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小夜

目の前で10年前に失踪した幼馴染がカレーをかきこんでいる


10年前にいなくなった時の姿のままで・・・


「なあ、だれも取らないから落ち着いて喰えよ」


小夜は俺の隣を指さす


アルフェリオが口から大量に涎を垂らしてた・・・


「そういや、晩御飯まだだったな 今から準備は大変だから好きなモノ喰っていいよ」


アルフェリオはスキップしながら


「ぷりん、ぷりん」


と冷蔵庫にいく


「プリンはご飯を食べてからだぞ」


というと、コンロでお湯を沸かし始める


そしてカップラーメンを二つ持ってきて一つはぼくの前、もう一つを自分の前に置き


お湯を入れて3分間、じーっと待っている


アルフェリオは可愛いな


「ねえ あたしにもプリンちょうだい」


「アルフェリオ 持ってきてやって」


「うん ご主人様」


アルフェリオはプリンを二つ持ってきて一個を小夜に渡し


もう一つのプリンをじーっと見ながら自分はラーメンをすすりだす


アルフェリオ誰も取らないから見てなくても大丈夫だよ 


「なあ、小夜って言ったっけ?お前、すごく匂うぞ・・・


ホムラさんが風呂出たら、お前も入ってこい 着替えは用意してやる」


「うん ありがとう・・・」




ぼくははっきり言ってコイツが大嫌いだった


コイツのせいで中学校生活は最悪だった


コイツが失踪するまで毎日いじめられた


だからコイツが居なくなったとき本当にうれしかった


失踪してしばらくの間は何度も警察に呼ばれた


たぶん、ぼくが殺してその辺に埋めたとでも思われてたんだろう


でも、コイツが失踪しなかったら きっとぼくはコイツを殺してたと思う


いまは、いなくなる前ほどの怒りはない


存在自体を忘れて いや、思い出さないようにしていたんだと思う


でもコイツはぼくの前にまたあらわれた


以前のままの姿で・・・


ぼくはどうしたらいい?


わからない・・・




「・・キさん?マサキさん、どうしたんですか?」


ホムラが心配そうに見てる


「ごめん 考え事してた・・・」


「ホムラさん、悪いんだけどコイツの着替え用意してやって・・・」


「はい サイズ的に私のでいいかな?」


ホムラさんのだと胸がブカブカだよ・・・


「あなた、失礼なこと考えてない?」


小夜が胸を隠す


「小夜、とっとと風呂に入ってこい」


「うん・・・」


何気なく横を見るとアルフェリオは五個目のプリンを開けるところだった・・・


「・・・アルフェリオ、お前明日から四日間プリン無しな」


「え~っ」


涙目で五個目のプリンを食べ始める


「・・・喰うのかよ」




入浴中の小夜を外した三人で、アイツをどうするか相談する


「次の村で誰かに預けようと思ってるんだけど・・・」


「幼馴染なんでしょう?連れていかないんですか?」


「正直、そこまで面倒を見る義理はない」


「珍しいですね お人よしの貴方らしくない」


アルフェリオが突然


「捨てちゃうの?かわいそうだよ 私が面倒を見るから捨てないで」


とかいいだす


アルフェリオ・・・


あれは拾ってきた仔ネコとかじゃないんだよ・・・


「言葉とかこの世界のこととか教えてあげられるか?」


「うん、がんばる」


「・・・わかった 可愛がってやるんだぞ」


「ありがと ご主人様」


「結局、面倒を見る理由がほしかったんですね・・・」


「なんだ?」


「なんでもありません」


仕方ないだろ・・・ いくら嫌いでもこんな世界に放り出せないよ


「本当にお人好しですね」


ホムラが優しく微笑む


心を読むの止めてもらえますか?




風呂から出てきた小夜に


「今日から、私の部屋で寝るんだよ おいで」


アルフェリオが抱き着く


「わっ この子なんて言ってるの?」


小夜はびっくりして聞いてくる


「アルフェリオ、お前ももう一度風呂に入ってこい」


「え~っ」


「結構、雨に濡れただろ?いいから とっとといけ」


「はぁ~い・・・」




「さて、お前に聞きたい事がある」


小夜を対座に座らせて質問をする


「いつこの世界に来た?」


「一週間前、気が付いたら・・・」


「そうか わかった」


ホムラが彼女にホットミルクを差し出す


「どうぞ 熱いから気を付けて」


「それを飲んだら、もう今日は休め」


「あたし、どうなるの?」


心配そうにぼくを見る


「・・・ウチで面倒を見てやる」


「ほんとうに?」


顔がぱあっと明るくなる


「アルフェリオが捨てるなって言ったんだよ・・・アイツに感謝しろ」


「うん・・・」


風呂から出てきたアルフェリオに小夜は連行されていった





「ホムラさん、この時差ってよくあることなの?」


「・・・珍しいことではないです」


「あいつ帰れるの?」


「無理です もしもう一度、飛ばされてもどこに行くかわかりません」


「そうなんだ・・・」


「・・・はい」


「ぼくたちも今日は休もう いろいろあって疲れた・・・」


「はい おやすみなさい」


雨が強くなったようだ 雨音が響く・・・



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