ノート晒し 19ページ目
「えーまだやるのー」
とブスっとした顔で答えたティアラに
「何言っているんですか」
といって無理やりティアラの腕をひっぱっていく。
「あのーお取込み中、すみません。どうせやることがないので、ついていってもよろしいでしょうか」
とマナが聞く。事実やることがないし、暇つぶしにどうかと思ったのだ。
「ご自由に」
といってイリンダはティアラとマナをつれて、隣の部屋に入っていた。まず目についたのは、本の山。色々な本が重ねて置いてある。本の表紙にはマナの見たことのない文字で書かれていたが、だいたい読めた。ライドの言うレミング語なのだろうとマナは思った。イリンダはその本の山の中に縮こまるようにあった机にティアラを連れていき、イスに座らせ勝手に空中から出てきたロープでティアラをしばってしまった。マナは部屋全体を見まわしても、イスがティアラの座っているイス一つしかないと気付くと、ティアラの傍の床に腰を下ろした。
「えーとじゃあ歴史から。今からネアラの戦いについて勉強しますけど、まず戦った国はなんですか、答えなさい」
「えーとラフィアはわかっているんだけど、もう一つネア……あーなんだっけ? ねぇマナわかる?」
「分かるはずがないでしょ」
「あっ、そうだった。ごめん。ついつい」
「わかりましたか」
イリンダは指を教卓に打ちつけている。
「えーと、ラフィアとネアレード?……だと思います」
ティアラが答えると、イリンダはハァとため息をついた。
「答えはラフィアとネアリード。基本中の基本です。明日までにきちんと覚えておくように」
「はぁい。……なんだよ、一文字しか間違っていないのに」
ボソッとティアラが言う。
「なんかいった(怒)」
「いえなんでもございませんのよ。オホホホホ……ふぅ~」
見るからにそれは作り笑いだった。第一、口の端がひきつっているし……
「じゃあ、次。ラフィアとネアリードを率いたのは誰ですか? それぞれ答えなさい」
「えっえ? 誰だっけ? ねぇマナ助けて」
と耳元でささやきかけるティアラに
「だから、私に聞いたって、分からないよ」




