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運命神の賠償内容

どこまでも続く草原 まばらにある大岩が自分が少しずつ歩を進めていることを教えてくれる


 「ホムラさん、すこし質問があるんだけどいいかな?」


彼女は振り向いて


 「いいですよ なんでも聞いてください」


 「とりあえず・・・あのじいさんは誰?」


 「・・・そこからですか」


と言って、彼女は難しい顔をする


 「うん、考えてみたら聞いた覚えがない」


 「ハァ・・・ あの方は、地球担当の運命神さまですよ」


 「運命神・・・」


 「と、言っても地球は人口が増えすぎて寿命を決めるくらいしかしてないですけどね」


 「・・・昔は、優秀な人間に神託を与えたりいろいろしていたんですよ」


 「へぇー」


 「でも、あの方は昔はもっとやんちゃで迂闊な介入の仕方をして戦争を起こしたりして、よく創造神様に怒られたりしてたんです」


 「で、またバカなことをしないように周りが注意していたんですが・・・」


 「あははは・・・」


 「すいません」


乾いた笑い声をあげるぼくと、申し訳なさそうにうつむくホムラ・・・


ちょっと雰囲気を変えることにする


 「そういえば、ホムラさんってどういう立場なの?」


 「運命神様の部下ですね 表向きは・・・」


 「表向きは?」


 「実際は暴走しないようにするための見張りです」


 「ほう・・・」


 「だから、今回の件に対しては少なからず責任があるんですよ・・・」


さらに重くなる空気


 「だから、ホムラさんはぼくについてきてくれたの?」


 「はい・・・ でも、こんなことで許していただけるとは・・・」


さらに重さを増す空気・・・


 「で、いつまで付き合ってくれるの?」


 「あなたが残りの人生を全うするまでです」


 「え?いいの?」


 「問題ないですよ 人間の一生なんて私たち神族から見ればほんの一瞬ですから・・・」


 「なるほど」


 「力いっぱいお世話しちゃいますよ もちろん、よるのおせわもおっけーです」


 「あはは・・・ ってだめだよ もっと自分を大切にしなきゃ」


 「私、初めてですよ 病気の心配もありません 折角マサキさんの好みの容姿にしたのに・・・」


 「どうしてそんなに必死なの」


 「だって、運命神様が・・・全てを捧げて尽くすようにって・・・」


 「あのくそじじい 要らん事吹き込んでんじゃねえ」


 「マサキさん?」


 「とりあえず、家事とかしてくれるだけでいいから」


 「護衛もしますよ 私がついてる以上、老衰以外では死なせません」


彼女は容姿に見合わない大きな胸を張ってドヤ顔を向けてくる


 「あはは、たのもしいな」


なんか、この子と話してると疲れる・・・


 「すこし、やすもうか?」


彼女は少し考えた後


 「イエ だいぶ、日が傾いてきましたからあそこの大岩の陰で今日は休みましょう」


100Mほど先にある大岩を指さしてホムラは言う


 「・・・やっぱり野宿なんだね」


 「そうですね こんなところに宿屋なんてないですし・・・」


大岩のたもとの草の生えてないところに腰を下ろす


ホムラも横に座り


 「おもったより、進めなかったですね・・・」


 「二時間で5kmか・・・ 初日だし、この体型だから歩くの苦手なんだよ ゴメンな」


 「あっ、すいません」


なんか、げんなりしてくる 如何してこんなことしてるんだろ・・・


 「あーあ、コーラ飲みたい」


 「缶でいいですか?赤いのと黒いのがありますけど・・・」


 「黒いので・・・ えっ?この世界ってコーラがあるの?」


ホムラはエプロンのポケットから缶を取り出すと手渡してくる


 「ありませんよ この世界に来るときに運命神様が持たせてくれたんです」


よく冷えた缶のプルトップを開け、一口飲む


 「・・・うまい まさかコーラが飲めるとは思わなかったよ


 なんかこの世界にきて初めてあのじいさんに感謝したよ」


