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雨の一日

次の日も雨だった


「みんな、おはよう」


「おはようございます」


「ご主人様、おはよぉ」


「オハ・・・よ、ウ」


小夜はどうして片言なんだ


ホムラが耳打ちする


「小夜さんはココの言葉で挨拶してます」


なるほど・・・


「小夜、昨晩は寝られたか?」


「うん、アルさんが一晩中抱きしめててくれたから・・・」


それは、一晩中抱き枕にされただけだな・・・


「ホムラさん、昨晩注文したコイツの服とどいてる?」


「これですね はい、小夜さん」


ホムラが小夜に手渡す


「できるだけこの世界で違和感のないヤツを選んでおいた 着替えてこい」


「・・・あたしもみんなと同じメイド服がいいな」


ホムラさん?


「私じゃないですよ?」


「ご主人様、これがうちの制服だって言ったよ?」


アルフェリオさん・・・ そうですね、確かに言いました


「わかった、明日までに準備しておく 今日はそれを着てくれ」




朝食を済ませてお茶を飲みながら今日の相談をする


「この天気じゃあ、旅は無理だな ここにもう一泊しよう」


「車で移動しないの?」


小夜が聞いてくる


「車で移動すると、目立って昨日みたいなやつが絡んでくるんだ」


「ふーん、そうなの?」


「わざわざ、揉める必要ないだろ」


「それもそうだね」


「小夜は朝食の片づけ、残りで自分の部屋と共用部分の掃除 終わったら自由にしていいよ」


「小夜ちゃん、終わったら言葉の勉強するよ」


アルフェリオが小夜に抱きつく


「アルさん、なんて言ってるの?」


と小夜はぼくの方を見る


「終わったら言葉の勉強するって」


「はい、アルさんよろしくお願いします」


と言ってアルフェリオに頭を下げる


今度はアルフェリオがこっちを見る


「よろしくおねがいしますって」


「うん」



洗い物をする小夜を後ろから見る


顔はまだ幼いが美人だ


大きな釣り目が気の強さを表してると思う


髪は腰まで伸びた黒髪をツインテールにしている


身長はホムラより少し低いくらい 14歳としてはかなり小さい


身体は良く言えばスレンダー はっきり言うとずん胴


小夜がいきなり振り向き睨んだ 


お前ら、ぼくの心を読むのはやめろ


「なんか失礼なこと考えてなかった?」


「ソンナコトカンガエテナイデスヨ」


「そういえば、この車って色々不思議よね」


「全部、魔法だよ」


「そうなんだ」


面倒な説明は全部魔法で済ましてる 


魔法って便利な言葉だよな


「人に言うなよ」


「うん」



家事が終わり、アルフェリオと小夜は勉強を始める


ホムラも横にすわり 二人の面倒を見てる


ぼくは少し離れた運転席から三人の様子を眺めてる


しばらくするとホムラがコーヒーを淹れて持ってきてくれた


「ホムラさん、アルフェリオの先生はどう?」


「すごく丁寧に根気よく教えてますよ 先生の素質があるのかもしれませんね」


「へえ・・・」


「小夜さんも頑張ってますし、すぐに簡単な会話ならできる様になりそうですよ」


「そうか ホムラさん、二人に何か甘いものでも出してあげて」


「はい」



昼食中


「小夜 頑張ってるな」


「うん 早くアルさんとお話ししたいもの・・・ 


アルさんに言わないでよ 恥ずかしいから」


真っ赤な顔をする小夜の横で、アルフェリオが不思議そうな顔をする


・・・ああ、日本語だったのか


ホムラが僕の横で微笑んでる


「ああ、わかった」



昼食の片づけはホムラが引き受けてくれた


二人はまた一生懸命勉強している 


二時ごろ雨が上がった


「ホムラさん」


「はい?」


「ちょっとこっちきて」


異界居住区の方のキッチンに連れていく


「お肉の余裕ある?」


「ありますよ」


「小夜の歓迎会やるから、バーベキュ-の下ごしらえしてくれる?」


「はい わかりました」




運転席に戻り


「あの丘の上に移動するから、二人は勉強してな」


「?わかった」


10分ほどで丘の上に着き


ぼくは一人で会場の準備をする


「ご主人様、プリン食べていい?」


アルフェリオがひょっこり顔を出す


「おやつはやめておけ もうじきお肉を沢山食べさせてやるから」


「?ご主人様、何してるの?」


「ん、小夜の歓迎会とお前の全快祝いの準備だよ」


今度は小夜が顔を出す


「アルさんがどうかしたの?」


スゴク心配そうな顔をする


「ああ、二週間くらい前に死にかけたんだよ 右腕がなくなって内臓が出ちゃって大変だった」


その後、ホムラさんに殺されかけたし・・・


小夜がアルフェリオに抱きつく


「アルさん、もうだいじょうぶなの?」


アルフェリオは訳が分からずびっくりしてる


「ホムラさんがなおしたから大丈夫だよ」


そこへホムラが食材を持って現れる


「ホムラさん!アルさんを助けてくれてありがとう」


ホムラに小夜がしがみついて号泣し始める


ホムラが状況がつかめず 目をぱちくりさせて


「マサキさん、これはなにごとですか?」


「さあ、ぼくにもよく判らない」


これが本当にあの悪魔なのか・・・?




お肉を必死にぱくつく二人を眺めながら


「小夜さん、だいぶ参ってますね」


まあ、いきなり異世界に放り込まれて奴隷にされかけたからな・・・


「もう少し様子を見て対応を考えよう・・・」


「それしかないですね・・・」

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