息抜きの結果
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「ご主人様 村が見えてきたよ」
「アルフェリオ ここから草原に入ってあの岩の陰に停めてくれ」
「りょうかーい」
車が向きを変え草原に突っ込んでいく
「マサキさん 村に行かないの?」
小夜が聞いてくる
「山で冒険者に会っただろ 距離的に今日中に着くのはおかしい 連中がこの村に来たときぼく等の話題が出るとまずい・・・」
「なるほど」
「明日、徒歩でみんなで村に行こう」
車が指示した場所に止まる
「ご主人様 今日はこれからどうするの?」
「自由にしていいよ」
「じゃあ、アルさんやシオさんと狩りに行って良い?」
小夜が目を輝かせて聞いてきた
「いいよ 暗くなるまでには帰ってこいよ」
「うん・・・あたしら子供じゃないんだけど?」
いや 小夜は子供だろ・・・
「あははは まあ気を付けて行って来い 無理はするなよ」
「「「いってきます」」」
「はい 行ってらっしゃい」
ホムラが離れていく三人を見送る
「あの子達、大丈夫でしょうか?」
ホムラが不安を口にする
「この辺ならそんな危険な魔獣もいないし大丈夫でしょ?」
「いえ、そちらの心配じゃなくて 何かやらかさないかと・・・」
すごく不安そうな顔に・・・
あれ?確かにマズイ気がする
「まあ、草原の真ん中だし 万が一、人を怪我させてもアルフェリオがついていったから大丈夫じゃないかな」
「そうでしょうか?」
「心配してもしょうがないよ 久しぶりの二人きりだしノンビリしよう?」
「そうですね お茶の準備します」
「そんなのイイからこっちにおいで」
「マサキさん 明るいうちからはちょ・・・ああん」
どおおおおおおおおおおおん
大きな爆発音がして車体が震える
「・・・マジか?」
「・・・小夜さんの魔法ですね 私ちょっと見てきます」
ホムラがはだけた衣服を直し身なりを整えながら 三人の行った方に駆けて行った・・・
しばらくすると重傷のアルフェリオと小夜を、ホムラとシオが背負って戻ってきた
何をやったんだアイツら・・・
治療を手伝おうとしたらホムラに断られ、車で待っているように言われた・・・
まあ、女の子だしぼくに見られたくないこともあるよな
その日、草原の真ん中に直径30mほどの新たな池ができたそうだ
ホムラ様が激おこだ めちゃくちゃ怖い
今、リビングには包帯まみれのあたしとアルさん、まったく無傷のシオさんが正座させられている
ああ、シオさんはもう再生したんだ・・・不死身ってスゴイな・・・
「小夜さん、どうして指輪を外したのですか?」
ホムラ様が冷たい目であたしを睨む
「・・・草原なら他人にけがさせる可能性もないから大丈夫かなって・・・」
あたしはうつむき震えながら答えた 怖い おしっこちびりそう・・・
「で、その結果がこれですか?」
「すいません ホムラ様・・・」
三人で頭を下げる
ホムラ様はため息をつきながら
「わかりました・・・」
この言葉にホッとする三人
「アルフェリオ、服をすべて脱いでテーブルの上に横になりなさい」
ホムラ様が唐突な命令をする
「はい ホムラ様」
アルさんは逆らうことなく全裸になるとテーブルの上に横になる
「アル・・・今から声を出す事と、動く事を禁止します」
アルさんは目を閉じ身動き一つしない
ホムラ様はナイフを取り出すと、アルさんの胸に突き立て切り開き 心臓を露出させる
アルさんは吐血しても、うめき声一つ上げない・・・
シオさんの時、視た事がある・・・これは不死術だ・・・
ホムラ様は顔色一つ変えずに心臓に呪印を刻み、胸の術口を修復した
「アル、制約を解除します 動いていいですよ こちらに来なさい」
ホムラ様は近づいてきたアルさんの首をつかむと つぎの瞬間、握りつぶした
彼女の頭が床に落ち、首から血を吹き出して身体が倒れる・・・
「ひっ」
惨劇におもわず声が漏れる
「・・・いたぁい ホムラ様酷いですぅ」
でも、すぐにアルさんは元通りに再生されて起き上がった・・・
「小夜さん 貴女も服を脱いでここに横になりなさい」
「い、いや・・・」
真っ赤い瞳に見据えられて身体が動かなくなる
「貴女達はもうマサキさんの人生に欠かせない必需品です 勝手に死ぬことは許しません」
いや、こわい 恐怖で目から涙がこぼれ、失禁してしまう
「アル、シオ 小夜さんをテーブルに寝かせて動けないように抑えなさい」
「はい ホムラ様・・・」
アルさん 助けて・・・
「小夜ちゃん・・・ゴメン 命令は絶対なの」
動けないあたしは二人に服を脱がされ抱えあげられて、テーブルに寝かせられる
「舌をかむといけないのでタオルを噛ませなさい」
シオさんがあたしの口にタオルを詰め込む
ホムラ様がナイフを持って近づいてくる
怖い怖いマサキさんたすけて・・・
胸に激しい痛みとともに硬いものが侵入してくるのがわかる
その痛みもすぐに消え、何か熱いモノを押し付けられる感覚に変った
遠くでホムラ様が呪文を唱えているのが聞こえる・・・
意識がはっきりしてくると総て終わっていた
全身の傷もきれいに治ってる・・・
ホムラ様があたしを起こそうと右手を差し出してくれた・・・
あたしも右手を前に出す
その瞬間、手首を左手でつかまれ肩を右手で押さえられて右腕を引き千切られた
「ぎゃあああああああああ」
余りの激痛に悲鳴を上げる いたいいたいいたい・・・アレ?痛くない?
引きちぎられたはずの右腕が元通りある・・・血の出た痕跡すらない・・・
「・・・うそ?」
「ん 問題ないようですね」
ホムラ様が優しく微笑む
「今回施した呪詛はふたつ まず、不死 これはシオと同じものです あと今回の施術の秘匿 誰にも知らせることはできません」
「マサキさんにもですか?」
「小夜さん・・・あなたは彼に自分が化け物にされたと知られたいのですか?」
いやだ 絶対に知られたくない そんなことになったら生きていけない もう死ねないけど・・・
落ち込んでいるとシオさんが声をかけてくれた
「ばれなければいいんですよ ばれなければ・・・」
そうか・・・ばれなければ今までと変わらないはずだ
「アルフェリオ、小夜 怪我はもういいのか?」
異界居住区から出てきた二人に話しかける
「うん!もう大丈夫だよ」
「ホムラ様が元通りにしてくれたから・・・平気」
・・・なんだろう 二人とも雰囲気が変わった気がする
「そうか?これからはあまり無茶するなよ?」