 「あはは、ひどいですねぇ」


 「でも、貴重なんだろ?こんな簡単に飲んじゃって大丈夫?」


 「消耗品は毎日、日が変わるときに補充してくれるそうですから大丈夫ですよ」


残りを一気に飲み干し


 「ごちそうさま 元気も出たし野営の準備しよう テント張るんだろ?」


彼女は不思議そうな顔をしながら


 「テントなんて持ってませんよ いるんですか?」


 「えっ?露天で寝るの?まだ春先だし、こういうところは朝冷えるよ?」


 「運命神様から、これを頂いたんですけどダメですか?」


と言いながら、エプロンのポケットに手を突っ込み、大きなものを取り出す


目の前に現れた大きなキャンピングカーに呆気にとられる


 「どうですか?」


 「・・・そのポケットどうなってんの?」


 「そっちですか?これは無限収納というものです 沢山モノが入るんですよ べんりでしょ?」


 「ド○ミちゃんか・・・ エライ簡単な説明だな・・・まあ、わかりやすかったけど でこの車は?」


 「確か、EUの自動車大国のMB社が造った多目的車両に居住設備を架装した特注品で ラリーレイドとかいう競技にも使う車なので走破性とやらは最高だそうです」


 「いや・・・ 車両の説明じゃなくて どうして最初に出さなかったの?歩かなくて済んだのに」


 「・・・私、運転できません」


 「ぼくが運転できるよ マニュアルで取ったからたぶん大丈夫」


 「・・・」


 「ホムラさんって意外と天然さん?」


彼女は首をかしげて


 「天然ってなんですか?」


君のことだよ、と思うが口に出さない


 「まあいいや、荷物片づけて中に入ろう」


車内は対面のソファとその中央にテーブル、後ろの方に簡単なキッチンがある


あと変な所にドアがついてる あの位置だとそのまま外に出るだけだよな・・・


神様の考えることはわからんな


 「マサキさん、晩御飯どうしましょう?」


 「簡単なものでいいよ ところでシャワーとかできないかな?」


 「そこのドアを入って左側のドアがお風呂です 準備しますね」


 「え?このドアって外に出るんじゃないの?」


 「・・・出入り口はふたつもいりませんよ?」


首をかしげて聞き返してくるホムラ


 「だって、壁にドアがついてるだけじゃん・・・」


 「百聞は一見にしかずです ほら、おうちがあるでしょ?」


ドアを開けると、確かに廊下が続いてる


 「どうなってんの?これ・・・」


 「車だけじゃ狭いから運命神様が別次元に3LDKのお家を準備してくれました 電化製品は電話以外使えますよ」


 「テレビとかどうしてるの?」


 「東京近郊の放送と衛星放送が受信できるそうです」


 「ネットは?」


 「通販とかも使えるそうですよ 翌日配達です 即日は勘弁してくれとおっしゃってました」


 「親族との連絡以外は前世とほぼ同じレベルの生活ができるようにしました」


 「あと、お家は要望があれば増築してくれるそうです」


 「・・・至れり尽くせりだね」


 「そうですね」


 「とりあえず、ホムラさんはご飯の準備して お風呂は僕がやるから」


 「ミートスパでいいですか?」


 「ホムラさんに任せるよ」






食事、入浴を済ませ車の方のソファに対面に座りお茶を飲んで一息入れる


 「ホムラさん あと運命神の賠償って何かあるの?」


 「まず、マサキさんには人に騙されないように詳細鑑定と


 言葉に困らないように言語理解のスキルを付けたそうです」


 「それはたすかるね」


 「あと、毎月金貨5枚 日本円に換算すると50万円を生活費として振り込んでくれると・・・」


 「それでおわり?」


 「すくないですか?」


 「至れり尽くせりすぎて怖い・・・」


二人を包む沈黙・・・


 「これを飲んだら今日は休もう あとのことは明日考えよう」


 「はい、おやすみなさい」

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