ノート晒し 4ページ目
青い軍服の人がマナのほうに近づいてくる。急に逃げ出したいという気持ちに襲われたが、体がやはりまったく動いてくれなかった。クソッ。なんでこうなるの?青い軍服の人がどんどん近づいてくる。そしてマナの一歩手前で足をとめた。そして、自分の右手を私の背中にポンッとおいた。そのとたん、体が何かやわらかいものに包みこまれる感じがしたかと思うと、体が動くようになった。よく見ると、その人は若い外国人のようだった。明るい茶色の髪になんだか子供っぽい目をしている。年は二十代かそこら。でももっと若いかもしれない。彼はマナにまったく聞いたことない言葉で話しかけてきた。彼はしばらく英語やフランス語でもない言葉で話していたが、マナがみけんにしわをよせているのに気づいたらしく、首をかしげこう言った。
「Do you speak English?」
はじめて出た私の知っている言葉だった。でも英語は五教科の中でも最悪。通知表で3がとれれば、それだけでマナにとってはすごいことなのだ。なので答えは
「No」
である。マナがそう答えると彼は困まった顔し、黒い服の人たちの一人を呼びよせた。呼びつけられた人は、彼に向かっておこっているように見えたが、しぶしぶ自分のポケットから茶色の小さい袋を取り出し、彼に渡した。彼は茶色の袋から、緑色の大きなあめ玉のようなものを取り出した。そして、それをマナの手のひらにおくと「食べなさい」というようにそれを食べるジェスチャーをした。こんなときにとマナは思ったが、相手は大勢だし、不思議な力を持っているみたいだったので、いうとおりにそれを口の中に入れた。そのとたん、つーんとした感覚が頭のほうにいき、それからそれが気絶しそうなひどい頭痛に変わった。でもそれはすぐにやわらいだ。彼が何かいっている。
「カミクダイテ、ノンデシマエ」
たぶんそういったような気がする。マナは無理やりそれを飲みこむとまたあの頭痛におそわれたが、またおさまった。少しだけまだ痛いが、なんとかなりそうだ。
「大丈夫か」
彼が話しかける。て、えっ今日本語じゃなかったのに、どうして私言葉がわかるんだ?と首をかしげるマナに彼は
「言葉のことかい。あぁそれならもう問題ないよ。君はレミングボールを食べたからね。それでレミングボールは今、君が食べたあめ玉みたいなもの。そういえば君の名前は?」
「青井マナですけど、あなたは一体だれなんですか?」
とマナは言った。だが出てきた言葉は日本語ではなく彼らがしゃべる言葉だったが。