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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

含笑のない

作者: 河原真宙



逢いたくないわけではない

いつでも逢いに行けるから。


知らないわけではない

近くに線路がある場所で

いつも月に顔を背けているのを。


逢いに行けばすれ違う事を

昼間の月は知っていた。

近くの線路の上を

大きな風だけが走っている。


逢いたいといえば嘘になる

いつかがこの瞬間になれば

もう逢えなくなるから。


二人の命を閉じ込めた小さな小屋では

今日もカーテンが閉じていた。

隙間から明かりが漏れることもなく

時間と叫びが見えるのかもしれない。


あの日のまま

まだ生きているんだね。


赤ん坊は

まだ赤ん坊でいるんだね。


月が夜に晒されて、割れた鏡に炙られる。


逢いたくないわけではない。

逢いたいわけではない。


逢いたいと言わなかっただけなのだ。


逢いたいと呟くその刹那。


近くの線路上

風が行き場を喪った。


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