ノート晒し 1ページ目
あの日、あんな事をしなかったなら、あんなことにはならなかったのかもしれない。
もしも、あの時ちがう選択をしていれば……。そうやって私は永遠に悔やみつづけるだろう……。
私はがれきの街を歩いていた。いろんなところに死体が転がっている。人々はこのありさまを見て、ぼうぜんとしていた。血だらけの街……。そこにあるのは、地獄そのものだった。
そして、その地獄をつくったのは私……。
今から2時間ほど前、私こと青井マナは我慢の限界だった。原因は教室のすみっこのほうにかたまって、うわさ話をしている女子だった。うわさの内容はたいていマナのことだった。
なぜかというとマナが自分でも分からない不思議な力を持っているからだった。
その力とは、具体的に言うと、マナがちょっとしたことで泣いたりすると(今じゃほとんど泣かないけど)それこそ洪水になりそうな雨がふったり、とてもイライラしてる時は、教室のほとんどの机がガタガタと音をたてたりするのだ。だから要するになにか強い感情が出ると、それにともない、いつも何か起きるのだ。人々は私の力をとても不気味に思っていた。そして運の悪いことにそれは最近始まったことではなく、ものごころついた頃からあることだったため、マナは昔から嫌われ、陰口をきかれていた。
だが両親と親友 中崎舞子は、そんなことは気にしなかった。マナは舞子のおかげで陰口を言われても、そうつらくなかった。マナは舞子に感謝していた。
だが1年前ぐらい前に舞子は死んだ。交通事故で……。その日は涙枯れるまで、いや枯れても泣き続けた。そのおかげで、近くに雷が落ち、大規模な洪水が起きた。
舞子が亡くなった日からマナはまわりの陰口がとてもつらく感じるようになった。
毎日がつらかった。言葉で言い表せないほど、つらかった。前は舞子がいたからこそがんばれた。
でも今は……。自殺してしまおうかと思ったことも何度もあったが、マナにはできなかった。死にたくはなかった。それに怖かった。