どうやらぼく達は怪しいらしい
遅くなりましたが ブックマークありがとうございます
山を降りることにした
一度、ギルドに顔を出しておこうということになったからだ
クエストのノルマの消化も必要だし
シオのパーティー加入登録もしないといけない
山に結構籠っていたのでやることが溜まってしまっていた
一番近い、この世界に来て初めて行った北の村を目指すことにした
徒歩で二日くらいの距離があるので車で移動する
「さて、出発するか」
山道は狭くて車がつかえないので歩きで降りるしかない
山道に出てしばらく歩くと登ってくる冒険者らしい一団に話しかけられた
「おい あんたら早くこの山から降りた方がいいぞ」
「なにかあったんですか?」
「この山で炎龍の目撃情報があったらしい」
・・・ヤバい きのうの晩御飯のおかずだ 唐揚げがうまかった
「もしかして討伐に?」
「いや、本当に居るか調査に来ただけだ」
「あたしたちじゃ返り討ちになるだけだからね(笑)」
後にいた諜報職らしき女性が笑いながら言う
「一応聞くがあんたら見てないよな?」
「も、もちろん みてませんよ」
しまった 動揺してしどろもどろになった
「・・・ねえ ナニ焦ってるの?本当に見てない?」
女性が聞いてくる
「本当に見てません 炎龍がいると聞いて動揺してしまって・・・」
食べちゃったとは言えない
まだ八割くらい残ってるけど・・・
「・・・後ろの子が大剣を背負ってるみたいだけど御同業じゃないよね?」
不審そうな目で見つめられる
「ぼくらは確かに冒険者ですけど、Eランクそれも採取専門です これ見てください」
ギルドカードを見せる
「いや、御同業だとしても問題はないんだ 手間を取らせて悪かった」
「いえ それでは急いで下山したいので失礼します」
「おう 気を付けてな」
リーダーらしい男がひらひらと手を振る
ぼく達はそれを横目に見ながら急ぎ足で下山する
立ち去る怪しい一団を見ているリーダーがあたしに聞いてきた
「なあ どうしてあいつらにあんなこと言ったんだ?」
震える手を見ながら
「先頭のデブはともかく後ろのローブを着た連中はただモノじゃない」
「なんだと・・・」
「とくにフードを目深にかぶった赤い目のチビ・・・ あれは此の世の者じゃない」
あの赤い瞳で睨まれたとき、このあたしが恐怖の余り漏らしちまった・・・
「・・・追うか?」
「いやだ あたしはまだ死にたくない・・・行くなら勝手に行け」
「ニンジャマスターのお前がか?」
「違う あたしら全員でも一分持たない・・・」
「俺たちはSランク「竜の咆哮」だぞ・・・」
「あれは人がいくら頑張っても勝てる相手じゃない・・・それに・・・」
「それに?」
「後ろにいた大剣を背負った小娘・・・あれはソードマスターだ」
あの大剣には見覚えがある 確か剣聖が弟子に譲ったと言っていた聖剣だ
「シオ・ソウカか?行方不明じゃなかったのか?」
「どうしてあのデブに同行しているのかはわからない でも間違いない あと、ツインテールのガ・・・」
「いや もういい 見なかったことにしよう」
「それが一番利口だよ・・・敵じゃなかったことを感謝しよう」
あの赤目はあたしらが少しでも敵対行動をとれば・・・あたしらを皆殺しにする気だった・・・
あたしたちは山道を登り始める
リーダーがつぶやく
「炎龍・・・生きてるかなぁ・・・」
とりあえず、あたしはパンツとズボン替えなきゃ・・・
山道を早足で降りるマサキ達
「ホムラ様 先ほどの連中Sランク「竜の咆哮」です」
シオがホムラに話しかける
「シオ 貴女あの女に正体がばれてましたよ?」
「え?ホムラ様だって・・・」
ホムラが睨んだのでそれ以上言わない
「その背中の剣はどうにかならないんですか?」
「すいません 御師様から頂いた大切なものなので・・・」
「仕方ありませんね このポーチに入れておきなさい すぐ取り出せますから」
ホムラはいつものポーチをシオに手渡す
「お借りします」
「一応、ほかのみんなと同じものも入ってるので使いなさい」
「はい ホムラ様 ありがとうございます」
頭を下げるシオ
「あと、小夜さん」
「なんでしょう?ホムラ様」
「あなたはこの指輪を常に身に着けていてください ポーチに仕舞ってはだめですよ」
「これは?」
「魔力を人並みにセーブする安全装置です」
「人並み?」
「街中でビックリするたびに魔法を暴走されては危険極まりないですから・・・」
「はい・・・」
真っ赤い顔をしてうつむく小夜・・・
やっと広い街道に出たので車で移動を開始する




