ノート晒し 2ページ目
そんなある日の出来事であった。今日もそういつもと変わらなかった。いつもどおり陰口を言われていた。マナはたまたまその陰口の内容を聞いてしまった。その子はこう言っていた。
「青井さんって本当に嫌な人だよねー。せっかく優しくしてくれた中崎さんは殺しちゃったし」
「みゆき。あんたそんなこといっていると、あんたこそ殺されちゃうんじゃない。ほら、あの子こっちをじーっと見てるよ」
「でもさ、事実じゃない。実際中崎さん死んじゃったし、でもアイツうざかったし、まっどうでもいいことだけど」
その時、マナは怒りで体を震わせていた。私が舞子を殺しただって?私、そんなことしていない。しかも舞子の悪口まで……。絶対に許さない。そう思った瞬間、校庭に巨大な竜巻があらわれた。窓ガラスが割れ、人々が竜巻によって飛ばされようとしていた。マナは人々の叫び声で我にかえった。その瞬間すーっと竜巻が消えていった。もう空にはただ何もなく青空が広がっていた。奇跡的にこの時は窓ガラスの損傷と数人のけがだけですんだ。もしもあとちょっと遅かったならば……と思うと、自分が恐ろしく思え、マナは震えた。もう少しで人を殺してしまいそうだった。あの子のいうとおり、私は人を殺そうとしたのだ。
翌日マナは、学校の屋上に立った。自殺するために……。だがマナはできなかった。死ぬのが怖かったのだ。そしていつの間にか忘れてしまっていたことを思いだした。舞子の葬式の日、私は誓った。『舞子のぶんも生きるから』って。なのに私は……
「ごめんね、舞子」
マナは一人つぶやいた。そしてマナは自殺するかわりに
「もう決して自殺なんかしない。これからは、昨日のようにならぬようにもう決して怒りません」
と屋上で誓った。
それからマナはすべてのことを無視しはじめた。『気にするな、気にするな』と心の中でつぶやくことが常になっていた。ますますひどくなる陰口に対して、それしかきかなかった。だがどんなにがんばっても、心の傷はふえていくばかりだった。