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お嬢様の苦悩

「・・・シオ 何時までもめそめそしてると、またホムラさんに怒られるぞ」


ぼくの前で、大剣を背負った赤毛のメイドさんが栗を拾っている


彼女は、ホムラにアンデッドに改造された三日前からずっと泣いていた


「私、奴隷にされた上に人間じゃなくなっちゃった・・・ お父様や御師様に顔向けできない」


・・・はっきり言ってうざい


「うーん 黙ってれば判らないんじゃないの?見た目は全然変化ないし・・・」


無責任なことを言って慰める


「そうでしょうか?」


「別にゾンビやスケルトンみたいに外見から化け物というわけじゃないし、ばれないと思うよ」


「そうですよね 秘密にしよう ありがとうございます」


急に表情が明るくなる うん、笑っている方がかわいいな


「中身は化け物だけどな・・・」


また落ち込む


「やっぱり化け物なんだ・・・わたし・・・」


「でも剣士としては最高じゃないの?死なないなんて」


「?」


「どんな無茶な修行をしても、どんな危険な戦場でも死なないなんて最高だろ?」


「でも死にそうな怪我するとすごく痛いんですけど・・・」


「・・・・・」


「バラバラにされても意識も痛覚もあるんですよ・・・狂うこともできないし・・・」


また、シオが泣き始める


ホント、なんとかしてよ この娘・・・




「・・・シオ、まためそめそしているんですか?」


いつの間にかホムラが後ろにいた


シオが、ビクッとなって立ち上がり


「泣いてません・・・何かご用でしょうか?ホムラ様」


「まあいいでしょう ちょっとついてきなさい」


シオが泣きそうな顔でこっちを見た


いや ぼくを頼られても、首を横に振る


「マサキさんも来てください」


「?」


ホムラの後についていく


「シオ、今から見せることは他言無用です」


「はい・・・」


異界居住区に入っていくと、奥にいつの間にか二階に上がる階段が出来ていた


「ホムラさん 何時の間に二階なんて出来たの?」


「昨晩です 二日前にお願いしたのですが 昨日、設計ができたので施工していただきました 朝にはありましたよ?」


そうだっけ?


「マサキさん アルと小夜さんは二階の大部屋に移動します 二人はキノコの収集を中断させて引越しさせますがいいですか?」


「うん いいよ」


別に問題はない


「そして、シオ 貴女は二人が出たこの部屋で暮らしなさい」


「はい、ホムラ様」


そして、ホムラがシオに耳打ちする


するとシオはびっくりした顔をしてぼくをみたあと、顔を真っ赤にしてうつむく


「では貴女はマサキさんと一緒に二人の引っ越しがすむまで作業に戻りなさい」


うつむいたまま


「はい・・・ホムラ様」


二人で栗を拾っていた場所に戻る



しばらく無言で栗を拾っていたが突然


「マサキ様・・・?」


泣きそうな顔で話しかけてくる


「ん?どうしたの?」


「あの・・・私、初めてなので・・・優しくしてください」


「はあ?」


この娘は何を言ってるんだ?


「ホムラ様が今日から夜のお世話もしなさいって・・・」


「いやいや、そんなことしなくていいよ」


「でも・・・あの・・・」


「ちょっとホムラさんと話してくるから、ひとりで拾っててくれる?」


「はい」


「そうだ あと、ぼくに様なんかつけなくていいから たのむね」


「はい マサキさm・・・さん」


走っていくマサキを見つめる


「・・・やっぱり、アンデッドは嫌なのかしら?」


また、落ち込むシオ・・・



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