらい心配してくれてるだろうか?
突然嫌な考えが浮かぶ・・・
・・・まさか、一緒に飛ばされて無いよな?
心配になってマサキさんに相談したら、「もっと早く言え」とムチャクチャ怒られた
ホムラちゃんがすぐに調べてくれた
やっぱり、一緒に飛ばされてこの王都にいるらしい
6時間ほど前にこの世界に放り出され、いまは奴隷商街にいるそうだ
すぐにマサキさんとホムラちゃん、俺の三人でヒトミの所に走る
目的の商館にたどり着くと玄関にカギがかかっていたけど、ホムラちゃんが蹴り破り突入
すぐに警備の奴らが出てきたが、ホムラちゃんが睨むと座り込んで失禁してしまう・・・
ホムラちゃんが怖い
すぐにヒトミを見つけて保護した
ヒトミの檻の前で
「よお、ヒトミ お前何やってんの?」
と言ったらマサキさんに、小突かれた
蹲っていたヒトミは、顔をあげ
「タケシちゃん?タケシちゃんなの?」
と聞いてくる
つい、
「ヒトミ・・・お前、目が見えないのか?」
と慌ててきいたら、
「暗くてよく見えないの」
と返ってきた
ほっと胸をなでおろす
ヒトミは、いろんな意味で無事だった
マサキさんが商館の主の奴隷商を吊し上げている
「御主人、すこしの借金もなく犯罪も犯していない人間を、奴隷にするのは重罪ですよね?」
「証拠があるのか・・・?」
「このお嬢さんは、ほんの数時間前にこの世界に来たばかりなのに、どうやって借金や犯罪をするんだ?」
「何をばかなことを・・・」
「この子は「迷い人」だ 黒い目、黒い髪 見ればわかるだろう?違うならどこで見つけたか言ってみろ ただし、ウソをつくたびに指を一本づつ飛ばす」
ハンドガンを取り出すと、壁にかかっていた金属製の盾を撃った 盾は脆い金属だったらしく砕け散ってしまう
おもむろに男の右手に銃口を押し付けると
「ほら、言えよ」
奴隷商は震えながらうつむくと
「・・・そうだ、その娘は何も咎はない 奴隷じゃないんだ・・・」
と認めた
マサキさんが男の股の隙間を撃ちぬくと、男は泡を吹いて失神
「じゃあ、このお嬢さんは引き取らせてもらうよ ぼくは「はぐれ雲」リーダーのマサキだ 北門の所にいるから文句があるなら何時でもおいで」
従業員にひと言言って商館を後にする
俺は絶対この人を怒らせないことを心に誓った
車に戻るといつものマサキさんだった
女の子たちにヒトミを紹介すると、アルフェリオさんがお風呂にヒトミを拉致していった
少しヒトミの悲鳴が聞こえる気がするが気にしない
風呂上りのヒトミに軽食を食べさせながら、今後の説明をする
今後は、マサキさんが俺ともども面倒を見てくれる
とりあえず、冒険者になってマサキさんの採集班に入ってもらう
部屋は三階の空き室ならどれでもすきなのをつかって良い
まあ、あまり気負わず楽しく暮らしてくれるとうれしいことなどを言ってくれた
ヒトミが食べ終わるのを見ると
「今日はもう遅いから、ゆっくり休んでください 詳しい話は明日にしよう」
とマサキさんは話を締める
時間を見ると日が変わっていた