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湖畔

翌朝


朝食を食べた後、昨日の宴会の片づけをしていると


初めてメイド服を着た小夜が車内から出てきた


「どう?似合うかな?」


メイド服自体は他の二人と変わらないが、ツインテールを大きな白いリボンでまとめている


「おう、似合ってるな 馬子にも衣装だ」


しまった 口を滑らせた・・・


「誰が馬子よ」


いきなり尻を蹴飛ばされる


「いてぇー なにすんだ このチビ」


「誰がちびよ!」


「お前に決まってるだろ このずんdぐわっ」


今度はグーで殴られる 


倒れると馬乗りになってぼこぼこにされる


「やめろ ホムラさんに見つかるとエライことになるから・・・」


「どういうこと?まあ、いいわ」


イイのかよ?お前、ホムラに殺されるぞ・・・


「いってぇなあ・・・」


「あんたがわるいんでしょ?」


「くそー」


「でもこのスカート、短すぎない?あんたの趣味?」


え?ぼくの趣味なのか?


「かわいいから良いじゃないか」


頬を赤く染める小夜


「もう、このエロ親父は仕方ないわね」


車の中に戻っていく


「え、エロ親父だと・・・」


幼馴染に、エロ親父とか言われると結構きついな・・・


ショックで呆然としていると


「ご主人様、片づけ終わった?あれ、終わってないね 手伝うよ」


アルフェリオが手伝ってくれる


ぼくの癒しはアルフェリオだけだよ


いつの間にか後ろにいたホムラが


「マサキさん 女の子に「チビ」とか「ずん胴」とかいっちゃだめですよ」


・・・みてたのか というかあの位ならキレないんだな・・・




片付けが終わり、車で街道に戻ることにした


「じゃあ、目標は次の宿営地20㎞先だ」


「へー、結構歩くね おじさん、だいじょうぶ?」


小夜が茶々を入れる


「誰がオジサンだこら まだぼくは24だ!」


「・・・24歳はおじさんだよ ね、ホムラさん」


「・・・そうですねぇ」


ホムラさんまでひどい


というか、ぼくがおじさんならホムラさんなんて年齢不明の老婆だよ・・・


あっ、すいません 冗談です 怖いので睨まないで


「ところで、小夜 お前メイド服のままで歩く気か?」


「うん? そうだけど・・・」


「濡れた石畳は結構滑るから・・・」


「すべるから?」


「上になんか着てないと 転んだ時にぱんつ丸見えになるぞ」


「はい、小夜さん ローブどうぞ」


ホムラがローブを手渡す


「ありがとうございます ・・・やっぱエロ親父じゃん」


くそー 人が折角善意で忠告してやったのに


・・・あれ?そういえばアルフェリオがやけに大人しいな


あっ コイツ、ポーチに入れたお菓子の確認してやがる


一体、どれだけ持ってるんだ 半分、没収 


おやつは300円までって言ったでしょ


アルフェリオ、お菓子を取られたくらいで泣くな


小夜もぼくを睨むんじゃねえ


ぼくが悪いのか?違うだろ?


どうして出発前にこんなに疲れないといけないんだ・・・


ぼくは子供の引率の大人か?


「さっさと、出発だ出発!」




2時間後・・・


ぜぇーはー ぜぇーはー


「まさか、街道にこんな峠道があるとは・・・」


「ご主人様、だいじょうぶ?リュック持とうか?」


「リュックはポーチに仕舞うから良いよ ありがとうアルフェリオ・・・」


「しょうがないな 後ろから押してあげる」


小夜が後ろから押してくれようとする


「小夜 危ないからやめろ」


「もうじきお昼ですし、休憩しますか?」


「ごはん?」


アルフェリオと小夜が目を輝かせる


君たち、ぼくがちゃんとご飯食べさせてないみたいだからそういう反応はやめてくれる?


「二人とも育ち盛りですからねぇ・・・」


「じゃあ、すこし見晴らしのいいところに行って昼食にしよう」


「森を右に50Mほど抜けると開けますからそこにしましょう」



着いた先には小さな湖があって、小さな花が咲きほこっていた


「・・・きれい」


小夜がボーっと見とれている


「すごいな 今日はココに一泊してくか?」


「うん」


小夜が元気よく返事をする


「まず、お昼にしましょう アルが大変なことになってます・・・」


そこには大量の涎を垂れ流すワン娘がいた・・・


「おなかすいたよぉ・・・」



アルフェリオがシートに座っておにぎりを食べている


今日のデザートは柑橘系のシャーベット・・・


いつもの様にシャーベットをじっと見つめながらおにぎりをかじってる


「なんか、こうしてると異世界にいる気がしないね」


小夜が食後の緑茶をすすりながらつぶやく


「でも間違いなく異世界だ・・・」


アルフェリオを見ながらぼくは言う


「うん わかってる・・・」


寂しげに遠くを見る


「でもどうしてあたしはココにいるのかな・・・」


急に涙を流し始める小夜・・・


アルフェリオが驚き、優しく小夜の身体を抱きしめる


「でも小夜さん 貴女はまだ運がいいんですよ」 


「?」


「・・・マサキさんに見つけてもらえたのだから」


ホムラが小夜の方を見ず抑揚のない声で言う


「時空転移者、迷い人は大体が環境の変化に耐えられず短命で終わることが多いんです」


小夜がその言葉を聞いてビクッと震える


「でも貴女は、マサキさんに発見され保護を受けられる」


「うん、感謝してる・・・あたしはおじさんの恩にどうしたら報えるんだろ・・・」


小夜がこちらを見つめてつぶやく


「見つけちまったから見捨てるわけにもいかなかっただけだ もし恩だとおもうなら・・・」


「おもうなら・・・」


「前の世界とまったく同じというわけにはいかないが、少しでも楽しく生きてくれ」


小夜が涙で濡れた目でこちらを見つめ


「おじさん、良くそんなクサいこと真顔で言えるね」


「そうか?そんなにくさいかなぁ・・・」


「でもありがとう・・・」

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